本記事は、大原昌人氏の著書『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

朝の1時間は夜の4時間分に匹敵 「1時間前出社」で差をつける

朝,仕事
(画像=masa/PIXTA)

私が楽天に勤務していた時期は、まだ残業削減に対する意識が低かったこともあり、所属していたクリエイティブ部門では、残業時間が100時間を超える人もめずらしくありませんでした。

ところが私はそんな超多忙な部署において「定時に帰る」ことができていました。もちろん仕事を途中で投げ出して帰るのではなく、仕事をきっちり終わらせ、人並み以上の成果を出した上で定時に帰るのです。

膨大な作業をこなさねばならない部署にいながら「定時退社」を実現できたのは、私が毎朝1時間早く出社していたからにほかなりません

この朝の1時間は、おそろしく仕事がはかどるのです。

脳のスタミナがたっぷり残っていることに加え、朝のオフィスにはだれもいないため、上司に話しかけられることも、メールやメッセンジャーが届くこともありません。皆が出社してくるまでの1時間はだれにも邪魔されず、ひたすら目の前の業務に集中できる。体感値としては通常の4倍──午後だと軽く4時間はかかる仕事でも、朝ならスルッと1時間で終わってしまう感じです。

このように、とてつもなく仕事がはかどる「1時間前出社」ですが、この働き方をオススメできるのは、超多忙な会社や部署にいる方に限られます。なぜなら、残業が月20〜50時間レベルの人であれば、わざわざ1時間早く出社しなくても、「脳の使い方」や「集中力ケア」を実践していただければ、定時には仕事を終えられるからです。

けれども残業が月50時間を超えるのが当たり前の職場では、いきなり残業ゼロを目指しても、どこかで無理が生じる可能性が高い。残業ゼロという縛りを優先するあまり、仕事が雑になったり、周囲に迷惑をかけたりするようなことがあっては、いくら仕事が速くても評価や成長には結びつきません。

だから超多忙な職場にいる人は、まずはこの「1時間前出社」を試してみてください。月100時間の残業をしている人が毎日1時間だけ早く出社し、1時間×20日=20時間の「朝残業」をすることで定時退社が可能になれば、月80時間も労働時間を短縮できたことになります。

しかも朝早く出社することは「まじめ」「きちんとしている」という印象を与え、周囲からも好意的に捉えてもらえます。残業するのが当たり前で、定時に帰ると「怠けている」と思われがちな職場でも、「朝早く来たので早く帰ります」と言えば、ほとんどの人は納得してくれるでしょう。

ですから、あなたが「自分は多忙だ」と自覚しているのなら、無理して残業ゼロを目指すのではなく、まずは「絶対に月20時間は残業する!」と決めてください。もちろんここでいう残業とは、定時後の残業ではなく、朝1時間早く出社して行う「朝残業」のことです。

月20時間の朝残業で、月100時間の夜残業を相殺するのです

人の集中力は50分が限界 疲れる前に休むべし!

前項では「朝の1時間は仕事がはかどる」という書き方をしましたが、厳密にいえば私が集中して仕事をしていたのは「朝の50分間」です。朝1時間早く出社したら、最初の50分は集中して業務に取り組み、同僚たちがぼちぼち出社し始める最後の10分は休憩にあてていました。

なぜなら人間の集中力は時間とともに低下していき、集中力を取り戻すには休憩をはさむ必要があるからです。

どれくらいのペースで休めばいいのか、休憩の目安については諸説あります。

有名なのは「25分作業したら5分休憩」を繰り返す「ポモドーロ法」で、デザイナーなどクリエイティブな職業の人や受験生などからとくに評価されている時間管理術です。この方法は私も試してみたことがあり、悪くはないと思いましたが、いかんせん日本の会社にはなじみにくいという結論に至りました。会社員が25分に一度というハイペースで休憩していたら、周囲から「アイツは休んでばかり」と思われてしまう危険性が高いからです。

