本記事は、鉄羅敦士氏の著書『副業としての不動産投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています
明るい未来を実現するための副業としての不動産投資
不動産投資って投資じゃないの? 大変そうだし、馴染みもないし、なんだか副業とは遠いところにあるもののような気がするけど……
●会社に依存せず、自分の人生を創る
最近、巷では「副業」という言葉をよく耳にします。厚生労働省は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、この年を副業元年と位置づけ、働き方改革の中の大きな柱としました。これまでの常識だった、1つの企業で働き、他社との兼業を禁じる取り決めはなくなりつつあり、多様な働き方が可能になってきています。
これは未来の人生を他者に束縛されることなく、自ら自由に描けるようになってきた時代が到来しているとも言え、自分の思い描く明るい未来を実現するために、安心できるキャッシュフロー、資産形成を目指すことが求められてきています。会社に依存し過ぎることなく、自分の将来や人生を創りあげていく。こうした考えから、様々な副業にスポットが当たるようになりました。本書では、その方法として新築・木造・一棟アパートによる不動産投資をおすすめしていきます。
詳細な理由、詳しい進め方については後述するとして、まずは副業として不動産投資が向いている理由について説明していきましょう。
●不動産は「投資」というよりも「事業」である
本書では副業を少し広義に捉え、「副収入を得る」と定義して考えてみたいと思います。
さて、あなたは副業といえば何を思い浮かべるでしょうか? メインの仕事とは別の会社で就業時間外に働く、メルカリなどのフリマアプリで商品を売る、インターネットでアフィリエイトやせどりを行なう、空き時間でできる募集型の実務作業を受注する(映像編集、ライティング、テープ起こしなど)、などを思い浮かべることでしょう(図0-1)。
しかし正直な話、これらはいずれも片手間ではできません。自分ですべて準備して、商品を用意したり発送したり、またはお客さんとの折衝に注力したりと、何らかの労力がどうしても発生するものです。
これらは言ってみれば、「自分で働く」対価として収益を享受するものですが、「お金に働いてもらう」ことを視野に入れれば、自分自身が労力をかける必要はなくなるはずです。
「それは投資ではないか」というご意見も聞こえてきそうですが、どちらかというと先行きが読めない投機的・ギャンブル的な投資とは異なり、より地に足のついた「事業」としての性格が、不動産投資にはあるのです。
その理由としては、次のようなものが挙げられます。
①資金調達ができる
事業を行なうには、元手が必要です。十分な自己資金がある場合は問題ありませんが、そうでない場合は投資家や金融機関などから資金を調達しなければなりません。この調達が事業を始めるうえで一番やっかいなところです。また実際に事業を運営したとしても、資金繰りは常に経営者の悩みのタネとしてつきまといます。
しかし不動産投資の場合、ほかの事業よりも容易に資金を調達することができます。つまり、銀行でローンが組めるということです。ほかの一般的な事業を見渡して、経営の素人にこんなに簡単にお金を貸してくれる事業はありません。
また、資金調達ができる=レバレッジがかけられるという事を意味します。金融機関によっては、諸経費込みで融資してくれることもあれば、諸経費が除外されたとしても物件価格全体を融資してくれることもあります。この時、諸経費込みの場合はほぼ自己資金なし、物件価格全体の融資であれば物件価格の3~6%程度の自己資金で不動産が購入できます。ほかの投資と比べても、比較的安全な条件で大きなレバレッジをかけることができます。
なぜそれが可能になっているかというと、大半がローンで物件を買うにもかかわらず、不動産投資が事業として安定して稼げるものと銀行が判断しているからです。言い換えれば、銀行は不動産投資を事業性が高い、つまり、収益性が高い事業として判断していると言えます。
②賃料が安定している
不動産の世界では、賃料が事業で言うところの売上にあたります。この「賃料が安定している」という点が、旨味のある点と言えます。日経平均や世界の株価、地価が大きく乱高下している一方で、賃料相場はこの20〜30年乱高下していません。もちろん、物件の築年数が経過すれば賃料は下がっていきますが、日本全体の賃料相場で言えば、ほとんど上下動がないのです。これは、当初予想した通りの収支になる確率が高いということで、事業としては非常に安定したものになる、ということを表しています。
