本記事は、伊庭正康氏の著書『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています
責任者・経営者につないでもらう方法
担当者にしか会えなくて、責任者に会えないときは?
訪問しても会えるのは担当者だけ。決裁者には会えないことはよくあります。テレアポでいえば、責任者に電話をつないでもらえないケースです。
これは、めちゃくちゃ簡単に突破できます。
「ご担当者様いらっしゃいますか?」ではなく「ご責任者様いらっしゃいますか?」、この一言で責任者の方に出てもらえます。
ただ、業種によっては、さまざまな責任者がいます。
例えば、私がやっていた求人広告の場合は「人事のご責任者様」ではダメでした。「採用のご責任者様」でもダメです。
正解は「アルバイト・パートのご責任者様」、あるいは「新卒採用におけるご責任者様」「中途採用におけるご責任者様」です。
求人広告は、部門ごとに決裁者が違う場合が多いので、どの部門の責任者なのかを明確にしないと、電話を取り次いでもらえません。
これは、どの業界でも同じです。
責任者が複数いる会社にテレアポをする場合は、「○○導入のご検討をされるご責任者様」「法人向け生命保険のご責任者様」など、営業したい商品・サービスの直接の決裁者を具体的に指名して電話をつないでもらいましょう。
経営者には「コールドメール」が効果的
経営者に直接アポイントを取りたい。そういう場合もありますよね。でも取引のない会社の経営者に取り次いでもらうのは、かなりハードルが高いです。
そこでオススメなのは、「コールドメール」です。
コールドメールとは、面識のない相手、これまでつながりのなかった新規のお客様に、企業の問い合わせフォームなどを経由して、いきなりメッセージを送ることをいいます。
本来は著名人へのインタビュー依頼などに用いられるものですが、営業メールにも応用できます。ただし、知らない相手からいきなりメッセージが届くわけですから、一歩間違えると不躾な印象を与えてしまい、スパムメールと勘違いされてしまうことさえあります。でも正しく送れば、エグゼクティブとも直接コンタクトが取れ、オンラインで実際に対話することもできます。
コールドメールで重要なのは「下調べ」「サンプル」「具体的なメリット」「オンラインへの誘導」の4つのポイントを押さえることです。
私はエグゼクティブではありませんが、実際にコールドメールをもらったことがあります。そのときのメールを参考に説明しましょう。
(1)下調べ
私がもらったのは、動画制作の営業メールでした。「現在、動画編集のお手伝いをいたしております」という自己紹介の後、次のように書いてありました。
今回は伊庭正康様のユーチューブを拝見させていただき、チャンネルの再生数UP、さらに登録者数をUP、視聴維持率を高める編集のクオリティのアルゴリズムに準拠した編集をご提案致したく連絡させていただきました。
コールドメールを送る際にまず大事なのは、相手のことをちゃんと下調べしておくことです。なぜなら相手の興味を喚起するような内容でなければ、読んでさえもらえないからです。ただ、このときに私が感じたのは「ユーチューブを見てくれてるんだ」ぐらいでした。下調べしてくれているのはわかりましたが、これだけでは、なかなか心は動きません。
(2)サンプル
次にこう書いてあり、2本の動画のURLが記されていました。
ご参考動画/このような動画を制作いたしております。
参考動画がある。これは見ます。やっぱり興味ありますから。
見て「へえ〜」と思いました。見て良かったです。使用ソフトも書いてあって、プロユースのものを使っていることもわかりました。
(3)具体的なメリット
どんなメリットがあるのか。ここが重要です。こう書いてありました。
【納品本数の目安】 週あたり4〜5本
【サービスの特徴】 ・スピードある対応(最低3時間以内。平均30分以内に返信します) ・納期に余裕を持った納品。即納にも対応 ・比較的安価 ・動画のコンサルテーション(チャンネル成長を共に盛り上げていきます)
動画編集を通して、課題を解決する一助になれれば幸いです。
ご希望であれば、お試しで1分動画をつくらせていただきます。
まずメリットに感じられたのは、返信は3時間以内という速さ。あと即納対応。しかも、安価でコンサルもしてくれるといいます。私は思いました。
「それが本当なら十分ペイできそうだな。サンプル動画をつくってもらおうかな」
(4)オンラインへの誘導
かなり興味を持ったものの、いきなりアポイントを取られて、仕事場に来られても困ります。すると、メールの最後にこう書いてありました。
オンラインでお話しさせていただくことは可能でございましょうか?
「オンラインで説明を聞く分には損はないから、聞いてみようかな」
私はそう思って、返信のメールを送り、翌週にはZoomで話をしました。
###パターンさえ守れば、誰が送っても効果を発揮
オンラインで実際に対面したときに、私は2つのことに驚きました。
1つは、相手が学生さんだったことです。
「ど、ど、どうも、こんにちは」と話し方が社会人っぽくなく、ものすごく緊張されていました。聞いてみると、九州に住んでいる大学生でした。
なのに、どうしてこんなにポイントを押さえたコールドメールを作成できたのか不思議に思って聞いてみると、先輩から型を教わったといいます。
コールドメールは一歩間違えるとスパムと勘違いされてしまいますが、「下調べ」「サンプル」「具体的なメリット」「オンラインへの誘導」という4つのポイントを押さえていれば、学生が送っても効果を発揮するのです。
もう1つ驚いたのは、成約率の高さです。動画制作の説明を受けた後、私は勉強の意味で聞いてみました。
伊庭「このメール、何通ぐらい送られたんですか?」 相手「20通です」
なんと、そのうち5通が成約したというのです。当人は自覚していませんでしたが、これはすごいことです。
テレアポで20件電話して、5件なんてまず受注できません。ましてやエグゼクティブや決裁者は忙しいので、普通はこういう反応はあり得ません。
コールドメールは、正しく送れば驚くほど効果があります。実際、私はオンラインで話した後、契約をしました。ぜひ参考にしてみてください。
Point: 「責任者の指名」や「コールドメール」を活用して接触を図る
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