本記事は、菊岡正芳氏の著書『売上を10倍にする「コンサル脳」のつくり方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
ペルソナ・マーケティングだけでは不十分!
マーケティング業界では、商品・サービスの開発・販売の際に「ペルソナを描け!」と教えられます。
ペルソナとは、特定の顧客のこと。特定の顧客の具体的な姿を描くことでさまざまなメリットがあると教えられています。
ペルソナを作る要素として、次のようなことが一般的に挙げられています。
・氏名 ・年齢 ・性別 ・学歴 ・職業 ・肩書き(社内での役職など) ・年収 ・居住地(住んでいる場所、賃貸・持ち家など) ・家族構成(既婚・未婚、子どもの数や一緒に住んでいる家族の情報) ・趣味(複数でも可) ・日課にしてること ・利用しているSNS
ここまで人物像を描くと、よりリアルな人が思い浮かびます。どんな生活しているかが分かりやすくなります。
ペルソナのメリットは、次の通りです。
(1)顧客視点で考える精度を高めることができる (2)社内でどのような人物を対象にするのか共有できる (3)時間など効率的な商品・サービスの開発ができる
ペルソナでは特定顧客を描きます。その顧客に合わせて商品・サービスやメッセージを作ります。こんな生活しているので、「こんな商品・サービスを必要とするだろう」とイメージすることができ、そのイメージに合った商品・サービスができあがります。
ペルソナ通りの顧客があなたの商品・サービスを選び、あるいは営業パーソンや友人・知人からの紹介、ウェブ検索で選んで購入されています。
一方で、ペルソナ以外の顧客も買い求めています。
ペルソナ通りであってもペルソナ以外であっても、顧客にはあなたの商品・サービスを選んでいる理由や基準があります。
どんな場面で、どんな変化や満足が欲しくて購入したのでしょう。ペルソナ通りと、ペルソナ以外では場面と満足感は変わるのでしょうか? 共通点はあるのでしょうか?
ペルソナには1つ欠点があります。それはペルソナ・マーケティングは事前に顧客を設定し、その顧客が望むものは何かを考えていくことです。
「コンサル脳」をつくり、売上を10倍にする価値のつくり方は、リアルに顧客が使った場面と、その使ってみた変化・満足を捉えています。ペルソナは必要条件で、あくまでも仮説にすぎません。一般的にペルソナは見直しが必要と言われています。
一方、「価値ストーリー」は、仮説ではなく、リアルの事実です。「価値ストーリー︎」は、ペルソナにぴったりの顧客もペルソナ以外の顧客も含めたリアルの使用場面と変化・満足を捉えています。
私の尊敬するピーター・ドラッカーは、著書『現代の経営』で、次の項目に照らし合わせて、自らの商品とサービスを顧客の欲求を分析する必要がある、と述べています。
・何が自らの市場であるか ・誰が顧客であるか ・どこに顧客はいるか ・何を顧客が買うか ・何を顧客は価値と見るか ・顧客の満たされていない欲求は何か
「価値ストーリー」︎は、市場のリアルを捉えます。顧客が買ったものの価値、満たされていない欲求にも焦点を当てる手法です。買ってくれた顧客は誰かが分かります。仮説の顧客ではなく、リアルの顧客が求めている変化・満足、あなたの商品・サービスの価値を集め分析していく方法です。
またドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と述べています。「顧客の創造」とは何か? 私はライフワークとして考えてきました。私が得た結論のひとつを紹介します。
商品・サービスを使って得られる変化・満足の価値に気が付いている顧客と気が付いていない顧客がいる。圧倒的に気が付いていない顧客が多いです。この気が付いてない人が、商品・サービスを使って得られる変化・満足に気が付くようにすること、これが顧客の創造だと私は考えています。
さらにドラッカーは「顧客の創造にはマーケティングとイノベーションが必要で、この2つが成果をもたらす」と述べています。
すでに特定の人が知っている変化・満足はその人たちにとってはイノベーションでありませんが、全く知らない・必要と思っていない人たちにとってはイノベーションです。
そしてイノベーションとなる価値を、全く知らない人たちにとって分かりやすいように伝えていくことがマーケティングです。
「価値ストーリー」は、ドラッカーが強調している「顧客の創造」「顧客がみる価値・満足」の双方を満たしています。
顧客のペルソナを考えてきたあなたも、「価値ストーリー」︎を学ぶことで「コンサル脳」を鍛え、売上を達成する価値づくりができるのです。
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