本記事は、片田智也氏の著書『ズバ抜けて結果を出す人だけが知っている 感情に振り回されないための34の「やめる」』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

「達成できそうな目標」を立てるのを、やめる

ゴール
(画像=CORA/PIXTA)

かんたんに手が届きそうな目標を立ててはいけません。それは、結果を出せない人の考え方です。結果を望むなら、もっと遠くの方に目標を置いてください。

「でも、達成できなかったらどうしよう……」。

大丈夫。達成できるかどうかは権外。それに目標は、達成するために立てるのではありません。パフォーマンスの限界を更新するために立てるのです。

たとえば、高校に入って野球をするにしても「甲子園出場」を目指すのと、「ドラフト一位指名」を目指すのとでは、その後の行動がガラリと変わります。

もちろん、前者だって大変。ですが、後者はもっと大変です。朝は何時に起きるのか。どんな練習を何時間ぐらい、どの程度の熱量でこなすのか。

力の入れ具合は、「どこを目指すか」によって変わります。

実際、エンゼルスの大谷翔平選手が高校一年生のときに立てた目標は、「八球団ドラフト一位指名」でした。「もうちょい達成できそうな目標にしておくか」と、目指す場所を引き下げていたら、その後の大谷選手はいなかったかもしれません。

目標は、「これから積み重ねるであろう行動の質と量」を決めます。

あえてハードな目標を立てることで、パフォーマンスの限界を引き上げる。それが、目標という概念の正しい使い方なのです。

ポイントは、「あえて不安を強めること」にあります。

私が、とある企業から研修を依頼されたときのことです。

「研修終了後、アンケートを取って受講者から5点満点で評価をもらいます」とのこと。担当者は、「平均で4点台を出してもらえれば……」と言います。

「ならば」と、私が目指したのは5段階の平均で、5点。つまり、「100名近くの受講者全員から最高評価をもらう」という、ありえない目標を立てました。

なぜ、わざわざそんなハードな目標を立てたのか。「これぐらいやれば十分だよね」という安心のハードルを引き上げるためです。

「これじゃ足りない」「もっと質の高いものを」「まだ安心できない」。

目標を大きくすると、その分「備えなさい」という不安も大きくなります。

不安とは、行動を起こすための感情。それをあえて強めることで、準備の質を爆発的に高めることができる。だから、パフォーマンスが上がるのです。

さて、結果はどうだったかというと、5点満点中の4.97。

96人中、3人が4点、残り全員が5点をつけた計算になります。4点台を割る講師も多数いる中で、ズバ抜けた高評価をもらうことができました。

たしかに、「オール5点」の目標は未達成。ですが、結果に一喜一憂する必要はありません。ここで「あと3人が5点をつけていれば……」などと嘆くのは、結果に対する執着です。結果は権外と割り切って、さっさと次の目標に進みましょう。

ただし、組織で共有する目標について大風呂敷を広げるのは考えものです。達成するための目標も、建前の目標もあります。でも、個人で立てる目標は別物。

「達成できそうな目標」を立てるのをやめることです。

「これぐらいなら今の自分でも達成できるかな」。

ちょっと背伸びすれば手が届く。そんな程度の目標なら目指す意味がありません。少なくとも、パフォーマンスの向上は見込めないでしょう。

あえてハードな目標を立てることで、ガンガン限界を更新してください。それを達成できたかどうかなど気にしなくてよし。結果が出ようが出まいが、やることは一つ。次の目標に向かって自分を高めることだけなのです。

まとめ
あえてハードな目標を立てて、パフォーマンスの限界を引き上げる

ズバ抜けて結果を出す人だけが知っている 感情に振り回されないための34の「やめる」
片田智也(かただ・ともや)
産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。大学卒業後、20代で独立するがストレスから若年性緑内障を発症、視覚障害者となる。同年、うつ病と診断された姉が自死。姉の死の真相を知るため、精神医療の実態や心理療法を探求、カウンセラーに転身する。教育や行政、官公庁を中心にメンタルケア事業に多数参画。カウンセリング実績は延べ1万名を超える。カウンセリングから企業コンサルティング、経営者やアスリートのメンタルトレーニングまで、心の問題解決に広く取り組む。企業研修やセミナーの受講者は延べ2万名以上。著書に『「メンタル弱い」が一瞬で変わる本 何をしてもダメだった心が強くなる習慣』(PHP研究所)がある。

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