日経平均株価は11/5(金)~11/10(水)に4営業日続落した後、11/11(木)~11/12(金)には続伸となり、ようやく落ち着きを取り戻してきました。11/5(金)以降は連日で、3桁の件数の決算発表が継続。業績予想を下方修正する銘柄も少なくなく、当初は警戒感が強まりましたが、決算発表の進捗とともに、リスクが後退する形になりました。

11/15(月)には、おおむね決算発表も終了します。発表された業績数字をもとに、いよいよ銘柄間比較が本格化し、機関投資家の銘柄入れ替え等を通して株価の明暗が分かれてくるものと予想されます。そこで、11/15(月)以降の株式市場で物色対象になりそうな銘柄を、次の2つの観点から抽出し、分析してみました。

(1)今上半期の利益が市場予想を上回り、アナリストが高い成長を見込み、決算発表後の株価も上昇基調の銘柄。
(2)今上半期の利益が市場予想を下回り、会社予想利益が下方修正されたものの、決算発表後の株価が上昇基調の銘柄。

それぞれ、どのような銘柄が抽出されるのでしょうか。

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

日本株投資戦略
※YouTubeに遷移します。

■執筆者のプロフィール

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長 
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

《決算発表がほぼ終了!》銘柄選別の季節に勝ち残り、株価が上昇しそうな銘柄は!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

冒頭(1)の銘柄を抽出する条件は以下の通りです。

(1)時価総額1,000億円以上(2021/9末)の3月決算・東証1部上場銘柄。
(2)11/10(水)までに今上半期(2021/4~9期)の決算発表を終了した銘柄。
(3)予想EPSの予想を2名以上のアナリストが公表している銘柄。
(4)決算発表前営業日終値に対し、決算発表翌営業日終値が上昇した銘柄。
(5)今上半期の営業利益実績が、事前の市場予想(市場コンセンサス)を超過した銘柄。
(6)今上半期の営業利益実績が前年同期比で20%超増加した銘柄。
(7)今期(2022/3期)の市場予想営業利益が10/20(水)から11/10(水)の間に上方修正された銘柄。
(8)今期の市場予想EPSが過去4週間で低下しなかった銘柄。
(9)今期・来期ともに市場予想営業利益が10%以上の増益予想の銘柄。

図表1の銘柄は、これらの条件をすべて満たしています。掲載はコード番号順です。

次に冒頭(2)の銘柄を抽出する条件は以下の通りです。

(1)~(4)は上記と同条件。
(5)今上半期(2021/4~9期)の営業利益実績が、事前の市場予想(市場コンセンサス)を下回った銘柄。
(6)さらに、今期会社予想営業利益が下方修正された銘柄。

図表2の銘柄は、これらの条件をすべて満たしています。掲載はコード番号順です。 業績に関し、悪材料が重なったにもかかわらず、決算発表後の株価は上昇しており、株価下落のリスクは相当後退していると考えられます。

業績が市場予想を上回り、決算発表直後の株価も上昇した銘柄 業績が市場予想を上回り、決算発表直後の株価も上昇した銘柄
(画像=SBI証券)

図表1 業績が市場予想を上回り、決算発表直後の株価も上昇した銘柄
コード / 銘柄 / 株価(11/12) / 投資ポイント
<1878> / 大東建託 / 13,470 / 上半期は売上高が前年同期比6%増、営業利益が20%増。物件建設から入居者募集・管理までオーナーを支援する不動産事業の入居率が過去最高。市場は今期12%、来期11%の営業増益を予想。
<2175> > / エス・エム・エス / 4,620 / 介護・医療(看護師)等のインターネットを使った人材紹介や介護事業者の経営支援プラットフォームが中心。後者が順調に拡大。市場は今期16%、来期19%の営業増益を予想。
<2326> / デジタルアーツ / 10,560 / 「i-FILTER」など情報漏洩対策ソフト等を官公庁や企業に提供。テレワーク拡大でクラウド系サービスが伸長。通期予想営業利益を37→40億円に上方修正。市場は今期34%、来期15%の営業増益を予想。
<4062> / イビデン / 6,880 / 今期会社予想営業利益を450億円から625億円に上方修正。主力のICパッケージ基板を含む「電子事業」が好調。全社売上高の35.7%がインテル向け。市場は今期52%、来期17%の営業増益を予想。
<4676> / フジ・メディア・ホールディングス / 1,293 / 売上構成比(2021/3)は「メディア・コンテンツ」が84%、「都市開発・観光」が15%。広告の回復で前者が回復。市場は今期59%、来期16%の営業増益を予想。
<4739> / 伊藤忠テクノソリューションズ / 3,795 / 上半期は営業利益が前年同期比20%増。受注高・同残高が半期として、営業利益率は2013年度以降で最高。DXへ取り組む企業が増え、IT投資が増加。市場は今期15%、来期10%の営業増益を予想。
<6305> / 日立建機 / 3,695 / 今期会社予想調整後営業利益を620→740億円に上方修正。中国以外が好調で、部品・サービス売上の増加や円安も貢献。市場は今期149%、来期17%の営業増益を予想。
<6436> / アマノ / 2,741 / 勤労管理システムが好調。テレワークの普及等もあり、従業員の勤務状況を把握したいとの企業ニーズが増加。市場は今期32%、来期26%の営業増益を予想。
<6504> / 富士電機 / 5,820 / 今期会社予想営業利益を600→670億円に上方修正。電気自動車及び産業向けに需要が拡大するパワー半導体が増加。市場は今期34%、来期14%の営業増益を予想。
<6807> / 日本航空電子工業 / 1,830 / NECが35%を保有。電力・電気信号の流れをつなぐコネクタで世界3位。5G投資やEV市場の拡大で成長期待。今期予想営業利益を上方修正。市場は今期89%、来期14%の営業増益を予想。
<7832> / バンダイナムコホールディングス / 9,300 / 今期会社予想営業利益を750→900億円に上方修正。アミューズメント施設の回復や新規タイトル好調等が要因。e-スポーツやVRへの取り組みに期待。市場は今期19%、来期16%の営業増益を予想。
<8801> / 三井不動産 / 2,660.5 / 我が国の不動産最大手。売上構成比(2021/3期)は賃貸31%、分譲36%、マネジメント20%。新型コロナで苦戦の「ららぽーと」や貸駐車場が改善。市場は今期20%、来期17%の営業増益を予想。

