本記事は、大橋弘明の著書『サラリーマンの副業の税金が全部わかる本』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています
Q:副業には、どんな税金がかかるの?
A:所得税と住民税という税金がかかるよ。売上規模や副業の種類によってはその他の税金もかかることがあるよ
副業にかかる主な税金は、所得税と住民税です。
まずは、この2つの税金を中心に学ぶようにすると良いでしょう。
1)所得税と住民税
サラリーマンなどの個人に対しては、給与収入と同じように、副業収入に対しても、所得税と住民税(所得割)がかかります。どちらも所得(儲け)に対して税金を計算します。
所得税は国に、住民税は住んでいる市区町村や都道府県に対して支払う税金です。所得税の税率は、所得が増えれば税率も高くなる累進課税(5%~45%)になっています。
一方、住民税の税率は、基本的に一律10%(市区町村民税6%・都道府県民税4%)です。また、住民税は所得割のほかに、均等割といって一人当たりに決められた定額の税金もかかります。
均等割の一般的な税額は、市区町村民税3,500円、都道府県民税1,500円となっています。均等割の税額については、地方自治体で決めることができますので、地方自治体ごとで税額のバラつきは多少あります。
2)事業税
その他に副業にかかる可能性がある税金は、都道府県に支払う事業税という税金です。こちらも所得(儲け)に対して税金を計算するのですが、事業主控除といって所得から差し引くことができる金額が290万円もあります。
そのため、売上規模が大きな副業でなければ、事業税がかかる可能性は低いです。また、そもそも事業税は法定の70の業種の事業だけにかかる税金です。例えば、次のような職種の副業など、事業税がかからない副業も多くあります。
ライター、翻訳業、通訳業、画家、漫画家、プログラマー、芸能人、スポーツ選手、ミュージシャンなど。
ただし、この事業税がかからない判定基準は都道府県によって異なる可能性もありますので、あらかじめ都道府県に自分が行う副業の業種には事業税がかかるのかを確認しておくと良いでしょう。
事業税の申告は、所得税の確定申告をすると、都道府県にも所得金額等のデータが届きますので、別途、申告する必要はありません。
業種は、所得税の確定申告書第一表の職業欄に記載された業種で判定されますので、職業欄の記載には注意しましょう。なお、事業税の税率は、業種ごとに定められていて、3%~5%となっています。
3)消費税
消費税については、基本的に前々年の売上が1,000万円超になるまでは免税事業者となり、税金の納付が発生しません(前年の前半6か月で判定する特例あり)。
そのため、売上規模の大きな副業でなければ、消費税の納付が発生する可能性は低いです。ただし、令和5年10月から消費税のインボイス制度が始まります。消費税は、原則として売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引いて、納付する税金を計算します。
でも、インボイス制度が始まると、免税事業者からの仕入れにかかる消費税は差し引くことができなくなるのです(例外あり。猶予期間あり)。
そのため、免税事業者とは取引しない会社も多く出てくるのではないかとも言われています。状況によっては、免税事業者を自らやめて課税事業者となり、あえて税金の支払いをするケースも出てくることでしょう。
なお、課税事業者が消費税の確定申告をする場合には、所得税の確定申告のほかに、消費税の確定申告書も別途作成して、税務署に提出する必要があります。
4)印紙税・固定資産税
その他の副業にかかる税金としては、印紙税があります。5万円以上の領収書を発行するときや、外注の請負契約書を作成するときなど、一定の書類を作成するとかかる税金で、基本的に書類に収入印紙を貼り付けることで納付します。
その他には、固定資産税という税金もあります。これは、土地や建物、償却資産を所有していることに対してかかる税金です。
ただし、償却資産は150万円以上の資産を所有していないとかかりません。そのため、不動産賃貸などの副業を行う場合にかかることが多い税金です。
まとめ:副業を始めたら、まずは所得税と住民税の2つの税金を攻略しよう
1974年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。地方銀行、会計事務所、税理士法人勤務を経て、現職。シンクタンク、商工会議所、区役所などにおいて、会社や個人の税務相談業務に数多く従事する。モットーは、「開業や副業で、人生を豊かに」。サラリーマンの独立開業や副業支援に力を入れており、これまでに支援した人数は、500人を超える。
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