本記事は、若月りく氏の著書『会社を辞めずに大富豪になるプレミアムマンション投資』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
「12年以内」の売却を意識していくと良い
自分の目指す姿として「2000万円物件の隔年購入」と「5件の物件取得」をルール化しようと考えた…と紹介しました。
つまり、2000万円程度の物件5戸を隔年で購入しながら、資産の洗い替えの意味合いで10年ちょっとの保有期間で随時売っていくという当初計画です。
この「10年保有」の設定には、もう一つの理由があります。
一般的なマンション(鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造)は47年が償却期間となっていて、その期間までは35年ローンを組むことが可能です。ということは、新築のマンションを買って「12年以内」に売却すれば、次に買った人は35年ローンをほぼ間違いなく組めることになるわけです。
そのため私は、物件を購入した際には12年以内に売却するよう意識していくことを、自身のルールの一つに加えました。つまり、「次の人が買いやすいように売る」ことを意識しようと考えたのです。
次に買う人のことまで考えて、物件を売る時期を決める必要があるのか? 読んだ方はそう思うかもしれませんね。けれども、次の人が買いやすい、というのはイコール、扱う不動産業者が「売りやすい」ということです。
そこに紐づくのが、私が心がけてきた不動産投資のポリシーなのです。つまり、「自分が不動産業者にとって、有益な存在であり続けること」。不動産の営業マンが喜ぶ提案をすれば、ひいてはそれが自分に跳ね返ってきます。自分が営業マンに優良な新築物件を紹介してもらえる源泉になるわけです。
こうやって不動産の営業マンとWIN―WINの関係を作るのが、失敗しない不動産投資の秘訣であり、成功するために必要な、いたってシンプルな考え方だと言えるのです。
その意味では、あなたが不動産サイトなどで物件を探すとき、見ているマーケットにおいて、新築から「12年落ち」の中古物件を検索するのも面白い手法の一つと言えるかもしれません。
たとえば、あなたが2000万円の新築物件を買おうと思っているマーケットで、12年落ちの物件の価格が1800万円で出ているとしましょう。そして、12年が経った後のあなたの残債予定が1600万円であるとしたら、200万円ほどが利ザヤとして稼げる…という見通しの把握ができるわけです。
中古の物件情報を見るときには、新築のプレミアム物件を購入するための参考値としての見方をしていくのもまた、面白いと思います。
経済感覚に狂いが生じるような投資の成果は望まない
プレミアム・ワンルーム投資の成功ルールを説明するために、「アパート1棟買い」との違いについて説明してみましょう。
プレミアム・ワンルーム投資は、利回りを中心とした月次の収益性は薄くとも、プラスのキャッシュフローを層状に重ねていくイメージで、堅実性と確実性のある安定型の投資法です。複数の物件を持ちながら、売却対象案件やタイミングを適切に選択でき、定期預金を解約するかのごとく売却することで利益確定ができます。
いっぽうで、私が考える1棟買い物件の一番のデメリットは、売却によりキャッシュフローが一気に無くなってしまう点です。
ワンルームマンションを複数所有する投資方法であれば、10~12年ごとに売却を進めて、時機に応じてキャピタルゲインを得ながらインカムゲインを継続させることが可能です。ところが1棟買いの場合には、規模感が大きすぎて複数案件を同時に保有し続ける事が困難で、唯一の案件を売却すればその時点でキャッシュフローが一気に無くなるなど、不安定な推移をたどることになります。
キャッシュフローでも地点選定の観点からもAll or Nothing(オール オア ナッシング)で分散効果が効かず、売却すると月々のキャッシュフローがゼロになってしまう投資法は、やはりおすすめしません。
つねに5件か6件の物件を持っていれば、同時に数百万円もの定期預金を貯めていくイメージで、資産を持ち続けることができます。購入と売却のタイミングをうまく時間分散しながら、複数のワンルームマンションを持つ方法が堅実だと、私は思うのです。
これは不動産投資でよくあるケースなのですが、新築の物件を4~5戸買ったあと、次の投資先として、アパート1棟買いに移行するというパターンが見られます。
不動産投資のノウハウが何となく分かった気持ちになり、もう1ランク上の投資を実践してみたい…という欲が出る部分もあるでしょう。
たとえば、新築のアパート1棟は高価格で手がでなくても、中古であれば何とかなるのでは…と考えることがあるかもしれません。けれども、そこには往々にして落とし穴が待っているのです。
たとえば、5000万円クラスの中古物件のアパート1棟買いは失敗しやすい事例の一つで、とっつきやすさから中古物件のアパート1棟を買ったものの、投資した金額を家賃収入で回収することができず、結果的に損失のほうが大きくなってしまう…というケースがあり得ます。
さらに、損失を補おうと売却しようとしても、購入時よりもかなりの安値でしか売れないのが中古アパート物件の欠点です。「出口」についての戦略が描けず、売りたくても売れないという負のスパイラルに陥ってしまうことがある点で、注意が必要なのです。
ここで一つ、若干余談めいた話を付け加えましょう。
これは不動産の価値とは少し違う話ですが、アパート1棟を売却した際に大きなキャピタルゲインを得ることは、人間の心理として別のリスクを生む危険性があると、私は思います。
人間の行動や心理を一括りにはできませんが、本書の中心テーマが、サラリーマン属性の方にすすめたい堅実な不動産投資術であるのは確かなところです。
そうした属性のみなさんに、一度にドカンとキャピタルゲインのお金が入るような「成果」がもたらされることは、従来のライフスタイルを崩すことにもなりかねないのでは…? と懸念するわけです。
よく言うところの、宝くじが当たったことで不幸になる…といった、経済感覚の狂いが生じるような投資効果は歓迎しないというのが私の立ち位置です。
意図した月々のキャッシュフローを安定的に維持しつつ、一方で確実にお金が貯まっていく投資こそが目的なので、そこから大きく逸脱することは避けるべきでしょう。それも私が考える、失敗しない不動産投資のルールです。
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