各種報道、会社資料等をもとにSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。

業績が市場予想を下回り、会社予想も下方修正されたものの、決算発表直後の株価が上昇した銘柄
(画像=SBI証券)

図表2 業績が市場予想を下回り、会社予想も下方修正されたものの、決算発表直後の株価が上昇した銘柄
コード / 銘柄 / 株価(11/12) / 投資ポイント
<2146> / UTグループ / 4,190 / 製造業向けに無期雇用派遣・業務請負サービスを提供。おもな派遣先は半導体・電子部品だが、最近は対象を自動車等の製造業全般に広げている。通期予想営業利益を下方修正したが、想定以上の需要で採用関連費用を増やしたためで懸念は不要と考えられる。
<4680> / ラウンドワン / 1,542 / 屋内型複合レジャー施設を展開。ボウリングやゲーム機器、カラオケ、各種スポーツなど多くの遊戯施設を楽しめる。上半期の営業損益は前年同期から96億円改善も46億円の赤字。通期会社予想を下方修正。
<5802> / 住友電気工業 / 1,559.5 / 自動車向けのワイヤーハーネスで世界的な大手。同製品を含む自動車関連が売上構成比(21/3期)で53%を占める。自動車メーカーの減産や原材料・物流価格の上昇を織り込んで通期業績予想を下方修正。しかし、トヨタなどは挽回生産本格化へ。
<7947> / エフピコ / 3,935 / 生鮮食料品、惣菜・弁当等で使用される食品トレー容器のトップメーカーで、レンジで使用可能な透明容器などを開発してきた。今期予想は売上の修正はないものの、予想営業利益は196→174億円と下方修正。ポリエチレンなどの原材料価格高騰が響きそうだ。
<9142> / 九州旅客鉄道 / 2,662 / 主に九州で鉄道事業他を展開。他のJR3社はコアの鉄道事業の売上構成比が最低でも5割以上あることに対し、同社は多角化が進んでいる。予想配当利回りも相対的に高め。決算で悪材料出尽くしか。
<9706> / 日本空港ビルデング / 6,060 / 羽田空港旅客ターミナルの管理運営会社。新型コロナウイルスの感染収束や「Go Toトラベル」再開で、航空会社の客数回復に期待。市場予想営業損益は今期赤字267億円から来期は54億円黒字へ

各種報道、会社資料等をもとにSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。

抽出銘柄の投資ポイント

この項では、図表1および図表2で抽出した銘柄について、投資ポイントなどをご紹介します。

ラウンドワン(4680) 屋内型複合レジャー施設を運営、海外出店も積極的に展開。

ラウンドワン(4680)
(画像=SBI証券)

期間:2021/5/23~2021/11/12(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■郊外ロードサイドに複合アミューズメント施設

屋内型複合レジャー施設を展開。ボウリングやゲーム機器、カラオケ、各種スポーツ、ビリヤード・ダーツなど多くの遊戯施設を楽しめます。

日本を中心に米国他にも展開。店舗数(2021/10末)は国内99店舗、米国46店舗、ロシア1店舗、中国2店舗等合計148店舗を展開しています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2021/3期は売上高が609億円と、前期比41.8%減少。営業損益は192億円の赤字となりました。2022/3期は当初、会社側は売上高1,061億円、営業利益61.2億円と回復を見込んでいましたが、11/5(金)に売上高990.8億円、営業利益6.5億円に下方修正。新型コロナウイルスの感染拡大が長引いたことが原因と考えられます。

