銀行融資を受けやすい経営者が事前に準備している「審査のポイント」
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経営者の中には、銀行から融資を受けることをためらっている人もいるのではないだろうか。融資を受けずに資金繰りを回すことができるなら銀行融資を受けなくても問題ないが、会社経営をしているとなかなかそうはいかない。中小企業の多くが銀行などの金融機関からの融資で運転資金を賄っているのが実情だ。

本来融資は健全経営していれば受けられるものであり、必要以上に恐れる必要はない。事業資金の融資を受けるときの審査のポイントを押さえておけば、資金調達を円滑に進めることができ不安も解消されるだろう。本稿では、中小企業が融資を受けるときの心構えや融資の種類、審査のポイントなどについて解説していく。

目次

  1. 銀行から融資を受ける前の心構え
    1. 融資申し込みの前に準備しておきたいこと
    2. 定量分析と定性分析
  2. 銀行融資の種類
    1. 銀行融資の種類は3つ
    2. 金融機関の種類によっても方針が異なる
  3. 銀行の融資に審査基準はあるのか
    1. 金融機関マニュアルは廃止
    2. 返済能力が審査のポイント
  4. 企業の信用力が融資のカギ

銀行から融資を受ける前の心構え

各金融機関によって経営理念や方針は異なり、蓄積されたデータによる貸し倒れの確率も変わる。そのため融資の審査基準は、各金融機関の経営戦略や方針によって若干異なる可能性は高い。基本的に審査基準を公表する金融機関は少ないが、一定の審査基準はあるといえる。厳しい融資の審査に通過するためには、事前に審査のポイントを理解したうえで準備しておくことが大切だ。

融資申し込みの前に準備しておきたいこと

・1. 経営者のビジョンを明確にする
金融機関は財務内容だけでなく経営者の人柄や信頼性も重要視する。そのため経営者のビジョンがあいまいだとマイナスのイメージを与えかねない。安定した事業の継続性を判断するには、経営者のビジョンも大切になる。

・2.経営にかかわる数値は把握する
銀行などの金融機関は、決算書の財務内容を重要視する。なぜなら銀行の通常融資もビジネスローンも決算書や確定申告書などの事業にかかわる数値で審査の可否を判断するからだ。しかし融資の判断は、それだけではない。決算書の売上や経費の推移は、過去のデータにすぎず融資の審査をするうえでは、現状や今後の動向を把握することも大切となる。

そのため経営者としては、金融機関の担当者へ十分に伝えるためにも「売上の見込み」「現状の進捗状況」「利益率」などの数値は、普段から把握しておかなければならない。

・3.融資が必要な理由と使い道を明確にする
不正融資の報道を耳にすることがあるが、その中でも資金使途(使いみち)を偽って融資を受けるケースは少なくない。事業資金の融資を受けるには、資金の目的を明確にしておくことが必要だ。資金使途を偽って申し込みをすれば詐欺罪で訴えられることもある。また個人と法人は別の人格であり事業資金で借り入れした資金を個人的な資金へ流用することは認められない。

そのため事業資金と個人の生活資金は、厳密に区別して管理する必要がある。

・4.質問に対して答えられるように準備する
作成および提出する書類には、信ぴょう性が求められることにも留意しておこう。事業計画書が「絵に描いた餅」では、金融機関から信頼を得ることはできない。融資を申し込む際には、金融機関の担当者から提出した書類の数値について質問されることがある。正確な数値と根拠に裏付けられた書類だからこそ信頼されるのだ。

そのため経営者であれば担当者からの質問に対してスムーズに回答できるようにしておかなければならない。たとえ赤字の決算だったとしても今後の事業の見通しがきちんと説明できれば融資を受けられることも十分あり得る。

・5.保証人・担保の有無
現在は、無担保無保証人で融資を受けられることが多くなっている。しかし中小企業の場合は、まだまだ金融機関から代表者が連帯保証人になることを条件とされるケースは多い。融資金額が高額となる場合には、不動産などの担保を求められることもある。金融機関にとっては、最終的に融資した資金が回収できることが重要であり、連帯保証人や担保の有無も融資の判断材料の一つだ。

そのため代表者として「連帯保証人になることができるのか」「提供する担保があるのか」について事前に検討しておきたい。

・6.事業計画書の作成や試算表の準備
通常融資を申し込む際には、直近の決算書を3期分提出することになる。しかし決算書を提出したとしても決算期から3~6ヵ月経過している場合は、試算表の提出を求められる可能性が高い。審査の状況次第では、事業計画書や資金繰り表の作成を求められることもあるだろう。融資の審査をするうえでは、企業の財務内容を実態で判断する必要がある。

今後の見込みや足元の状況は事業計画書や試算表を見なければ分からない。また開業・創業時には創業計画書、業況が悪化している場合には改善計画書など融資の目的によって使い分けることも必要だ。

定量分析と定性分析

・定量分析とは
定量データを分析することであり数値で表されるものがベースとなる。例えば財務諸表に基づく自己資本比率や売上高営業利益率、純資産、債務償還年数などが該当するだろう。企業の財務指標を安全性、収益性、成長性、返済能力など指標から分析・評価する方法が定量分析である。

・定性分析とは
数字では表れないものがベースとなる。経営者の資質や代表者の信用、企業の経営方針や将来性などが該当。主に数字では表すことができない業績に貢献する分野を分析・評価する方法が定性分析である。