本記事は、金川顕教氏の著書『すごい勉強法』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています。
結果を出したいなら、とにかくリサーチしまくる
受験生時代、勉強法の本を読み、勉強のできる友だちに話を聞き、予備校の先生に質問することで、僕はかなりリサーチ力を培いました。
何をやるにしてもとにかくリサーチをしてから始めれば、最短距離……とまではいかないけれど、かなり無駄とリスクは少なくなる。「リサーチを制するものはゲームを制す」といっても過言ではありません。
二浪の末にようやく大学に受かった僕ですが、浮かれてはいませんでした。次にどうしたらいいのか、冷静に自分自身の状況を分析してみたのです。
「お金持ちになる」ことを目標としている僕は、とりあえず大手企業への就職を目指したい。けれど、すでに二浪しているということは、就職にハンディキャップを抱えています。
そこで僕はまたいろいろと本を読んだり人に話を聞いたりしました。すると、高収入を得るためには、特別な才能がない限りは、大企業に入る以外は起業するか、難関国家資格を取得するかが一般的だとわかりました。
起業については、当時はホリエモンなどの成功者がメディアにもよく出ていたので漠然とイメージはつかめました。とはいえ、ずっと受験勉強だけをしていた僕にはまったくピンとくるものはありません。
そうすると僕に残った道は難関国家資格を取る道でした。医師、弁護士、公認会計士です。医師になるには医学部合格が必須ですから、弁護士と公認会計士のどちらかに絞られます。
またここで、インターネットを駆使していろいろと調べてみました。大学に通いながら勉強するのだったら、会計士の方がよさそうです。それに、法律の専門家になるよりも、自分は会社法を勉強して、経済、経営の専門家になりたい。
在学中に公認会計士試験に合格すれば、在学中に監査法人に就職を決めて働き始めることができることもわかりました。そして僕は、公認会計士試験合格を目指すことにしたのです。
こうして大学入学と同時にダブルスクールで勉強する日々に突入した僕は、受験勉強で身につけた勉強法をさらにブラッシュアップする必要がありました。
具体的な勉強を始める前に、公認会計士試験に合格した人の体験記や成功本をたくさん読み、参考にしました。現役時代と浪人1年目の自分が受験に失敗したのはリサーチと分析が足りなかったから。この失敗を繰り返すわけにはいきません。
予備校に通い始めると、覚えることは膨大でしたが、その間を縫って「公認会計士試験に合格した人と自分の差はなんなんだろう」というリサーチを繰り返しました。その結果、僕は大学在学中に公認会計士試験にパスすることができたのです。
無事に合格し、会社員の頃に独立を考えたときも「自分より先にそのビジネスに成功した人は、どんなことをしているのだろう」「どのくらいの努力をしているんだろう」「どうやってこのビジネスを思いついたんだろう」「軌道に乗せるまでにはどれぐらいかかったんだろう」「資金はどうやって調達したんだろう」「なんの本を参考にしたんだろう」「どんな生活スタイルを送っていたんだろう」などと細かくリサーチをし、分析していました。
リサーチして分析することはビジネスでも当然、重要です。
たとえばカフェを始めようと思ったら、店を開こうとする場所のエリアにはどれくらいのカフェがあって、どれだけの人がカフェを求めているのかを細かくリサーチし、分析する必要があります。
リサーチというのはとても地道な作業で、多くの時間を使います。
誤差範囲を少なくするための適切なサンプリング数は300~400だといわれているので、僕は何か新しいことを始めるときには、300人以上から情報を集めるようにしています。
お金、時間、努力、人脈、情報の使い方
普通の人は、お金と時間はできるだけ節約して、できれば苦労せずに、少ない努力で成功したい、と思うのかもしれません。
でも僕は、多くの人が費やしたくないこの三つ──お金、時間、努力──をなるべく使うようにしていました。
これは、無駄遣いでも贅沢でもなく、投資です。人が使いたくないものを使うからこそ、差がつくのです。
- お金をかける
- 時間をかける
- 努力をする
これをせずに、ただ口であれこれ言っているだけでは結果は出ません。
「何もせずにお金持ちになれたらなあ」と、人生の一発逆転を夢見て、宝くじを買う人は多いけれど、そんな都合のいい話はありません。
何かをやれば可能性が生まれるけれど、やらなければ可能性はゼロです。
自分の成長のためになると思えば、僕は気になる人のセミナーや講演会には、お金と時間を使い、極力足を運びます。
以前、100万円ぐらいかけてパブリックスピーキングを学んだことがあります。
浪人時代、そして大学時代と勉強ばかりしていた僕は、話すことが苦手でした。でも、自分でビジネスをするのであれば、仕事相手であっても、お客さん相手であっても、僕の思いを伝える……きちんと、説得力のある言葉で伝える必要があります。
いいビジネスがしたい。いい商品があれば、きちんと伝えたい。僕はパブリックスピーキングを学び、人前で話す機会を100回以上作りました。
この話をすると「話すことに100万円も!?」と驚かれることがありますが、そこに投資した100万円は信じられないくらいの金額に化けて戻ってきています。
何かに投資しようとするとき、多くの人は回収とのバランスに意識が働きがちですが、僕は、これだけかけたのだから絶対に無駄にしてはならないと、自分に発破をかけます。回収できるかどうかという次元ではなく、必ず使った額以上の利益を出すために努力するのです。
スピーキング力でなく、ライティング力でもいい。人の心を動かす言葉を持つ。そしてそれを相手の心に届ける。その能力を身につけることは絶対に必要です。
大事なのは、お金と時間を投資すること。そして投資したらそれで終わりではなく、その後の努力を惜しまないこと。ただの浪費では終わらせないという意識と覚悟を持つことが大事なのです。
そして、どんな人から学ぶかという問題があります。講師であれば、教え子が実績を挙げている人。その人自身が魅力的で「こうなりたい」と思える人。
人は周りの人間に影響を受けるものです。結果を出している人が周りにいれば、自分も結果を出せるようになります。
できれば、人と人とをつなげる力のある人がいい。そういう人なら「僕の知り合いにこういう人がいるから紹介してあげようか」と、人脈を広げてくれる可能性があります。「僕の知り合いはこういうふうに成功したよ」という具体例を聞くことができます。
いい人脈と情報を使った結果、いい意思決定ができ、いい行動ができ、いい成果を伴うもの。いい人脈の中で声をかけてもらった飲み会や食事会に出席するお金や時間は惜しまないこと。ただ楽しむだけで終われば身の程をわきまえない「浪費」となってしまうかもしれませんが、短い時間の中で良質な人脈や情報を見極める努力をすれば、この時間とお金もいずれ利益を生むであろう「投資」になるのです。