本記事は、伊庭正康氏の著書『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています
契約率の高いリストを用意する方法
●「勝ち筋」を教えてもらったら、売上が12倍に増えた!
テレアポで重要なのは「勝てるリスト」に絞ることです。そうでないと、一生懸命、ひたすら電話しても、なかなか結果が出ません。
リストが良ければ、開拓数が何十倍になることもあります。
私は新人時代、最初の頃は本当に売れていませんでした。ある地域の地図を上司から渡され、とりあえずローラー、いわゆる飛び込みをしてきてくださいと言われました。なんとか頑張って1件、2件の成果は出ました。でもこれだけでは少ないわけです。自分には営業のセンスがないのかと悩みました。
そこで上司が変わりました。この上司がトップセールスだったのです。
「伊庭くん、ローラーはいいから、このリストで回ってほしい」
1週間後、驚くべきことが起こりました。
それまで1ヶ月で2件だった私が、なんと1週間で6件も受注できたのです。その差、なんと12倍です。いったい何が起こったと思いますか?
たった1週間ですから、当然、私のスキルが上がったわけではありません。
実は、その上司が、私に「勝てるリスト」を教えてくれただけなのです。
それも種明かしをされてみると、びっくりするほど簡単な方法でした。
●「1件しか決まらないリスト」と「5件が決まるリスト」
「勝ち筋」をつくる方法は、2つのことをするだけです。
1つはやはり「契約率の高いリスト」をつくること。もう1つは「無駄なリストは使わない」と覚悟を決めること。これだけです。
例えば、100件中1件しか決まらないリストと、100件中5件が決まるリストがあるとします。どちらが効率が良いと思いますか?
当然、100件中5件のリストですよね。
100件中5件が決まるリストがあるのに、100件中1件しか決まらないリストが混じっていると、契約率が下がってしまいます。ですから、後者のリストは切り捨てるのです。
たったそれだけで、売れない新人だった私でも、売上が12倍に増えました。
では、「契約率の高いリスト」は、どのようにつくったらいいのでしょうか?
私が上司から教わったテクニックを紹介します。
●契約率の高いリストのつくり方
まずは、下図のように、さまざまなリストを「受注率」と「対象企業数」で分けるマトリクスを用意します。
それぞれの対象リストは、業種、企業規模、従業員数など、さまざまな要素のデータをもとに抽出します。
仮にすべてのリストの平均受注率が3%だとします。すると、3%より高いのは「契約率の高いリスト」ですよね。
そして、それぞれのリストを、マトリクスにプロットしていきます。その上で、マトリクスの上の部分に分類したリスト、つまり「契約率の高いリスト」だけにテレアポの対象を絞るのです。
一方、マトリクスの下の部分、契約に至る率が3%以下のリストは「テレアポをしない」と決めます。すると、何が起きると思いますか?
2ヶ月後には、スキルを上げることなく2倍くらいの新規獲得数になります。
こんなに簡単な方法なのに、ほとんどの会社ではこれをやっていません。それは、営業対象リストを分類するためのデータを取っていないからです。
世帯収入、地域、世帯の平均年収、お子さんがいらっしゃる割合など、それぞれの商売に合わせて出せるデータがあるはずです。
営業対象リストから平均受注率を出して「契約率の高い営業対象」を分類してみてください。さらに対象企業数の多さと受注率の高さによって、より細かく分けてみてもいいでしょう。対象企業数が多く、受注率が高いA群から営業をかけていけば、さらに効率良く成果を出せます。
●「リーン・スタートアップ」をゲームとして楽しむ
「そんなに対象を絞ったら、営業できるところがなくなってしまいます」
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。
でもマトリクスの下側は、電話をしたらダメなリストなのです。テレアポをするのは、リストの上だけに絞る。それが効率良く売上を伸ばす秘訣です。
「リーン・スタートアップ」という、いま流行りの言葉があります。これは「リスクのない範囲で小さく実験しよう」という考え方です。
高受注率のリストが少なかったら、リストを増やしましょう。リスクのない範囲で小さな実験をしながら、受注率の高い業界や会社を探していくのです。
もちろん実験には、失敗がつきものです。私もたくさん失敗をしました。
例えば、農家の後継者がいないと問題になっていたので、全国の農協をリストアップしてテレアポしてみたら、まったくの見当違いでした。県庁に電話したら「予算化事業だから来年来てください」と断られこともありました。
それでいいのです。失敗したら、そこはやめて新しいリストをつくり、受注率が高いところを探していけばいいだけです。
小さな実験をゲームとして楽しみながら、リーン・スタートアップを繰り返して、「契約率の高いリスト」を増やしていく。
私もいっぱい失敗しましたが、高受注率リストがどんどん増えていきました。ある業界はタイミングがぴたりとハマって大当たり。まさしく「入れ食い状態」になりました。実験に成功すると本当に嬉しく、最高に楽しい状態になります。
あなたもいろいろな切り口で、リーン・スタートアップを楽しんでみてください。「契約率の高いリスト」が増えれば、売上が何十倍にも増加していきます。
Point テレアポをするのは「平均受注率」より「上」のリストに絞る
※画像をクリックするとAmazonに飛びます