本記事は、清水申彦の著書『なぜ、一流の人のデスクはキレイなのか? 片づけが9割』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています
重要度の低い仕事から取りかかり、仕事のスピードを上げる
いつも時間が足りないと感じている人は、前項のようにタスクを整理しましょう。
ただ、日々忙しく働いているビジネスパーソンは、タスクが山積みなはずです。その膨大なタスクを片づけている最中にも、上司からは「急ぎで」と新たな仕事が振られ、さらにタスクがたまってしまいます。
タスクの数が増えていくとストレスもたまり、ひいては目の前の仕事をこなす効率にも影響します。そうしてタスクを片づけられなくなっていく悪循環に陥りやすくなるのです。
タスクの整理もできず、仕事がどんどんたまってしまう状況のときは、すぐに完了できる重要度の低い仕事から始めてみてはいかがでしょうか。
メールの返信や回覧書類の処理など、すぐにできる仕事から片づけていけば、タスクはどんどん減っていきます。すると、気持ちも楽になり、ストレスの解消にもつながります。
そういったタスクは「一度で終わらせる」、そして「なるべく早く行う」ことを習慣づけましょう。
重要度が低いタスクを何度も見直したり、完璧な仕事を目指して時間をかけたりすると、仕事のペースが下がり、やる気も軽減してしまいます。
これは難しい仕事に集中し切れないときにも有効なやり方です。簡単な仕事を片づけていくことで集中モードのスイッチが入り、気付けば取り組みづらかった仕事を一気に片づけることができる。そうした効果も期待できます。
<POINT>
コツコツやることが仕事を片づける近道
頭を使う仕事は午前中に片づける
午前中は「仕事のゴールデンタイム」といわれています。脳科学の研究によると、人間は睡眠中に記憶の整理を行い、朝起きたときには、脳がさまざまな情報を処理できる状態にリセットされているそうです。
そのように脳がフレッシュな状態のときは「頭を使う仕事」に適しています。集中力が必要とされる仕事は、午前中に済ませましょう。
一方でランチ後の数時間は眠気が出やすくなります。
これは人間の生体リズム上、避けることができません。午後の始めの時間は、頭を使う仕事には向きません。考える仕事よりも、単純な事務処理や、作業系の仕事に取り組むほうが有効です。あるいは移動時間にあてるのもよいでしょう。
そうしているうちに眠気が取れ、また集中できる時間帯がやってきます。
1日の勤務時間を8時間とすると、午前中の3時間を「集中タイム」、ランチ後の2時間を「作業タイム」、そこから退社までの3時間を「サブ集中タイム」と分けて考えましょう。1日の脳のサイクルにうまくタスクを合わせていけば、より効率的に仕事ができます。
ちなみに、仕事がデキる人は出勤時間が早い傾向にあります。「集中タイム」を長くし、生産性の高い仕事をより長くできることで、結果も出ているのだと思われます。
もちろん、そうした人が脳の働きを理解しているかどうかはわかりませんが、無意識のうちに、普段から体や頭の状態と仕事との効率的な組み合わせを考えて取り組んでいるようです。
<POINT>
1日の初めに「作業タイム」用の仕事を決めましょう
仕事は一度「頭から消す」ことで完成度が高まる
忙しいときほど、休憩を挟まず長い時間仕事を続けてしまいます。簡単かつ時間のかからない仕事であれば、スタートから完了まで一気に片づけてしまっても問題はありません。
しかし、クオリティが求められるような仕事に取り組んでいる場合は、作業を数回に分けるようにしましょう。
例えば、次の会議でどうしても通したい企画書を作るとします。作成に5時間かかるとして、5時間続けて企画書を作成していれば、必然的に集中力は落ちていきます。
人の集中力は長時間続きません。同じ作業を続けることで、そのクオリティはどんどん低下していきますし、アイデアも煮詰まってしまいます。
この場合であれば、作業を2時間、2時間、1時間と区切りましょう。理想的には日をまたいで、1日目2時間、2日目に2時間、3日目に1時間と分けます。その仕事をいったん「寝かせる」という感覚です。頭の中からその作業のことがなくなる時間を作ります。
仕事を分割することで脳がリセットされ、新しいアイデアが浮かんだり、最初は気付けなかった書類の不備を見つけたりすることもできます。また、第三者の目で内容を精査してもらいながら進めることもできます。
時間効率が悪いようにも思えますが、複数のタスクを同時進行していく形にすれば、無駄はありません。集中力は1つの仕事を長時間行うより複数の仕事を交互にしていくほうが長く続きます。
さらに、この方法を取ることで複合的に予定を考えられるようになり、よりレベルの高いスケジュール感覚も身に付いていきます。
<POINT>
集中力がなくなったら仕事を切り替える意識を
某部材メーカー(従業員数約500人)に入社後、営業部、広告部、資材部などに配属される。入社から15年を経て社内コンサルタントとして全社(事務所・現場)の5S活動を推進。社内、各事務所の業務改善を行い、大幅な生産性向上を成し遂げる。独立後は、オフィスマネジメント、ワークライフバランス、業務効率化の専門家として活動している。
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