本記事は、滝岡幸子氏の著書『すきま時間を味方につける 10分仕事術』(同文舘出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

職場,オフィス
(画像=PIXTA)

会議は25分以内。時には10分会議もありよね

子育てと仕事、好きなことと仕事を両立させている人は、会議の引き算が上手だと思います。会議やミーティングは、時間のリミットを決めないといくらでも長くなるもの。私はミーティングで議論するのが大好きなので、よくわかります。

子育て中で保育園のお迎え、子どもが小学校から帰ってくる、寝かしつけの時間など、「〇時までに帰らなきゃ」という制約があると、会議の途中までしか出られないこともありますよね。両立が上手な人は「途中で帰る」がうまいと思います。「参加できません」ではなくて「10分しかいられませんが、会議に出ます」といった具合に。

懇親会も同じで、まったく参加しないよりは顔を出してあいさつするだけでもいい。

その意欲と割り切りの具合が絶妙です。そのようなやり方はずーっとではなく、子育てで忙しいほんの数年だけ、と割り切っているのかもしれません。

滅多に顔を合わせないメンバーが一堂に会する会議やミーティングの場合は、2時間近く同じ部屋に座っていることに大きな意味があるでしょう。「この組織に属している」という一体感が得られるからです。

会議を行なうことのメリットは、「全員で同じ内容を同じ時間に共有できること」「本人に会えること」「その場でディスカッションできること」です。デメリットは、「同じ場所」に「同じ時間」に集合しなければならないことではないでしょうか。

話はそれますが、テレビ番組をリアルタイムに見ないで録画して見る人が多くなっています。「場所」と「時間」を制約されたくないという価値観が広がっているのかもしれません。

では、一般的な対面で行なう会議はどうでしょうか。私はひとり起業をしてから、「とにかく会いに行こう」といろいろな会社にあいさつに出かけて行った時期があります。その頃は時間がたっぷりありましたし、さまざまな人に会ってみることで経験値を増やしたいという思いがあったので、それでよかったと思います。でも、ごく一般的なことかもしれませんが、1時間かけてお互いの事業内容の紹介や近況報告に終始した、というような会議も少なくありません。

オンラインで行なうリモート会議の最適な時間は、25~30分程度といわれます。人の集中力が続く時間は20分程度なので、パソコンやスマホの画面に向かって集中して聴ける限界時間にプラスアルファといったところでしょう。

しかし、リモート会議が30分以内に済むのであれば、リアルに対面する一般的な会議も30分以内に完了できるのではないでしょうか。

アイデアを出し合うブレストミーティングなら数時間になるのもいいと思いますが、ほぼ説明のみの会議なら、時間短縮が可能だと思います。

10分会議

会議の効率化がうまい人は、事前に「会議で話し合う内容」についての資料を配布しています。実は「読めばわかる」ことは多くあり、書いてある内容を説明しなくても理解が得られる場合もあります。そうしておけば、会議では事前に配布した資料についての質疑応答と、「この案でいいと思うかどうか」の確認だけ行なえばいいのではないでしょうか。すると、ひとつの議題に対して「10分だけ」の会議もできそうです。

ポイントは、話し合う内容についてまとめた資料やグラフや表などのデータを事前に配布して、ミーティングの参加者にあらかじめ読んでおいてもらうことです。「10分会議」であれば、子育てや介護で忙しい人もすきま時間に資料を読み込み、質問内容を思い浮かべながら育児や介護をし、そして10分会議に参加することができます。

すきま時間を味方につける 10分仕事術
(画像=すきま時間を味方につける 10分仕事術)

何でも共有しすぎない

「他の人にお願いしましょう」「チームで協力して動きましょう」と他の人に委ねる仕事のやり方もありますが、私は「自分でするのが一番早い」と思うタイプです。時折「頼めない自分」に後悔することもありますが、「自分でするのが早い」というタイプの人は、私以外にも一定数いるとわかるようになりました。特に「ひとり起業」を続けられる人はそういう人が多いようです。

起業する人には「メンバーを求める人」と「ひとりで動きたい人」の2パターンがいます。私もコンサルティング会社を辞めて独立した時は「チームメンバーを増やしていこう」と思っていました。でも、「仕事を大きくしなければ」という志と本来の自分の資質との葛藤があって、うつ病になってしまいました(原因はもっと複合的なのですが)。「ひとりで自由に働きたい」という思いが「ひとり起業」という言葉を生んだことは、前にも書いた通りです。

誰かに頼んでいる時間があったら、自分でやってしまったほうがラクです。自分でやれば、「ここをちょっと変えよう」みたいな方針転換や修正もすぐにできます。「もう夜だから、翌朝にならないとお願いできない」といった時間的なジレンマもありません。

私の場合、自分でやったほうが早いと思う作業は、こんな具合です。

  • 出張時の旅券の手配を自分でやると、時間などを調整しやすい
  • 「書類の整理」を自分ですると、何がどこにあるのかすぐにわかる
  • 名刺は上手にファイリングしなくていい

起業当初は、名刺を集めてファイリングして、何度も眺めていました。「いつかお仕事をご一緒させていただきたい」という気持ちがあったんですね。今でもその気持ちは〝はちきれるほど〟ありますが、名刺の数ではなく、ご縁のある方との出会いが大事なのだと気づきました(でも起業当初は、名刺の数も実績だと思います)。

こうやって挙げてみると、どれも「自分でできること」や「得意ではないけれど、嫌いではない作業」ですね。その一方で、プロの技を必要とする分野は、すべてお任せしています。

すきま時間を味方につける 10分仕事術
滝岡 幸子
中小企業診断士、経営コンサルタント、「ひとり起業塾」主宰、渋谷ポテンシャルビジネス研究所代表
外資系コンサルティング会社・プライスウォーターハウスコンサルタント(PwC、現IBM)で、多くの企業の戦略立案、業務改善プロジェクトに従事後、2002年に有限会社ポテンシャルを設立。会社員時代から20年超にわたり、ノマド、ワーケーション、在宅ワーク、複業(パラレルワーク)を含めた“どこでもオフィス"な働き方を実践。中小企業の経営コンサルティングや起業支援などを主な領域とし、企業研修、非常勤講師、各種メディアでの執筆、講演、ワークショップ・セミナー開催などに邁進。“転んだら宝石をつかんで起きよう"をモットーに、自分らしい働き方とライフスタイルを模索。少資金、低リスクで身軽な「ひとり起業」や副業、女性の働き方に関する講演や執筆を担当する機会が多いため、仕事の効率化や在宅ワークをからめた時短家事、子育てと仕事をミックスしたライフスタイルを研究中。
著書に『ど素人がはじめる起業の本』『図解 ひとりではじめる起業・独立』(翔泳社)、『マイペースで働く! 女子のひとり起業』『マイペースでずっと働く! 女子のひとり起業 2年目の教科書』『マイペースで働く! 自宅でひとり起業 仕事図鑑』『クルマ1台で起業する はじめよう! 移動販売』(同文舘出版)、『女子の副業 夢もお金もあきらめない。』(青春出版社)などがある。

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