本記事は、大原昌人氏の著書『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
発想力や創造力が求められる仕事は「ゴールデンタイム」に
1日のうちでもっとも集中力が高まる時間帯をご存じでしょうか?
答えは「午前中」です。朝起きてからの数時間が脳のゴールデンタイムであることは、脳科学者の茂木健一郎さんをはじめ多くの研究者が指摘する、脳科学界の常識です。
人の脳は夜寝ている間に記憶が整理され、朝にはクリアな状態になっています。だから午前中の脳はまっさらで、新しい知識を吸収しやすいうえ、スタミナもたっぷり残っているから決断力や発想力、集中力も発揮しやすいのです。
仕事の効率を高めたいなら、このゴールデンタイムをフル活用しない手はありません。企画やアイディア出しといったクリエイティブな仕事、提案書作成のような集中力を要する作業、決断力や粘り強さが求められる重要な商談などは、ぜひとも午前中に入れるように心がけてください。私も原稿の執筆やYouTube内で使う資料の作成、チームメンバーとのブレスト、新規プロデュース案件に関するミーティングなどは、必ず午前中にスケジューリングしています。
反対に請求書・契約書の処理やエクセルへの数値入力など、集中力や創造力をそれほど要さない仕事は午後にまわしましょう。私の場合は、すでに方向性が決まっている案件のすり合わせや、自分が営業される側のミーティングなどは、午前中に入れるのはもったいないので午後に行うようにしています。
通勤時間にスマホを触るな! 朝ほど脳のスタミナを温存せよ
人間の脳は、情報を処理すればするほど疲れて働きが鈍くなります。中でも脳にとって大きな負担になるのが「決断」です。
ケンブリッジ大学の研究によると、人は1日に最大3万5000回もの決断をしているといいます。これでは脳が疲れてしまうのも当然で、朝、昼、夕方、夜と時間がたつにつれてどんどん仕事のパフォーマンスが落ちていくのは、脳が「決断疲れ」を起こしていることも大きな要因なのです。
だから午前中のゴールデンタイムを最大限に活かすには、朝起きてから仕事を始めるまでの間、なるべく余計な決断をしないようにして、脳のスタミナを温存しておく必要があります。
具体的には、満員電車で「何もせずにボンヤリすること」を心がけてほしいのです。
通勤で電車を使っている人の99%は、乗車中にスマホを触っているのではないかと思います。スマホは情報の塊なので、どんな用途であれスマホを使おうとすると、どのアプリを開くか、どのボタンを、どれくらいの力でタップすればいいかなど、無数の決断をせまられます。だから自分でも気づかないうちに脳のスタミナがどんどん減って、会社に着くころにはすでに脳が疲れ始めているのです。
私も社会人になったばかりのころは、通勤中はいつもスマホを触ってSNSなどをチェックしていました。でも、あるときニュースで「仕事の効率を高めるには、通勤中のスマホをやめて脳を休ませることが大事だ」という記事を読み、スマホを触る習慣をやめてみました。すると、自分でも驚くほど仕事のスタートダッシュが違ってきたのです。
電車内でスマホを見ていたころは、会社のデスクに着いてからも、なんだかヌルヌル仕事が始まっていく感覚でした。これから4時間半のフルマラソンを走らなければならないのに、もうすでに30分くらい走ったあとのような、微妙な倦怠感がありました。
ところが朝のスマホをやめてからというもの、そうした疲労感はいっさいなくなり、会社に着いてパソコンを開いた瞬間からギュンッ!と集中して作業ができる。その差は歴然でした。
では、電車内でスマホをやめたら、代わりに何をすればいいのでしょう?
正解は「何もせずにぼーっとする」です。
窓の外の風景を見るともなしに眺めていると、「そういば今日はこんな仕事があるなあ」というように、1日の予定が自然と浮かび上がってきます。それは脳が1日のスタートに向けて、むくむくと起き上がろうとしている証です。通勤中にこの準備運動をしておくことで、出社後一気にスタートダッシュがかかるのです。
朝の決断エネルギーを節約するという意味では「何を食べるか」「何を着るか」を前日のうちに決めておくのもいいでしょう。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、黒のタートルネックにリーバイス501、スニーカーと、いつも同じ服を着ていたことで有名です。Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグやバラク・オバマ元アメリカ大統領なども、いつも同じような服装を貫いています。そうすることで、彼らは毎朝、服を選ぶのに費やす時間やエネルギーを節約しているのです。
彼らほどストイックに着るものを限定しなくても、前日に「明日はこの服を着よう」「明日の朝食はこれにしよう」と決めておくだけで、朝の決断回数は格段に少なくなりますし、バタバタしがちな朝の時間をゆったり過ごせるという余得もついてきます。
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