本記事は、鉄羅敦士氏の著書『副業としての不動産投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

不動産投資で最大限にリスクを減らす方法

不動産投資
(画像=PIXTA)

不動産投資が副業に適しているメリットについてはよくわかった。

でも当然リスクがあるよね? どんなリスクがあるんだろう?

●不動産投資の「3大リスク」を考える

とはいえ、どんな事業にもリスクはつきものです。当然ながら、副業として不動産の事業に取り組む際にも、できるだけリスクを軽減する必要がありますが、その実現に一番適した不動産が、「新築×木造×一棟アパート」なのです。

まず、押さえなければならない不動産のリスクは、大きく分けて3つあります。

1)コストのリスク
2)空室のリスク
3)出口のリスク

1)の「コスト」とは、月々のローン以外の支払いにおける、イニシャルコストとランニングコストの2つを指します。とりわけ、これらのうちのランニングコストをいかにして減らせるか、あるいはかける必要があるかを考える必要があります。

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(画像=『副業としての不動産投資』より)

2)の「空室」リスクとは、物件に入居者がつかず、売上が確保できない事態をどう回避するか、を意味します。

3)の「出口」とは、取得している不動産を手放すタイミングを意味します。買いたいと思う人がいて初めて売買が成立するわけですから、どのタイミングで売るのか、そもそも売ること自体ができるのかも含め、必ず考え、計画的に進めていくべき項目です。

この3つのリスクを減らす工夫ができれば、大ケガをすることなく進めることができます(図0-2)。売りたくなったら売れて、ランニングコストもあまりかからず、ちゃんと入居者もついているという状態であれば、成功に大きく近づける、というわけです。

そして、この考え方に適した物件として、この3つのリスクすべてをコントロールできるのが一都三県の新築×木造×一棟アパートであり、私たちがおすすめする、これまでの経験からの結論です。

●なぜ「新築×木造×一棟アパート」なのか

では、これらのリスクを考慮して、なぜ「新築×木造×一棟アパート」を特におすすめしているのかを、そのほかの不動産商品と比較する形でご説明しましょう。

①一棟 対 区分

まず「一棟」と「区分」の違いです。「一棟」とは、アパートやマンションの建物一棟をまるごと所有すること、そして「区分」とは部屋単位で所有することを言います。

区分マンションは所有している物件が空室であるか否かにかかわらず、管理組合に対する修繕積立金や管理費などの経費がかかります。そのため、月々の表面利回りからさらに何万円かが引かれ、利益やキャッシュフローがほぼ出なくなるケースも散見されます。

それでも区分の物件については、世間的には「節税に有効」であると喧伝される向きもあるようですが、私たちとしては節税には使えないと考えています。それは帳簿上の赤字だけではなく、実際に赤字が出て損した分が節税につながるだけで、実際の利益にはつながっていないためです。このことから、区分は選ぶ理由がないと考えています。

また、区分は自分の意思でコントロールできないこともある点から、非常に経営しづらいとも言えます。「再建築不可」という言葉を聞いたことはないでしょうか。これは、接道義務を果たしていないなど、建築基準法で禁止されている土地にすでに建物が立っている場合、老朽化して取り壊したとしても新たに建築できない物件のことを指します。こうした物件は資産価値も低く見積もられ、担保価値もほぼありません。「再建築不可」はよく聞く条件ですが、建て直しができないために低価格かつ割安である一方、運営のハードルも高いため、検討する価値がないと言えます。

そして区分も自分の意思では再建築ができない点において、実質的に「再建築不可」に近い物件と言えます。

区分の唯一のメリットとして、一棟ものに比べれば価格が低いため、流動性が高い点は挙げられます。ただ、そもそも収益性が低く、儲かるものではないため、流動性が高くても価値が担保されているわけではないと私たちは考えています。

なお、区分で利益を出すとなると、湾岸エリアでマンションの値上がり益を狙う方法しかないと考えています。そして値上がり益を狙うとなると、暗号資産などの投機的な商品と似た性格を持ち始めるため、不動産投資の安定して収入が手に入るというメリットと反してしまうという理由から、おすすめしていません。

②新築 対 中古

「新築」か「中古」かで言うと、特に築古の中古物件には月ごとに細かな修繕費などのランニングコストがかかる点がデメリットです。中古物件経営では、新築時からカウントして10〜15年目に大規模修繕費=数百万円のコストが発生し、そこから10〜15年くらいは比較的安いランニングコストで運用できるという考え方が一般的です。したがって中古物件はコストのかからない時期、つまり大規模修繕が終わったあとの物件を購入するという方法が挙げられます。

ただし「出口」の問題を考えれば、売却する際に法定耐用年数が長く残っているほうが買い手は付きやすくなるわけですから、例えば15年目で修繕した中古アパートを買った場合は、残りの耐用年数が5〜6年しか残っていない、といった事態になりがちです。

また、新築の場合には30〜35年のローンが組めますから、融資の点においても有利で、返済比率が下がり、キャッシュフローも出やすくなります。

このように、融資、コスト、出口など様々な面で、中古よりも新築のほうが利益が出しやすいと考えます。

③木造アパート 対 鉄骨・RC造

「木造アパート」と「鉄骨・RC造」の比較で見ると、鉄骨・RC造の場合はまず、建てるための建築費がどうしても高くなってしまいますので、木造のほうが少なくとも1〜2%高い利回りを確保できます。

たとえば、都心の新築木造アパートで、7%の高い利回りの物件があったとします。これが鉄骨になると同じ立地、同じ間取りであったとしても5〜6%程度に落ち込み、さらにRCになれば5%を切るぐらいになります。

不動産投資は土地と建物に貯金していくようなものなので、月々で手元に入ってくるキャッシュフローを求めないのであれば、資産形成の意味においては、鉄骨やRC造の物件を買うという選択肢が存在します。しかし副業として検討する場合、キャッシュフローを生み出すことが重要になってきますので、木造アパートのほうが元を取るスピードが早いのです。

キャッシュフローの視点で補足しておくと、鉄骨・RC造は木造よりも耐用年数が長いことから、長期のローンが組める場合はキャッシュフローがよくなりますが、現実的には40〜45年のローンというのは銀行では組んではくれません。私たちの知っている中で最も長いのは、35年のローンです。そうなると利回りの高い木造のほうが採算をとりやすいといえます。

以上のような理由から、私たちは「新築」「木造」「一棟アパート」であり、ここに加え、東京23区まで1時間程度で出られるエリアにフォーカスしておすすめしています。

副業としての不動産投資
鉄羅敦士(てつら・あつし)
中央大学法学部出身。幼い頃から実家の賃貸経営を見て育つ。地域活性・経営コンサルティング会社、訪問鍼灸院の経営、投資用不動産専門会社を経て、2017年にPLAC株式会社設立。同社設立以前より、投資用の新築マンション等の不動産投資を行なう。不動産のプロになって以降は、自らアパート・マンションを3棟経営している経験も生かし、将来を見据えた投資全般のコンサルティングを行なっている。

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