本記事は、大橋弘明の著書『サラリーマンの副業の税金が全部わかる本』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています
Q:副業の税金を減らすにはどうすればいいの?
A:所得税の計算の仕組みから、節税できる箇所を探すといいよ
1 雑所得の金額の計算
雑所得の金額=収入(売上)- 経費
節税のために収入を減らすのは本末転倒ですので、経費を増やすことが節税の近道です。経費を増やすには、所得税で認められている経費をもれなく計上することが必要です。
経費となる支払いを覚えるとともに、領収書をきちんと保管しておくことが節税のポイントです。
2 副業が雑所得の所得税の計算
①所得金額=サラリーマンの給与所得+副業の雑所得の金額
②(① - 所得控除)×税率- 税額控除=所得税
所得税の計算の仕組みを見てみると、その他に税金を減らすことができる項目は、所得控除と税額控除になることが分かります。これら2つの所得控除と税額控除をもれなく適用することが節税につながります。
まとめ:経費、所得控除、税額控除をもれなく計上して、節税しよう
Q:経費を増やすにはどうすればいいの?
A:経費をもれなく計上し、領収書をしっかり保管することが大切だよ
1 経費を知ろう
経費をもれなく計上するためには、その前提として、どのような支払いが経費になるかを知っておくことが大切です。支払いはしているのに、うっかり計上もれということもあり得るからです。
次のような支払いで、副業のためのものは、基本的に経費になります。こうした支払いをもれなく経費計上して、無駄な税金は支払わないように節税しましょう。
(経費の例)
・出張旅費や宿泊費…旅費交通費
・カフェやファミレスでの打ち合わせ代…会議費
・会議のためのお茶代、コーヒー代…会議費
・取引先との飲食代…交際費
・取引先とのゴルフ代…交際費
・取引先への手土産…交際費
・取引先への祝い金、香典…交際費
・携帯電話代やインターネット代…通信費(副業に使用する部分)
・新聞代や書籍代…新聞図書費
・研修参加費用…研修費
・資格の取得費用…研修費
・取材用の美容室代…広告宣伝費
・文房具や事務用品代…消耗品費
・副業のためだけに使用する衣装代…
・マンション家賃…地代家賃(副業に使用する面積部分)
・車の購入代…減価償却費(副業に使用する部分)
・車のガソリン代、車検代、修理代…車両費(副業に使用する部分)
2 領収書はお金
経費をもれなく計上することが節税につながります。領収書等は、経費であることを証明する書類になりますので、きちんと保管するようにしましょう。領収書をきちんと保管しておくことで、経費の計上もれを防ぐことができます。
領収書は将来のお金そのものだと思って、大切に扱うようにしましょう。例えば、10万円の領収書があったとしましょう。
所得税率20%、住民税率10%の合計税率30%で税金がかかる場合には、10万円×30%=3万円となり、3万円節税する効果があります。
つまり、この場合、10万円の領収書は、3万円の現金と同じような価値があるのです。この領収書がきちんと保管されておらず、帳簿につけることができなければ、3万円も損することになります。
領収書はきちんと保管し、後で確認ができるようにしておきましょう。
副業が雑所得の場合には、所得税の法律では、現在のところ、領収書などの保存義務はありません。
でも、税制改正により、令和4年1月1日以降は、前々年の雑所得の収入が300万を超える場合には、領収書の保存義務(5年)が生じることになります。改正点に注意するようにしましょう。
3 副業とプライベートのお金は別管理しよう
副業とプライベートのお金の財布を分けて管理すると、副業のための支払いを把握しやすく経費の計上もれが少なくなります。
そのため、副業専用の銀行口座を開設したり、副業用の現金出納帳(副業用の家計簿)などを作成し、副業とプライベートのお金を別管理するようにすると良いでしょう。
また、副業用のクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなどを作成して、副業の経費を支払うようにすると、後で副業のための支払いを確認するのも簡単で、経費の計上もれを防ぐこともできます。
デビットカードは、購入後すぐに銀行口座から引き落としがされるので、現在の預金残高を把握しやすいという点でおススメです。
また、資金繰りのため、支払いを先延ばしにしたい場合には、クレジットカードを利用すると良いでしょう。
4 経費にできない支払いも把握しておこう
プライベートのお金が経費に計上されていると、税務調査があった際に否認されることになります。
次のようなプライベートのための支払いは、副業の経費にはなりませんので、あらかじめ経費に含めないように注意しましょう。
・プライベートでの飲食代
・プライベートでの交通費
・プライベートのための衣服代
・プライべートでの旅行代や宿泊代
・プライベートのための書籍代
まとめ:・経費をもれなく計上することで、経費を増やそう
・領収書をきちんと保管しておこう
1974年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。地方銀行、会計事務所、税理士法人勤務を経て、現職。シンクタンク、商工会議所、区役所などにおいて、会社や個人の税務相談業務に数多く従事する。モットーは、「開業や副業で、人生を豊かに」。サラリーマンの独立開業や副業支援に力を入れており、これまでに支援した人数は、500人を超える。
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