本記事は、伊庭正康氏の著書『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています
顔が見えないことが武器になる
リモート営業も電話から始まる
電話が苦手な方って多いですよね。あなたはどうですか、電話は苦手ですか?
苦手でもいいと思います。今は固定電話に出ることもあまりありませんから。でもだからこそ、電話のかけ方の大事なポイントを押さえておきましょう。
テレアポはもちろん、リモート営業も電話から始まることが少なくないのが現状です。ここで断られてしまったら、オンラインまで進めません。電話をかける際には、対面とは異なる、電話ならではの印象づくり、傾聴、話し方があります。
ここでは、「断られない電話」のテクニックをお伝えします。
まず大事なのは、相手の「警戒感」を解くことです。
お客様と対面するリアルな営業では、スーツやメガネ、身振り手振りなどによって安心感を与えて、相手の警戒心を解くことができます。
電話営業では、こうした武器が一切使えません。
「この人には警戒心を解いても大丈夫」「この人と話してみたい」、そう思ってもらうためには、次の3つのポイントが大事になってきます。
(1)ロジカルな話し方(結論、根拠、補足) (2)言葉のチョイス(礼儀、共感) (3)パラランゲージ(声の強弱や高低、抑揚、間)
対面であれば、ロジカルでなくても、ニュアンスで伝わります。身振り手振りで伝えることもできます。電話では、それらが一切できません。
最初に結論、その後に根拠や補足を伝えるロジカルな話し方をしないと、相手をイライラさせてしまいます。言葉のチョイスも大事です。礼儀正しさ、共感をしっかり示す。これらは言葉でしか伝わりません。
また、パラランゲージというものもあります。これは言語以外の情報のことで、声の強弱や高低、抑揚、間をつくる。このあたりをどれだけ意識できるかです。
でも逆にいうと、これらを意識して話すことさえできれば、顔が見えないことが、むしろ武器になります。お客様に取り次いでもらえる確率が変わりますし、オンラインの対話にもスムーズに移行できます。
対面型の営業は、見た目によってお客様に会ってもらえないことがあります。若さによって、なめられてしまうこともあります。
電話なら、そんな心配はいりません。実は対面型の営業より電話で正しく話したほうが、お客様との関係性が築きやすいケースが多いのです。
声で印象の4割は決まる
心理学には「印象の4割は声によるもの」という説があります。米国の心理学者アルバート・メラビアンは、特定の条件下での実験結果から、人が受ける印象は視覚が55%、聴覚が38%、言語が7%としています。
視覚に頼らずとも、声や話し方、言葉のチョイスによって「この人は警戒感を解いて大丈夫だ」「話してみたい」と思ってもらうことは十分可能なのです。
ゆっくりと心地良い声で話すことができれば、むしろ会うよりも好感を持ってもらえて、会話に至りやすかったりします。
新人や年配の方が営業する場合は、特にそういう傾向が強いです。
電話は年齢の壁を乗り越えやすい
営業において、新人に見られることは不利です。「新人を武器にする」とよく言われますが、実は新人であることは武器にはなりません。
新人だからミスをしても許されることはありますが、お客様の立場で考えたらどうでしょう?
同じお金を払うんだったら、新人に担当してもらうより、ものをよく知っている人に担当してもらったほうが安心ですよね。
私は営業職のリーダーをしていた頃、「営業においては新人であることをウリにしないほうがいいよ」と、よく話していました。
電話なら、新人であっても相手にはわかりません。
ロジカルに結論から話し、的確な言葉をチョイスする。礼儀正しく、しっかりと共感する。ゆっくりと、心地良い声で話す。
これらを意識して話すことができれば、新人とは思われません。新人だからといってなめられることもなく、お客様も安心して話してくださいます。
年配の方も一緒です。
ある会社に、定年退職した営業職だけを集めたテレアポ部隊があります。みなさん60歳を過ぎて定年退職された元管理職なのですが、アポイント率がめちゃめちゃ高いのです。私はその様子を目の当たりにして驚きました。
その部隊は社員募集の求人メディアの営業をしていましたが、求人業界では社長にアポイントを取れると話が早く進みます。
若手が電話をしても、なかなか社長に取り次いでもらえませんが、年配の方がゆっくりと落ち着いた声で電話をすると、簡単にアポイントが取れます。
営業「お世話になっております。〇〇の△△と申します。山田社長、お見えでございますでしょうか?」 窓口「どういったご用件でしょうか?」 営業「□□商事はご存知でしょうか。私、かつて、その関連会社で社長をやっておりまして、今は求人メディアのお手伝いをしておりますものですから、人の採用などでいろいろと情報を持っております。情報交換できればと思いまして、お電話させていただきました」
自分より年上の人から、このような電話が来たら窓口の人は断れません。むげにはできないと感じて、社長に取り次いでくれます。
対面型では60歳を過ぎていることは、人によっては不利になる場合がありますが、電話なら見た目ではなく、その信頼感のある声と話し方が武器になります。
年配の方でも若手のような話し方をしている人もいますが、それはもったいないです。年配の方には、それを武器にする電話のかけ方があります。自分のウリは何か、特に意識してもらいたいのです。
人生100年時代です。その年齢だからこその強みを生かして、リモート営業も覚えれば、今後も長く活躍できます。
若手の方も、電話であれば年齢的な不利を覆すことができます。ほんの少し話し方を変えるだけで信頼され、お客様に耳を傾けてもらえるようになります。
顔が見えないことを、年齢の壁を乗り越える武器にしましょう。
Point: テレアポでは、顔が見えないことがむしろ武器になる
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