本記事は、大橋弘明の著書『サラリーマンの副業の税金が全部わかる本』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています

サラリーマンの副業1
(画像=PIXTA)

Q:副業禁止の会社で副業に気づかれたら、どうなるの?

A:なんらかの罰則を受けることになる可能性があるよ

副業が禁止されている会社に勤めていて、副業に気づかれた場合には、何らかの罰則を受ける可能性があります。

だから、副業を始める前に、勤め先の会社が副業をしてもいい会社なのか、ダメな会社なのかを確認しておきましょう。また、副業をするのに事前の許可が必要な会社もありますので、その場合には申請書を提出し、会社の許可を受けてから副業を始めるようにしましょう。

それでは、罰則としてはどのようなものが考えられるのでしょうか。会社のルール(就業規則など)にもよりますが、次のような罰則が考えられます。

1 注意、反省文

口頭での注意や反省文で済めば、ラッキーな方かもしれません。

2 給与減額、降格処分、自宅待機

会社のルール違反として、給与が減額されることがあります。副業の稼ぎよりも、給与の減額が大きいということなんかになれば、目も当てられません。

会社の役職者の場合には、降格処分も考えられます。また、他の従業員に悪影響があるようであれば、自宅待機なんてことも考えられます。

3 解雇、損害賠償

会社に悪影響を及ぼしている場合には、解雇にまで発展するケースもあります。

さらには、副業としてライバル会社などで働いていたら、損害賠償問題に発展することも考えられます。このように副業が禁止されている会社で、会社が副業に気づいたときには何らかの罰則を受ける可能性が高いです。

だから、まずは自分の会社が副業をしても大丈夫な会社なのか、ダメな会社なのかを事前に確認しておく必要があります。

また、副業が認められている会社であっても、認められている副業の種類が限定されている場合もあります。

自分が始めようとする副業が、会社のルールで認められている副業なのかどうかも、あらかじめ確認するようにしましょう。

なお、公務員の場合には、そもそも法律で、例外を除き、副業が禁止されていますので、ご注意ください。

まとめ:会社の副業のルールを確認してから、副業を始めよう

Q:なぜ税務署は副業に気づくことができるの?

A:副業先が税務署に提出する書類などで、気づくことができるよ

会社が副業に気づくのは、どんなケースかは分かっていただけたんじゃないかと思います。

では、なぜ、税務署は副業に気づくことができるのでしょうか。実は、税務署には次のように副業に関する情報が入ってきているので、副業にも気づくことができるのです。

1 副業先が提出した給与の「源泉徴収票」

副業先では、副業のアルバイト(源泉徴収税額表の乙欄適用の人)の年間給与額が50万円を超える場合には、税務署に「源泉徴収票」を提出して、その給与額をお知らせしています。

そのため、副業のアルバイトの年間給与額が50万円を超えているのに確定申告をしていない場合には、税務署がその副業に気づく可能性があるでしょう。

2 副業先が提出した外注の「支払調書」

副業先では、外注の年間報酬額が一定金額を超え、所得税を源泉徴収している場合には、税務署に「支払調書」を提出して、外注の報酬額をお知らせしています。

したがって、所得税が源泉徴収されていて、源泉徴収後の報酬を受け取っている場合には、税務署があらかじめ副業の収入を把握している可能性があります。

3 副業先が市区町村に提出した「給与支払報告書」

市区町村には、基本的に、給与収入に関するすべての情報が入ってくると言っても過言ではありません。会社が毎年1月に「給与支払報告書」という書類を従業員の住む市区町村に提出しているからです。

そのため、2か所以上から給与から受け取っているのに、確定申告をしないでいると、副業の給与額によっては、市区町村から、「確定申告をする必要があるのではないでしょうか」というようなお尋ねがくることがあります。

このお尋ねによって、確定申告書を提出することになると、結果として、税務署は副業に気づくことになります。

4 税務調査

副業先や副業の商品販売先などに税務調査が入ると、反面調査(報酬や代金を支払った相手先の調査)を行うことがあります。その反面調査を行う中で、確定申告していない副業に気づくこともあります。

5 証券会社が提出した「支払調書」や「年間取引報告書」

証券会社で行った株式売買などの取引は、基本的に税務署に筒抜けです。証券会社では、一般口座の株取引やFX取引、先物取引は、税務署に「支払調書」を提出して、1年間の取引情報をお知らせすることになっています。

そのため、一般口座の株取引やFX、先物取引で確定申告すべきものを確定申告しないでいると、税務署からお尋ねがくることになるでしょう。

また、証券会社では、特定口座における株取引については、「年間取引報告書」という書類を税務署に提出して、1年間の取引情報を報告しています。

6 サイバー税務署の調査

国税庁では、全国の税務署に電子商取引専門調査チーム(サイバー税務署)を設置していて、インターネット取引を監視しています。

例えば、ネットショップでの商品売買取引などのインターネット履歴などを、このサイバー税務署がパトロールして確認しています。

そのため、ネットショップで繰り返し商品売買をしていて売上実績もあるのに、確定申告をしていない場合には、税務署からお尋ねなどが来る可能性もあるでしょう。

まとめ:税務署には売上や給与に関する情報がたくさん集まってくるので、副業にも気づくことができる

サラリーマンの副業の税金が全部わかる本
大橋弘明(おおはし・ひろあき)
税理士 中小企業診断士 ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士・CFPR認定者)港総合会計事務所・パートナー
1974年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。地方銀行、会計事務所、税理士法人勤務を経て、現職。シンクタンク、商工会議所、区役所などにおいて、会社や個人の税務相談業務に数多く従事する。モットーは、「開業や副業で、人生を豊かに」。サラリーマンの独立開業や副業支援に力を入れており、これまでに支援した人数は、500人を超える。

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