経営戦略を策定する基本的なプロセス

ここからは、経営戦略策定の基本的なプロセスを解説していく。一貫性のある計画を立てるために、以下を参考にしながら丁寧に経営戦略を組み立ててほしい。

【STEP1】経営理念・経営目標の策定

まずは経営戦略の核となる、経営理念を考えていく。

経営理念とは、企業の存在意義や価値観、行動指針などを言語化したものだ。なかなか思い浮かばない場合は、「自社の使命やミッション」のように言い換えるとイメージしやすくなる。

経営理念が固まったら、次はその抽象的な内容を「経営目標」へと変えていく。経営目標の策定時には、将来的に目指す会社像を数値化すること(売上やシェア率など)がポイントになる。

事前に定めた経営理念とマッチするように、どのような数値目標を立てるべきか慎重に考えていこう。

【STEP2】内部環境・外部環境の分析

内部環境とは、簡単に言えば自社が保有している経営資源(ヒト・カネ・モノ)のことだ。内部環境分析では「どんな経営資源をどれくらい所有しているか?」を明確にしながら、自社の強みや弱みを明確にしていく。

一方で外部環境とは、自社を取り巻く環境のことである。外部環境には多くの要素があるため、以下の2つに分けて分析する方法をすすめたい。

経営戦略の必要性とは?策定の基本プロセスや成功につなげる3つのポイント

内部環境や外部環境を分析しておくと、業界内における自社の立ち位置が分かりやすくなる。つまり、現実的かつ効率的な戦略を立てやすくなるので、これらの分析にはじっくりと時間をかけよう。

【STEP3】戦略ドメインの策定

戦略ドメインとは、企業が進出する事業領域のことだ。ここまでに決めた経営理念や経営目的、さらに内部環境分析・外部環境分析の結果も踏まえた上で、「どの事業領域で勝負するか?」を考えていく。

戦略ドメインを明確にしておくと、会社全体の方向性を統一しやすくなる。また、経営資源の優先配分先が分かりやすくなる点も、戦略ドメインを策定するメリットだろう。

なお、戦略ドメインの策定方法やポイントについては、後述で詳しく解説する。

【STEP4】企業戦略(全体戦略)の策定

ここまで進んだら、いよいよ全社的な企業戦略を策定していく。この後に策定する事業戦略・機能別戦略にブレが生じないように、【STEP3】までの内容を強く意識することが重要だ。

具体的に決めるべき項目としては、進出する市場や資源配分、顧客に提供する製品・サービスなどが挙げられる。そのほか、経営理念やビジョンを社内で共有する方法や、事業全体の方向性などもこの段階で煮詰めておきたい。

【STEP5】個別戦略(事業戦略・機能別戦略)の策定

個別戦略の策定は、企業戦略を達成するために「何が必要になるのか?」を意識しながら進めていく。例えば、事業戦略であれば顧客戦略や事業モデル、機能別戦略では各部門が達成すべき目標や方向性などを定めていく。

なかでも機能別戦略は、各部門の「具体的な行動」まで落とし込むことが重要になる。必要であれば各部門の戦略(人事戦略やマーケティング戦略など)を策定し、その上の事業戦略や企業戦略を達成できる仕組みを構築していこう。