2022年2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して以降、通称「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は高値圏で推移を続けている。何度か「終結しそう?」と思わせる場面もあったが、それが儚い期待でしかなかったことを思い知らされ、再び暗澹たる気持ちに苛まれてしまう。21世紀の国際社会において、まさか世界を震撼させるような戦争の悲劇をこの目にするとは努々(ゆめゆめ)思ってもみなかった。何かあっても、最悪限られた地域の局地戦で済むだろうと高をくくっていたのだ。だが現実には米国大統領でさえ「(ウクライナの地で)第3次世界大戦は戦わない」と最悪の事態を意識した発言をするような状況だ。

富裕層,資産運用
(画像=Fast&Slow / pixta, ZUU online)

世界はつい最近まで、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)といった、将来の地球環境を見据えての生活様式や行動様式、あるいは企業のあり方等が大きな関心事となっていた。どうすれば二酸化炭素の排出が抑えられ、地球の豊かな自然を保全することができるのか、男女平等で人権が尊重された社会が実現するのか、貧困や飢餓を終わらせることができるのか、などという議論が行われていた。

だがあの日を境に、時計の針を何十年も巻き戻したかのような非文明的な行為がロシアという国家を挙げて行われている。そして米国やNATO(北大西洋条約機構)のみならず、ほとんどすべての西側諸国が対ロシアで非難の声を上げ、早期の停戦、そして終結を望んでいる。戦争で不幸な目に遭うのはいつの時代も一般市民である。どのような理由であれ、人の命を奪うことが許されるはずはない。

当然のことながら、金融市場の反応も素早かった。ロシアの株式市場、通貨ルーブル、ロシア国債などは軒並み叩き売られ、ロシアの金融機関はSWIFT(国際銀行間通信協会)からの締め出しによって決済・受渡しさえも不可能となった。ちなみに、著しい経済発展が見込まれる新興国として注目された「BRICs(BRICS)」のRはロシアのことであるが、その名付け親でもあるゴールドマン・サックスでさえ、ロシアからの撤退を決めたほどだ。3月18日付のコラム『ロシア関連の投資信託の基準価額が急落、いま投信業界が考えるべきことは?』でも取り上げているが、ロシア関連資産に投資をしている投資信託の基準価額など、背筋が凍るほどの急落となっている。