一方、医学的・生理学的には、人間の集中力の限界は90分だといわれています。大学の講義が90分単位なのもこのためでしょう。ただし90分というのはあくまで限界であって、現実にはその半分の45分を過ぎたあたりから徐々にパフォーマンスが落ちてくるというのが私の体感です。

だから私は、小中学校の授業時間とほぼ同じ「50分作業、10分休憩」のサイクルを採用しています。これなら周囲の目も気にならず、作業中ずっと高い集中力をキープしてクオリティの高い仕事をすることができます。

重要なのは、たとえキリが悪いタイミングでも時間になったら必ず仕事の手を止めて休憩することです。

仕事がノっているときは「もう少し続けたい」「最後まで一気に終わらせたい」という気持ちになりがちですが、その誘惑を断ち切って休憩を取った方が、1日トータルで考えると効率よく働けます。会社員の仕事は持久走のようなもので、いくら調子がいいからといって休憩なしで走り続けていたらすぐスタミナ切れになって、終業まで完走することはできなくなってしまいます。

なお、休憩時間をどう過ごすかは各自の自由ではありますが、私のオススメはストレッチなどの軽い運動をすることです。楽天時代は、オフィスの階段を3、4階分おりてから駆け上がるということをよくしていました。身体を動かすと脳に血が巡るので、よりリフレッシュした状態で仕事を再開できるのです。

脳のエンジンをかけるため10分で終わる仕事から始める

現代のクルマはスタートボタンを押すだけで瞬時にエンジンがかかりますが、ひと昔前のクルマはエンジンを始動した後、アイドリング状態でしばらく車を放置する──すなわち「エンジンをあたためる」というステップが必要でした。

実は人の脳も旧車のエンジンと似た構造になっていて、エンジンをかけるには少々時間がかかります。

午前中は、通勤電車の中でスマホを使わず「ぼーっと過ごす」ことにより自然とエンジンがかかるので、出社後いきなり重めの仕事に取り組んでもかまいません。むしろフルマックス状態の脳を1分たりとも無駄にしないためにも、すぐさま重要な仕事に取り掛かるべきです。

しかし、徐々に疲労が蓄積し、昼食を食べることで弛緩した午後の脳を起こすためには、旧車と同様のアイドリングが必要になります。昼休憩からオフィスに戻ったら、最初の5〜10分は無理して頭を使わずに、手先だけで処理できるような簡単な作業に取り組んでエンジンをあたためましょう

私もエクセルへの入力作業や「わかりました」と返信するだけのメールなどは、たとえ午前中に処理できる時間があったとしても、午後イチにやるために残しておきます。ちょうどいい作業がない場合は、業務に関連するニュースサイトのチェックなど、情報のインプットにあてるのもいいでしょう。

すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術
大原昌人(おおはら・まさと)
元「楽天市場」プロデューサー/株式会社ダニエルズアーク代表取締役。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、楽天株式会社に入社。フリマアプリ「ラクマ」や、年間100億円規模の流通を生み出す「6時間タイムセール」など、数々のヒット企画に参画。2016年には通常2カ月かかる大規模Web 企画(熊本買って応援企画)を1週間でリリースに導き、その功績を買われ楽天市場MVP賞(スピード部門賞)を受賞。2017年からは、国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」のWebプロデューサーとして、当時最年少で就任。IT業界の中でも業務スピードがトップクラスと言われている楽天内においても、さらに上位のトップスピードで仕事を導いてきた。2018年、「個人が主体となる働き方を牽引する企業を作りたい」という思いから独立し、クリエイティブカンパニー(株)ダニエルズアークを設立、代表取締役に就任。仕事のスピードと質には定評があり、コカ・コーラ、サムスン、花王など、大企業からの引き合いが絶えず、月間50本を超える案件を高速で回している。著書に『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』(サンマーク出版)がある。

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