本記事は、鉄羅敦士氏の著書『副業としての不動産投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

初心者はどんな物件を選ぶべきか

賃貸アパート
(画像=PIXTA)

「新築×木造×一棟アパート」の不動産投資……

そろそろ、その具体的な方法を知りたいなぁ

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(画像=『副業としての不動産投資』より)

繰り返しになりますが、まだ不動産投資を始めたばかりで右も左もわからない、という初心者の方が最初に買うべき物件として、首都圏の都心から電車で1時間程度の場所で「新築×木造×一棟アパート」を強くおすすめします(図4-1)。ここを前提としてここでは、「事業としての不動産投資」をさらに成功に近づける具体的な方法に踏み込んでいきます。

と、その前に。ここまでは新築の話を中心にお伝えしてきました。そこで、ここではPLACの立場だからこそお伝えできる、中古物件の注意点に関するお話から始めていきたいと思います。新築とは異なる属性を持つ中古物件に関する理解も深めることで、実際に不動産会社や物件を絞り込む際の具体的な指針になれば幸いです。

●低価格にはそれなりの理由がある

近年、古い物件を低価格で入手し、自分でリノベーションして利益を出す、という方法をよく見かけるようになりました。価格が低いことから一見、取り組みやすいように感じられます。本書を手に取っていただいた方の中にも、「実は気になっていた」という方がいるかもしれません。ですが、この方法にはからくりがあります。

この方法で利益が出ている理由は、単純に“人件費がゼロになっているから”なのです。一体どういうこと? と思われると思いますが理由はシンプルで、施工業者や管理業者の費用をかけず、自分の労力で賄うことによって安く済ませる方法なのです。

つまりそれはDIYを行なうということですから、知識や技術が求められます。プロの施工業者と比較しても、同じレベルで仕上げるのは難しいのではないでしょうか。例えば壁紙が少しでもよれていたりすれば、なかなかその部屋を借りてくれない可能性もあります。そうした意味でも、自分でこなすのは非常にハードルが高いことから、この方法はあまり初心者におすすめできるやり方ではないと言えます。

また、本書のテーマでもある「副業としての不動産投資」を考えれば、多くの時間を割いてDIYに勤しむ方法は、皆さんが求めているものとは違うのではないでしょうか。

●中古物件は修繕のリスクがある

リノベーションをしないとしても、その対象となるような古い物件は建物の法定耐用年数を過ぎていることが多く、手を入れないままでは資産価値がほとんど残っていない物件が多くあります。

また、仮に法定耐用年数を過ぎていなくとも、中古物件の場合に必ず発生するのが修繕費です。例えば屋根の防水・壁・鉄部の塗装などの大規模修繕には数百万円の費用が発生します。この数百万円が購入直後にかかる、という事態だけは避けたいところです。

●古い物件はローンの条件が悪く、利益を出しにくい

古い物件の場合はローンを長く組むことができないか、組めたとしても高金利が条件となる銀行に限られてしまいます。

例えば、新築木造の一棟アパートなら1%を切るような金利で30〜35年のローンが組める可能性もありますが、中古木造の築30年くらいの一棟アパートになると、およそ20年から長くても25年という短期のローンに限られ、金利も3%程度からといった厳しい条件になってきます(図4-2)。

この場合、返済と月々の収支であるキャッシュフローとのバランスに影響することで、日々の支払いが厳しくなってきます。それでも頑張って手に入れて運営したとしても、最終的に手元に残るお金は、新築のほうが多いか、良くて同じ程度になることが多いでしょう。

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(画像=『副業としての不動産投資』より)

要は、中古物件は低価格で利益を出しやすそうに見えるものの、最終的に手元に残るお金が少ない=旨味がないため、私たちはおすすめしていません。

こうした中古物件も含めて、低価格で購入できる不動産を中心に販売している業者があります。しかし「安かろう悪かろう」という言葉があるように、安い価格にはそれなりの理由があります。冷静にさまざまな観点で分析し、詳細に計算をしていくと採算が合わないという物件が見えてきます。

あたかも掘り出し物に思えるような安い物件を見つけて、「お宝物件なのではないか?」と思ったとしても、まずは冷静になりましょう。

●中古はなにかと難しい

具体的な「新築×木造×一棟アパート」の方法に踏み込む前に中古物件のお話を伝えてきましたが、結論として、「中古物件の運用は新築に比べて難易度が高い」と言えます。

実は、私も昔は中古物件の方が割安ゆえに利益を出しやすいと考え、法定耐用年数の過ぎた鉄骨造の物件を探したことがあります。しかし、実家の家業であるアパート経営を小さい頃から見ていた私は、ほとんどの不動産会社が修繕費のことをあまり考えず、表面利回りのみで利益を語っていることに強い違和感を覚えていました。

現にいま、築40年近いRCの一棟マンションを所有していますが、先日も大規模修繕で800万円程度の費用がかかり、相場賃料にしても設備が古いために空室が埋まりづらい状況が続いています。加えて、雨漏りをしたり水道管が壊れたりと、とにかく手がかかります。

この物件は土地から購入して、新築から40年経つ物件ですから利益は出ていますし、すでに残債もないために修繕費がかかっても黒字になっているものの、今からこの物件を買う人がいるとすれば、その方の収支が赤字になることは間違いないとわかります。

やはり表面利回りや割安感で判断せず、融資条件や修繕費、再販売のしやすさ=リセールバリューなど、総合的に判断すれば新築アパートのほうがシンプルかつ優秀な投資対象と言えます。

したがって、初心者の方には、とんでもないぼろ儲けではないものの、とんでもなく大損をすることがない堅実な新築アパートの経営から始めていただく方法がよいと思っています。

【結論】

初心者はどんな物件を選ぶべきか

中古物件はリスクが大きく、初心者には難易度が高い!

安定して堅実な『新築物件』からはじめよう。

中古<新築

副業としての不動産投資
鉄羅敦士(てつら・あつし)
中央大学法学部出身。幼い頃から実家の賃貸経営を見て育つ。地域活性・経営コンサルティング会社、訪問鍼灸院の経営、投資用不動産専門会社を経て、2017年にPLAC株式会社設立。同社設立以前より、投資用の新築マンション等の不動産投資を行なう。不動産のプロになって以降は、自らアパート・マンションを3棟経営している経験も生かし、将来を見据えた投資全般のコンサルティングを行なっている。

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