この記事は2022年3月31日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「現金と比べた「ポイント」の価値の感じ方」を一部編集し、転載したものです。

目次

  1. はじめに
  2. 調査概要
    1. アンケート調査の概要
    2. ポイントの価値の感じ方の計測
  3. 現金と比べた「ポイント」の価値の感じ方
    1. 女性はポイントの価値をあまり割り引かない
    2. 年収が500~700万円の人はポイントの価値をあまり割り引かない
    3. 人口密度の高い都府県にに住んでいる人はポイントの価値をあまり割り引かない
    4. 支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人はポイントの価値をあまり割り引かない
  4. おわりに

はじめに

ポイント,現金
(画像=PIXTA)

クレジットカードのポイント、家電量販店のポイント、ドラッグストアのポイント、オンラインショッピングのポイントなど、日々の生活では様々なポイントを貯める機会がある。

こうしたポイントは、限られたお店で限られた用途、時期にしか使えないものから、多くのお店で様々な用途、時期に使うことができるものまで様々あるが、一般的に現金と比べれば、使うことができる場所や用途、時期は限られているだろう。

そのため、8,000円の現金と8,000円分のポイントを比べれば、よく使うポイントでも、8,000円分のポイントの価値の方を小さく感じる人は多いのではないだろうか。

では、どういった人は、ポイントの価値をより割り引いて感じ、どういった人はあまり割り引いて感じないのだろうか。

本稿では、ニッセイ基礎研究所が行った独自の調査を分析した結果を紹介する。結果を先取りしてお伝えすれば、ポイントの価値の感じ方に、年齢層や学歴による差は確認されなかった。

一方で、女性や、年収500~700万円の人、人口密度の高い都府県に住んでいる人、また、ポイントを支払い使うことが多い人はポイントの価値をあまり割り引いて感じない傾向が確認された。

調査概要

アンケート調査の概要

本調査は、2021年の3月にWEBアンケートによって実施した。回答は、全国の26~65歳の男女(*1)を対象に、全国6地区の調査対象者の性別・年齢階層別(10歳ごと)の分布を、令和2年1月の住民基本台帳の分布に合わせて収集した。回答数の合計は2,601件である。


*1:マイボイスコム株式会社のモニター会員


ポイントの価値の感じ方の計測

本調査では、表1の質問によってポイントの価値の感じ方を計測した(*2)。回答者は1から7までの設問にそれぞれ回答する。そして、選択した回答がAからBに移った場所によって、ポイントの価値の感じ方を計測した。

たとえば、1と2ではAを選び、3でBを選んだ人は、8,000ポイントを、現金での7,000円から7,500円程度の価値と感じていると捉える。AからBに選択が移動する番号が遅い人ほど、現金に比べてポイントの価値をより割り引いて感じていることになる。

現金とポイント
(画像=ニッセイ基礎研究所)

*2:調査項目は時間割引率の測定に使われる手法を参考に作成した。時間割引率の測定に使われる質問については、以下の基礎研レポートを参照。
岩﨑敬子(2020年12月17日)「ふるさと納税の年末駆け込みと時間選好の関係」基礎研レポート(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=66374?pno=3&site=nli)


現金と比べた「ポイント」の価値の感じ方

女性はポイントの価値をあまり割り引かない

図1は、ポイントの価値の感じ方を、男女/年齢層別に示したものである(*3)。

図1からは、8,000円の現金よりも8,000ポイントを好む回答者が全体で約10%いることがわかる。こうした人は性別や年齢層に関わらず、一定割合確認できる。

ポイントよりも現金の方が使うことができる場面は多いと考えられる一方で、現金よりもポイントの方が利用しやすく感じる人がいる可能性が考えられる。他には、ポイントでしか手に入らない特典などがある場合や、設問の誤認等の可能性も考えられるかもしれない。

そして、8,000ポイントの価値として最も多くの人が感じる現金での金額は、7,500円~8,000円の間で、回答者全体の約6割が選択した。

これは現金に対して、その金額よりも約6%多い金額分の(その人が最も多く利用する)ポイントを掲示すると、(もともと同額分でもポイントを選択する約1割の人を含めて、)約7割の人は現金ではなくポイントを選択することを示唆している(*4)。

また、現金の金額に対してさらにその100%分の金額のポイントが加算されたとしても、ポイントではなく現金を選択する人も、全体で約5%いることが確認できる。

男女を比較すると、男性は8,000ポイントの価値を7,500円以上と感じる人の割合が約67%であるのに対して、女性は約76%で、女性の方がポイントの価値をあまり割り引かない人の割合が大きい。男女ともに、年齢層ごとに大きな違いは見られない(*5)。

現金とポイント
(画像=ニッセイ基礎研究所)