③生命保険代わりになる
「不動産投資は生命保険の代わりになる」ということを耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
不動産投資を始める際には、ほとんどが銀行の借入金で事業を始め、35年程度のローンを組んでその借入金を返済していきます。その際に「団体信用生命保険」(以下、団信)というものが同時に設定されることが多くなっています。これは、返済者がローン契約期間中に死亡したり、重度な疾患に陥り返済が困難になったりした場合、保険金から残債が支払われるというものです。団信の適用によってローンが完済されたあとも、不動産としての資産は維持され、賃料が入ってくるので、遺族にとってはその分の収入が保証されることから、死亡保険や傷害保険と似た性質を持っていると言われています。
多額の融資で始める事業としては、一番に考えられるリスクが軽減されているという意味でも、不動産投資は特別な存在と言えるでしょう。
④手間なくできる
前述の通り、副業の多くは何らかの労力、手間ひまを必要とします。ところが不動産投資の場合は、ほかの副業、事業と比べてこの労力をほぼ必要としません。人を直接雇用する必要もなく、不動産さえ取得してしまえば、基本的には客付けは客付け会社、建物の管理は管理会社と、多くの業務を専門の会社に委託することが可能なので、やることは毎月送られてくる収支報告の確認と、年度末の確定申告だけ、となります。
⑤節税効果がある
サラリーマンが不動産経営を行なう場合、給与としての所得と合わせて確定申告を行なう必要がありますが、不動産投資が赤字になった場合、すべての収支を通算して計上し、赤字分に応じて納税分の還付を得られることがあります。これを損益通算と言います。
また、10部屋以上のアパートやマンション、あるいは5棟以上の貸与可能な戸建て物件を持っている場合は青色申告特別控除を受けることができ、最大55万円の控除が適用されます。ただ、この要件を満たさない場合は10万円の控除となります。
なお、賃貸物件を運用するには、修繕費、保険料、管理費などの経費がかかりますが、これら実際に費用として支出されるもの以外に、実際には出ていくことのない経費を減価償却費として計上する課税繰り延べが可能です。減価償却費とは、取得した建物や設備の費用を購入時に一括で費用計上するのではなく、法定耐用年数に応じて分割して計上するものです。2年度目以降に計上される費用は、実際には手元から出ていっていなくとも費用に計上できるので、損益通算によって実際よりも年度の利益を小さく見せることによって節税が可能となります。
また、メリット・デメリットの枠組みとは別の特徴として、不動産投資の社会性があります。
例えば、築古の一軒家で空き家になっている家が日本全国にあります。これは近年、社会問題にもなっている話で、家を相続した人が扱いに困って放置していたり、持ち主不明の空き家で火災が起こったりなど、空き家が生み出す社会的な損失が存在します。
そこで不動産投資が活性化することによって、空き家を新しい建物に作りかえたり、あるいはリノベーションして賃貸に出したりすることで人が住めるようになり、空き家という社会問題の解消に少なからず寄与している側面があります。
また、住みたい人のニーズに応えるという需要と供給の関係があります。
私が若いころは3点ユニットと言って、バス・トイレ・洗面台が一緒になっているアパートがたくさんあり、むしろそれがおしゃれとして打ち出されていました。しかし、いまでは3点ユニットは人気がなく、需要も非常に少なくなりました。
こうした背景において、いまの時代にあった新しいバス・トイレ別の部屋を作ることは、借りたい人のニーズに応える部屋を供給することを意味しますから、社会の役に立っていると言えます。
投資という名前がつくためか、不動産投資はマネーゲームのような印象を持った「単なるお金稼ぎのための方法」として語られがちですが、実際には実需に応えるからこそ成り立つ、社会の役に立つ事業であるということも、事実としてしっかり認識しておくとよいでしょう。
以上のように、ほかの副業とは違う魅力が、不動産投資には多くあります。多くの副業が、自分の限られた時間を割く必要がある中で、不動産の場合は、購入時点での検討においてはエネルギーが必要になるものの、以降の運営をしていく中では、あまり手間がかからず、軌道に乗ってしまえば週1時間も使わず、手間のない手順でお金が入ってくるわけです。ここがほかの副業と比較した際の、一番の特長かと思います。
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