資金調達の方法・種類

金融機関から融資を受ける方法と出資などそれ以外の方法に分けて見てみよう。

金融機関から融資を受ける

【日本政策金融公庫】
日本政府100%出資の政策金融機関でありさまざまな融資制度がある。個人企業や中小企業の資金調達をサポートするという政策的な目的もあって、中小・零細企業の利用頻度は高い。低金利が魅力である。

【民間金融機関の融資
民間金融機関の融資は大きく分けると、「信用保証協会の保証付融資」「プロパー融資」「ビジネスローン」の3種類に分けることができる。

・1.信用保証協会の保証付融資
信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が銀行などの金融機関から融資を受けられやすいように保証業務を行っている公的機関だ。申し込みは、融資を受ける金融機関を通じて行うことが多く、万が一返済不能の事態に陥ったときには、信用保証協会が債務者に代わって金融機関へ立て替え払いをする。日本政策金融公庫と並んで利用頻度の高い制度融資で銀行の担当者からすすめられることも多いだろう。

各自治体が行っている中小企業支援を目的としたあっせん融資を併用すれば、信用保証料や金利の補助を受けることもできる。

・2.プロパー融資
担保や金利、連帯保証人の有無といった融資条件は、すべて金融機関が独自の審査基準に基づいて審査し決定する。審査が厳しいといわれることが多いが地方銀行や信用金庫は地域に密着した金融機関であり、積極的に支援を検討してくれるところが多い。メイン銀行として良好な関係を築くことで顧客の紹介や業務提携先の利用ができるなど、得られるメリットは大きいだろう。

・3.ビジネスローン
銀行などの金融機関系、ノンバンク系で広く取り扱っている。金利は高めだが最短即日融資が可能な金融機関もある。スコアリングシステムによる自動審査を採用することが多く、審査の可否や融資の限度額、適用金利を自動的に算出するため、融資の可否判断が早いのが特徴だ。

金融機関からの借入以外の返済不要の資金調達の方法

【出資】
出資とは株式を発行しそれと引き換えに資金の提供を受ける資金調達方法の一つだ。返済不要の資金調達としてメリットは大きい。代表的なものとしてベンチャーキャピタルや個人投資家(エンジェル投資家)からの出資などがあげられる。投資家は、なにかしらのリターンを得るために出資をするのが一般的だ。

起業時に特殊な技術やアイデアがある場合、事業として軌道に乗った経営安定期には、一考する価値は十分にある。

・1.ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャー企業やスタートアップ企業に投資し将来その持ち株を売却することによって利益を得る(キャピタルゲイン)ことを目的に投資する投資会社が多数ある。投資会社から高い成長性が見込まれると判断されれば、多額の資金を出資してもらえる可能性が高い。

・2.エンジェル投資家からの出資
将来的な成長が重視されることは、ベンチャーキャピタルからの出資と同じだ。しかし将来有望と判断したスタートアップ企業に出資する個人投資家も多くいる。一般的には、ベンチャーキャピタルと比べて小口の出資となるが個人の裁量で出資の有無が判断されるため、早期に出資が受けられることがメリットだ。

【補助金・助成金】
国や地方自治体が企業を支援する目的で行うものである。返済不要の資金調達として雇用調整助成金(新型コロナ特例)や新型コロナウイルス関連の補助金を申請した企業は多いだろう。補助金は一定条件を満たすことで申請できるが、採択された場合に支給されるもので必ずもらえるとは限らない。助成金は、一定条件を満たせば支給されることになっている。

補助金や助成金は、簡単にもらえる資金ではない。厚生労働省管轄の雇用や人材確保、賃上げなどに関する助成金が数多くあるが、一定条件を満たせば支給されるといっても制度の目的に合わせて申請されたものであるかを厳格に審査される。助成金や補助金を利用して設備を導入する例もあるが、助成金を目的に設備を導入することは本末転倒だ。

設備導入の際は、実効性・信ぴょう性のある事業計画に基づき導入する必要があり、その投資した資金の償還原資は企業の利益金となる。設備導入時には、資金調達の方法、導入することにより増加する売上や収益の予想、投資した資金の償還期間など、綿密な事業計画の作成が必要となる。導入した設備が負担となって資金繰りに支障をきたすことがあるため注意したい。

また雇用関係の助成金についても同様のことがいえる。従業員の採用や賃上げの実施をすれば、その原資は売上金となる。毎年昇給するような賃金制度を作成すれば、毎年人件費が増加することになる。そのため中長期で売上増加が図れなければ、資金ショートすることになるのだ。

補助金倒産、助成金倒産などといった言葉を聞くように、補助金・助成金はどちらにしても事業に必要な資金は先に支払って後から経費の一部が補助・助成されるものが多く、必要なときにすぐに使えるものではないことにも注意したい。