本記事は、大原昌人氏の著書『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

社内会議は事前に議題を「3つの箇条書き」で共有し、30分以内で

会議,止める
(画像=taa/PIXTA)

業務を行う上で「会議」は欠かせないものですが、「会議が長すぎて辟易する」という声はよく聞かれます。とくに参加者が多い会議は、すぐ関係ない話に脱線し、ダラダラと時間ばかりかかってしまいがちです。

私も楽天市場で楽天スーパーSALEのプロデューサーを務めていた頃は、営業チームに企画を伝達したり、制作チームと進捗を確認したりするために、毎日のように会議を主催していました。楽天には「会議は30分まで」という決まりがあり、ダラダラ会議をよしとしない風土があったので、普通の会社にくらべたら多少マシだったのでしょうが、それでも気を抜くと会議はズルズルと長引き、何も決まらないまま終わってしまうこともありました。

結論を次回に持ち越すとなれば、時間をおいてまた同じメンバーを招集して会議を開かなければなりません。メンバーはそれぞれ忙しいので、みんなで集まれるのは1週間後ということも考えられます。その時間はムダ以外の何物でもありません。

そこで私は、会議を30分以内に終わらせ、かつ確実に結論を出せるよう「脳の事前インプット法」を使うことにしました。

まず、会議の目的や論点を最大3つに絞って箇条書きにし、会議の前日、参加者にメールで通達します。会議のゴールを明確にするとともに、参加者に無意識のうちに議題について考えてもらえるように「頭出し連絡」をしておくわけです。

そして会議の冒頭、再びその「3か条」を読み上げて会議の目的や論点を強調します。さらにダメ押しでホワイトボードにも「3か条」を書き出してつねに見えるようにしておけば、会議中ずっと意識がそれることなく、議題に集中して話し合うことができます。

ホワイトボードではなくプロジェクタを使う会議室では、パソコンのメモ帳などに「3か条」を書いて表示します。パワーポイントを使って話を進めていくなら、パワーポイントを全画面表示にせず、「3か条」を書いたメモ帳とパワポの両方を表示させながら会議を進めていきます。

可能であれば、それぞれの議題についての確定情報を、ホワイトボードやメモ帳に追記していきましょう。そうすれば参加者全員が進捗を確認しながら会議に臨めるし、会議後はそれをそのまま議事録として活用することができます。

「会議のための会議」や「ブレストのための会議」は中止せよ

会議の中には、長いだけではなく「そもそも開く必要はあるのか?」と言いたくなるようなものも少なくありません。自分が会議を招集する立場にある方は、一度立ち止まって「この会議は本当に必要か」「この人数を集める必要があるのか」「メールで済むのではないか」を考えてみてください。

省略してもいい会議の筆頭は「マナーとしての会議」「アリバイづくりのための会議」です。たとえば「○○について部長の耳にもしっかりと伝えましたよ」という証拠を残したいがために、部長を含めた大人数の前で○○の件を報告する──。そんな前時代的な会議は、今すぐやめてしまいましょう。アリバイ作りが目的でなくても、単なる報告や進捗の共有であれば、メールやチャットで事足りることがほとんどです。

「うちはそこまで古い体質の会社ではないから大丈夫」と思われた方もいるでしょうが、実はイマドキの会社でも、不毛な会議に時間を食われている可能性があります。それが「ブレスト会議」です。

ブレスト会議とは、形式ばらないラフな雰囲気のもとで、参加者が自由にアイディアを出し合う会議のことです。私も楽天時代は幾度となくブレスト会議に出席しましたが、内心では「こんなことをしても、あまり意味がないのでは……」と感じていました。

というのも、ブレストというのは本来「気の置けない同僚とコーヒーを飲みながら」「チームメンバーとの飲み会の席で」というように、雑談の延長といったシチュエーションで自然発生するからこそ意味があるのであって、半強制的に集められて「さあ、今から自由にブレストしてください!」と言われても、本当の意味でのブレストにはならないと思うのです。実際、楽天のブレスト会議でも「すごくいいアイディアが出た」という記憶はなく、「よくわからないまま終わった」「結論らしきものは出なかった」というものばかりでした。

もし部下や社員から自由にアイディアを募りたいのであれば、ブレスト会議を開くよりも、「社長直通メール」など「上層部に直接提案できる制度」を用意しておく方がずっと効果的だと思います。私が楽天時代、通常なら2カ月はかかる大規模web企画をわずか1週間でリリースできたのは、まさにその産物です。三木谷社長が全体会議で毎回のように「いいアイディアがあったら直接メールして」とおっしゃるので直訴メールを送ってみたところ、本当にアイディアを拾ってもらえたのです。

早ければいいとは限らない 信頼を高める「最適なタイミング」とは

現代社会ではスピードこそが最大の評価軸であって、仕事が早い人と遅い人がいたならば、間違いなく前者の方が高く評価されます。

ただし、すべてにおいて「早い方が好印象」というわけではないのでご注意ください。

見積書や請求書の作成、入金処理、簡単なメールへの返答など事務的な作業は、早ければ早いに越したことはありません。自分の身に置き換えてみても、「見積もりを出して」とお願いしたら即日対応してくれる人と、何日もかかる人がいたら、仕事が早い方に担当になってほしいと思うでしょう。

気を付けたいのは「アイディアやクリエイティビティが求められる仕事」の場合です。作業スピードが速い人は、納期よりもかなり前に仕上げてしまうことがあるでしょうが、早くできたからといって馬鹿正直に早く納品すると、高確率で「もっとよく考えて」などと差し戻され、かえって長引いてしまいます。納品があまりにも早すぎると、受け取った側は「早くてうれしい」よりも「あまり考えないで、チャチャッと作ったのではないか」という疑心にかられ、普段以上に厳しい目でチェックするからです。

かといって締め切り当日など、ギリギリで納品するのもよくありません。期日を守ることは社会人として当たり前のことなので、締め切りギリギリではマイナスにならない代わりにプラスの印象にもなりません。「仕事が丁寧で、かつ対応も早い」という最高評価を得るためには、締め切りの前日など、相手が「あ、予定より早くくれたな」と思うくらいのタイミングで納品するのがベストです。

同じように、ミーティング中にいいアイディアが浮かんだとしても、急を要する案件でなければ、すぐに口に出すのは避けた方がいいでしょう。その場で言ってしまえば「単なる思いつき」と思われる可能性がありますが、次のミーティングまで持ち越して発表すれば「時間をかけて考えてくれたんだな」という印象が強くなります。

すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術
大原昌人(おおはら・まさと)
元「楽天市場」プロデューサー/株式会社ダニエルズアーク代表取締役。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、楽天株式会社に入社。フリマアプリ「ラクマ」や、年間100億円規模の流通を生み出す「6時間タイムセール」など、数々のヒット企画に参画。2016年には通常2カ月かかる大規模Web 企画(熊本買って応援企画)を1週間でリリースに導き、その功績を買われ楽天市場MVP賞(スピード部門賞)を受賞。2017年からは、国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」のWebプロデューサーとして、当時最年少で就任。IT業界の中でも業務スピードがトップクラスと言われている楽天内においても、さらに上位のトップスピードで仕事を導いてきた。2018年、「個人が主体となる働き方を牽引する企業を作りたい」という思いから独立し、クリエイティブカンパニー(株)ダニエルズアークを設立、代表取締役に就任。仕事のスピードと質には定評があり、コカ・コーラ、サムスン、花王など、大企業からの引き合いが絶えず、月間50本を超える案件を高速で回している。著書に『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』(サンマーク出版)がある。

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