*3:表1の設問の回答から、8,000ポイントを現金に換算した価値の感じ方について、設問1がBの人は8,000円以上、設問2でBに変わった人は7,500円~8,000円、設問3でBに変わった人は7,000円~7,500円、設問4でBに変わった人は6,500円~7,000円、設問5でBに変わった人は6,000円~6,500円、設問6でBに変わった人は,5000円~6,000円、設問7でBに変わった人は4,000円~5,000円、設問7でもBに変わらなかった人は、4,000円以下とした。
*4:本調査は日本の住民全体からランダムサンプリングによって選ばれた人々を対象に行ったわけではなく、マイボイスコム株式会社のモニター会員を対象に実施した Web 調査であり、日本の住民全体の傾向とは異なる可能性がある点に注意が必要である。
*5:表1で設問Bに切り替わった設問番号を被説明変数として、説明変数を、女性ダミー、年齢層カテゴリーダミー、大卒ダミー、職業ダミー、人口密度が高い都府県に住んでいる人ダミー、年収カテゴリーダミー、支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人ダミーとした重回帰分析では、女性が統計的に有意に8,000ポイントに対して感じる価値が大きい(p値0.01未満)傾向が確認されたが、年齢層による違いは確認されなかった(20代を参照カテゴリーとして、有意水準10%未満で異なる年齢層カテゴリー無)。


年収が500~700万円の人はポイントの価値をあまり割り引かない

次に図2は、8,000ポイントの価値の感じ方の分布を、大卒/非大卒、および年収層別に示したものである。大卒者と非大卒者では、ポイントの価値を7,500円以上と感じる人の割合に、大きな違いは見られない。

年収層別にみると、非大卒者年収500万円以上700万円未満の人の間では、8,000ポイントの価値を7,500円以上と感じる人の割合が約78%で、他の年収カテゴリーと比較して大きい(*6)。

現金とポイント
(画像=ニッセイ基礎研究所)

*6:注5の推計では、大卒者と非大卒者でポイントの価値の感じ方に統計的に有意な違いは見られない。年収カテゴリーダミーについては、年500万円~700万円の人は統計的に有意に(p値0.05未満)130万円未満の人よりも8,000ポイントの価値を大きく感じる傾向が見られた。


人口密度の高い都府県にに住んでいる人はポイントの価値をあまり割り引かない

次に図3は、8,000ポイントの価値の感じ方の分布を、人口密度の高い都府県に住んでいる人とそうでない人に分けて示したものである。人口密度の高い県は、1平方キロメートル当たり1,000人を超える7都府県(東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県、千葉県、福岡県)とした(*7)。

人口密度が高い都府県に住んでいる人は約74%が8,000ポイントの価値を7,500円以上と感じるのに対して、人口密度が高い都府県に住んでいない人で8,000ポイントの価値を7,500円以上と感じる人の割合は、約68%であった。人口密度が高い都府県に住んでいる人の方が、8,000ポイントの価値をあまり割り引かない傾向が確認できる(*8)。

現金とポイント
(画像=ニッセイ基礎研究所)

*7:都道府県市区町村ランキングデータ(https://uub.jp/rnk/p_j.html, 2022年3月28日アクセス)
*8:注5の推計では、人口密度が高い都府県に住む人は、8,000ポイントの価値を統計的に有意に大きく感じる傾向が確認された(p値0.01未満)。


支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人はポイントの価値をあまり割り引かない

次に図4に、8,000ポイントの価値の感じ方の分布を、支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人(*9)とそうでない人に分けて示した。

支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人は、約73%が8,000ポイントの価値を7,500円以上と感じるのに対して、支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多くない人では、8,000ポイントの価値を7,500円以上と感じる人の割合は、約67%であった。

支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人の方が、8,000ポイントの価値を大きく感じる傾向が確認できる(*10)。

現金とポイント
(画像=ニッセイ基礎研究所)

*9:「支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い」に当てはまるかどうかを「はい」か「いいえ」で選択して回答頂く設問で、「はい」を回答した人。
*10:注5の推計では、支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人は、8,000ポイントの価値を統計的に有意に大きく感じる傾向が確認された(p値0.01未満)。


おわりに

本稿では、日常生活の様々な場面で貯める機会があるポイントについて、どういった人はポイントの価値を現金と比べてより割り引いて感じ、どういった人はあまり割り引いて感じていないのかを、ニッセイ基礎研究所が行った独自の調査を用いて確認した結果を紹介した。

結果としては、ポイントの価値の感じ方に、年齢層や学歴による差は確認されなかった一方で、女性や、年収500~700万円の人、人口密度の高い都府県に住んでいる人、貯まっていたポイントを支払いに使うことが多い人は、ポイントの価値をあまり割り引いて感じない傾向が確認された。

これらの要因については今後の検討課題であるが、普段貯まっていたポイントを支払いに使うことが多いかどうかを一定として比較しても、人口密度の高い地域でポイントの価値が高く感じられる要因としては、普段ポイントを使っていない人でも、使おうと思えば使うことができる選択肢の多さなどが関連している可能性が考えられるかもしれない。

岩﨑 敬子(いわさき けいこ)
ニッセイ基礎研究所 保険研究部 准主任研究員

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