本記事は、伊庭正康氏の著書『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています
コロナ禍以降は営業のプロセスが大きく変わった
●大手も中小も「リモート商談」が必須になっている
リモート営業はこれまで、ITリテラシーが低い企業には向いていないと言われていました。
しかし、2020年を境に大きく変化しました。
どの程度の規模や頻度でテレワークを導入しているかは企業によって異なりますが、一部の業界を除いては、今やスタンダードな働き方になっています。
オンラインの活用は、営業にとって今や必須です。
●新規開拓は「メール・電話」から「接点を持ち、情報提供」へ
リモート営業の流れは、新規でも既存のお客様に対しても、基本的には一緒です。電話かメールで連絡をとって「ほんの少しお時間よろしいでしょうか?」とお伝えします。ここまでは従来の営業と一緒です。
リモート営業の場合は、ここからPCで画面を共有します。
例えば、営業に特化したオンラインツール「ベルフェイス」は、URLを送らなくても、お客様にパスワードを入力していただくだけで共有できます。ただ、導入コストがかかりますので、手軽に始めたい方には、別の方法もあります。
Zoom、Google Meet、Microsoft Teams などのWeb会議ツールは、事前にURLを用意して「差し支えなければ、アドレスを伺ってよろしいですか?」と聞いてメールを送るだけなので、すぐにオンラインで話せます。これらのサービスは無償版も使えますので、コストもかかりません。
接点さえつくれば、すぐに画面共有して情報提供を行えます。移動がなくなったので訪問件数が効率化するだけでなく、商談数もアップします。
オンラインでそのまま商談になる場合もあれば、その後、訪問して商談をする場合もあり、私の実感値としては、商談数は従来の2倍に増えています。
商談数を増やすカギは「BANT情報」を入手することです。BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字をとった略語です。
接点を持ったときに、この4つの情報さえ聞いておけば、お客様に優先順位をつけて継続的にアプローチしやすくなります。
今まではテレアポで断られたら、お客様との関係はそこで終了でした。
リモート営業では情報提供をすることによって「導入時期のタイミングにまた情報を送ります」といった会話ができるので、時期を改めてメールや電話で連絡をするなど、継続的なアプローチがしやすくなったのです。
●提案活動も「商談」→「ミーティング方式」に変わってきている
継続的なアプローチがしやすい理由は、もう1つあります。お客様にとって、オンラインは抵抗感が低いからです。
お客様にしてみれば、わざわざ営業に来てもらうことには、抵抗感があるものです。時間もとられますし、プレッシャーも感じます。
ただ、営業されるのは嫌だけど、役に立つ情報は欲しい。その点、オンラインは営業と直接会うことなく、欲しい情報だけを入手できます。必要なければ、すぐに断ればいいのですから、気楽にアプローチを受け入れることができます。
営業側にしてみれば、情報提供をしながら自然とBANT情報を入手できるので、継続的なアプローチがしやすくなります。もっとも、アプローチとはいっても実質的に商談であることには変わりません。
ただし、いかにも商談という形ではなく、お客様の課題について話し合うミーティング形式で提案活動ができるので、商談を倍に増やせます。
予算・決裁権・必要性・導入時期を確認し、タイミング良く情報提供を行って、お客様の困りごとを解決する提案をしていく。
お客様とのやりとりは、毎回ビデオ通話にする必要はありません。定期的にメールを送ったり、チャットツールでコミュニケーションすればいいのです。お客様と「身内」のような関係になれることを目指します。
お客様と一度も直接会わず、しっかりとした関係が築けるようになったのは、画期的な変化ではないでしょうか?
営業のプロセスが変わったことで、たくさんのメリットが生まれているのです。
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