本記事は、菊岡正芳氏の著書『売上を10倍にする「コンサル脳」のつくり方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
顧客の望む未来を実現して価値を10倍にせよ!
あなたの商品・サービスは顧客が欲しくなる機能・品質・競合との違いを満たしています。提供者側は十分満足する商品・サービスを作った。あとは自然に売れていく。絶対に売れるはずだと思っています。
しかし、現実はうまくいかずに悩んでいます。
顧客が欲しいのはあなたの商品・サービスそのものではありません。あなたの商品・サービスを選ぶと実現できる、顧客にとっての満足する変化、つまり購入することによって得られる「理想の未来」です。
あなたの商品・サービスは、顧客が実現したい変化、「理想の未来」のための選択肢のひとつ、手段の1つです。あなた以外が提供するもので、満足する変化や未来が描けるならばそれで良いのです。商品・サービスの機能や品質は大切ですが、顧客にとっては「理想の未来」が得られるかどうかが何より重要で、機能や品質を詳しく知りたいとは本来思っていません。機能・品質などはそのための道具とも言えます。
つまるところ、「理想の未来」とは、顧客が期待している変化です。ある特定の場面で、顧客が満足感が得るための変化と言い換えることもできます。
一方で、顧客の不足や不満を充足するだけでも十分となる場面があります。
たとえばランチの店を探す場合、時間がない場面では短時間で食べられる店を探して入ります。一方、顧客とのビジネスランチであれば、おいしい食事で満足でき、かつ静かに話せる、予約で確実に良い席が取れるレストランを選びます。
場面によって顧客の求める「理想の未来」は異なってきます。
あなたの商品・サービスは、顧客のどんな「理想の未来」を実現するのでしょうか。
私は現在、企業向けにマーケティング・セールスのコンサルティング事業を行っておりますが、お客様にコンサルティングを行うと、「もう十分に考えて設定できています」とお答えになる方がほとんどです。
既にあなたの商品・サービスを使って満足されている、満足されているらしい方が確かにいるのです。必ず愛用顧客がいます。
コンサルティングの際、私は会社の方に次のことを尋ねています。
●顧客はどんな場面であなたの店を選びますか? ●どんな目的であなたのお店を選びますか? ●どんな変化に満足されていますか? ●それはあなたのお店でのみ提供できることですか? ●顧客にとってのオンリーワンの場面は何でしょうか?
自信に溢れていたにもかかわらず「いや~、何だろう」と戸惑う方が大勢いらっしゃいます。
さらに詳しく教えてくださいと伺うと言葉に詰まることが少なくありません。また、1つや2つの事例を挙げることはできても「他の場面はどうですか?」と尋ねると、十分なお答えをいただけないことがあります。
あるいは「トータルサービスが優れています」と答える方もいます。そのトータルサービスを場面で分けるとどうなりますか? と尋ねると、「一つひとつは他と代わり映えしないね」とお気付きになることがあります。
提供者側は意外と、商品・サービスを購入することで起きる顧客の変化に意識を払っていないのです。自分の商品・サービスの興味は高いのですが、顧客の特定の変化には興味が向いていないのです。顧客の全体像を大雑把に捉えているものの、特定場面の細部、特に感情を動かし選択する決め手となる変化には意識が向いていない方が多いです。
「それはマーケットリサーチすれば分かるでしょ」と言われる経営者や営業・マーケティング担当者がいますが、リサーチでは捉えることができない場合がほとんどです。
理由は、マーケットリサーチでは、調査する側が分かっていること、あるいは知りたいことに焦点を当てて調べます。分かっていないこと、知りたいと思わないことに焦点を当てることができません。自由記述欄を設ければある程度抽出できますが、リサーチ結果を読む側に特定場面の特定の変化を読み取ろうという意識がなければ引き出すことはできません。またリサーチを難しくしているのは、顧客が欲する「理想の未来」をうまく言葉として表せないことがあります。選んだ理由は、満足する場面ではなく、あなたが広告している宣伝文句として答えることが多いからです。
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