■新型コロナウイルスの感染減少で「悪材料出尽くし」に

決算発表と業績予想の下方修正を行った11/5(金)前日の終値は1,397円しかし、11/8(月)~11/11(木)には4営業日続伸となり、株価も一時1,619円(11/8)まで回復しています。足元で新型コロナウイルスの新規感染者数は減少しており、投資家は「悪材料出尽くし」と捉えたようです。

6/4(金)高値1,654円、10/4(月)高値1,615円とあり、11/8の高値で上値抵抗ラインに届いた可能性も大きく、短期的には戻り売りに注意。しかし今後も、行動制限の緩和が続けば、これをクリアしてくる可能性がありそうです。

富士電機(6504) 2021/3期に最高益更新、脱炭素の時代に活躍期待の企業

富士電機(6504) 
(画像=SBI証券)

期間:2021/5/23~2021/11/12(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■パワーエレクトロニクス技術が基盤

1923年に古河電気工業(5801)と独シーメンスの合弁企業として設立されました。

電気エネルギーを効率的に使うパワーエレクトロニクスが技術的基盤。一般産業向けに広く普及するパワー半導体の他、プリンタに使われる感光体、HDDを構成するメディア媒体、自動販売機、コーヒーマシンなど広範囲にわたる製品を開発し、販売しています。

2021/3期に売上高は8,759億円(前期比2.7%減)と伸びませんでしたが、営業利益485億円(同14.3%増)、純利益419億円(同45.6%増)と最高益を更新。このうち、売上高1,575億円、営業利益177億円を確保した半導体事業がけん引役となっています。

2022/3期・第2四半期(累計)は売上高3,976億円(前年同期比11.4%増)、営業利益162億円(同207.7%増)と好調。通期の会社予想営業利益は600億円から670億円(前期比37.9%増)に上方修正されました。市場では2023/3期の営業利益を744億円と予想しています。

■パワー半導体の成長に期待

半導体事業の中心はパワー半導体です。

パワー半導体は高い電圧を扱うことができる半導体で、発熱・破損しやすい分、電力損失を少なくすることが求められるのが特徴で、パワー半導体の使用により、エアコンの消費電力は10年で40%減少したと言われます。

なお、パワー半導体の世界トップ企業は独インフィニオンテクノロジーで、国内では三菱電機がトップ、同社は第5位とされています。

EV(電気自動車)やハイブリッド車では、ガソリン車に対して数倍から10倍程度のパワー半導体が必要になると言われており、今後も市場は拡大し、同社業績も成長しそうです。

SBI証券 企業調査部も同社をカバーしています。

予想営業利益は2022/3期680億円から、2023/3期は788億円、2024/3期は888億円と拡大の見込み。11/8(月)付レポートで目標株価は6,600円から7,000円に引き上げられ、投資判断は「買い」を継続されています。

株価は11/12(金)に年初来高値を更新しています。

九州旅客鉄道(9142) 非鉄道分野のウエイトが高く、配当利回りが高い

九州旅客鉄道(9142)
(画像=SBI証券)

期間:2021/5/23~2021/11/12(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■九州で鉄道事業他を展開。非鉄道分野のウエイトが高い

主に九州で鉄道事業他を展開しています。

売上構成比(2021/3期)は運輸サービスが25%、建設25%、不動産・ホテル21%、流通・外食13%他となっています。

他のJR3社はコアの鉄道事業の売上構成比が最低でも5割以上あることに対し、同社は多角化が進んでいるのが特徴です。前期は新型コロナウイルスの感染拡大によって、他のJR3社は売上高が平均で45%減少しましたが、同社の減収は32%にとどまりました。

損益についても、他のJR3社が平均で3千億円超の営業赤字に転落したのに対し、同社は営業赤字が228億円と限定的でした。

■高めの配当利回り。決算発表で悪材料出尽くしの形

2022/3期・第2四半期(累計)は売上高1,416億円(前期比13.7%増)、営業損益は40.7億円の赤字(赤字縮小)でした。通期では当初、営業利益106億円の会社計画でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大が予想以上に長引き、23億円の営業赤字に下方修正されました。

ただし、この下方修正で「悪材料出尽くし」となった模様で、株価は11/1(月)終値2,589円から11/8(月)には一時2,772円まで回復しました。

新型コロナウイルスの新規感染者数はピークから大きく減少。今後は「Go To トラベル」の再開も模索されます。現在は3/16(火)に付けた2,884円が年初来高値ですが、中期的にはそこを上回る展開に期待したいところです。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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