本記事は、河南恵美氏の著書『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

Q.経費になるのはどこからどこまで?

経費
(画像=CORA/PIXTA)

・経費かどうかの線引きが分からない!
・デッドラインの見分け方ってあるの?

A.経費は売上を得るための支出です!

・仕事のために使った理由を説明できるかどうか
・生活の支出はもちろんNG!

◎質問あるある!「これって経費になりますか?」

「◯◯って経費になりますか?」

この質問は本当によく聞かれます。お客さんからも、会計セミナーやSNSのコメントでも、この質問が一番多いです。経費がどうかの判断に迷う原因は、明確なルールが決められていないことと、同じ支出でも人によって経費になるかどうかの判定が変わるのが原因です。

この判断を見誤ると、一歩間違えれば脱税になってしまう可能性もあります。「同業の先輩はこう処理しているらしい」と誤った情報が出回ることも少なくありません。情報に踊らされることなく、きちんと自分で判断しましょう。

経費の判断基準を一言で言うと、「売上を得るために必要な出費かどうか」です。ポイントを見ていきましょう。

◎経費になる目安をチェック!

次のポイントを目安に判断をしてください。

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(画像=『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』より)

◎同業者の言葉を真に受けない! 共倒れの可能性も!?

よくあるのが同業者から「自分は経費にしているよ」と言われて真に受けてしまうこと。同業者同士の会話のなかでこのような話題になることが多いようですが、気をつけてください。その同業者に税務調査が入って、実際に経費として認められたのかどうかまでは確認していないですよね。情報を鵜呑みにして同じように処理をして、後で痛い目をみる可能性もあります。

税務署職員に対して、「◎◎さんも経費にしていると聞いたから」は通用しません。根拠のない噂話を間に受けたり、「起業仲間がしているから大丈夫だろう」と思わないようにしましょう。計上した責任はすべて自分にあるのが自営業です。

◎経費になるかならないかはビジネスの内容や業種によって違う!

ビジネスの内容や業種によって経費が変わるとはどういうことか、具体例を示して説明しましょう。

たとえば、「町内会費」。事務所や店舗の町内会費は経費になりますが、自宅の町内会費は経費にはなりません。「うちの店は、町内会費を経費にしている」と聞いただけでは同じように処理していいかどうかの判断はできません。

また、洋服や衣装代も人によって違います。アナウンサーの仕事をしている方は衣装代が経費になりますが、一般の方は難しいです。メイクの仕事をしている方は、メイク道具や化粧品が経費にできますが、一般の方は厳しい(一般的に美容・衣装系は経費として認められにくい項目)です。

飲食代も使い方によって分かれる項目です。友達との食事代は経費になりませんが、取引先や得意先などの仕事相手との飲食代、打ち合わせで使った飲食代は経費になります。飲食代は、仕事に関係があるかどうかが判断基準となります。ちなみに、飲食代は、全額こちらが負担した場合でも、割り勘でも、仕事に関連があれば経費にすることができます。

◎税務署職員に自信を持って説明できますか?

事務所の勤務時代にあった例ですが、なんでも経費になると思っているのか、様々なレシートや領収書をダンボールに入れて送って来る方がいました。スーパーでの食品の買い出しや、家族との外食代、子ども服のレシートなどなど。

税務署や税理士は、レシートや領収書の日付・曜日や内容、過去の実績などを見れば、その費用がプライベート用か仕事用か見抜くことができます。誤魔化しは効かないと肝に銘じておきましょう。

逆に経費になると知らなくて経費にあげていない、もったいないケースもあります。Instagramの料理研究家が撮影に使う材料をスーパーで買った場合は経費になります。飲食店を経営されている方が調査や研究のために、他のお店に食べに行ったときの食事は経費となる場合があります。

客観的に見て、経費の必要性を説明できるようにしておくことが大事です。その経費は「売上を得るために必要である」と説明できますか?

Q.経費にできる税金・できない税金を教えて!

A.事業税や消費税、固定資産税などがあります(仕訳で間違えやすいので注意!)

◯ 経費にできる税金! → 「租税公課」で計上
   個人事業税・固定資産税(事業で使用)
   自動車税(事業で使用、または事業割合分)
   消費税、印紙税

× 経費にできない税金! →「事業主貸」で計上
   所得税、住民税、相続税
   贈与税、加算税・延滞税

上記で経費にできる税金は「租税公課」を使って計上しましょう! 経費にできない税金を経費にすると、処理のミスによって税額が変わる可能性があります。間違えないようにしましょう。

特に、誤って所得税や住民税を経費に計上している自営業の方が多いです。これは、プライベートで払う税金です。つい、経費にしたい意識から計上してしまう方が多いので注意が必要です。

経費にできない税金はビジネス用の口座などから支払った場合、事業貸/普通預金で処理しましょう。

Q.給付金や補助金の処理方法は?

A.ほとんどの給付金・補助金は課税対象です!(会計処理が必要)

新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威を振るいました。政府や自治体が経済対策として行っている給付金や補助金を申請した方も多いのではないでしょうか。

給付金や補助金は収入に該当します。特別定額給付金(国民一律に10万円配られたもの)のようにビジネスと関連がない補助金や給付金は計上しなくても大丈夫です。一方で、持続化給付金、感染防止拡大協力金、家賃支援給付金や雇用関連の補助金など、多くの種類の給付金や補助金が登場しましたが、これらはすべて「雑収入」または「売上」として必ず計上してください。

給付金や補助金は基本的には課税対象です。受給していても、ビジネスが赤字の場合は税金はかかりませんが、受給していながら利益がある方は、給付金や補助金が売上にプラスされて税額が計算されるため、税金がその分増えるケースがあります。

今後の税務調査できちんと計上されているかどうかは、チェックポイントになると思います。「知りませんでした」では済みませんので、正しい経理処理をしておきましょう。

フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A
河南恵美(かわみなみ・えみ)
河南恵美税理士事務所代表。業界では珍しい自営業専門の税理士として2012年に開業。フリーランスが独立開業に必要となる知識を身につけ、学ぶきっかけになるようSNSで“経理・税金・確定申告”の情報を発信中。SNSのフォロワー数は延べ10万人(2021年12月時点)。女性税理士YouTuberとしてはNo.1の税理士インフルエンサー。フリーランスや経営者が、オンライン上で税理士を味方につけるオンラインサロン(税理士河南の会議室)も運営。プライベートは、旦那と息子の3人家族。仕事と家庭の両立をしながら働く女性起業家。

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