本記事は、樋口圭哉氏の著書『やりたいことを何でも叶える 目標達成のための手帳術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

表情
(画像=PIXTA)

やる気やモチベーションに頼らない

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何かをやろうとしたそのとき、「やりたい」という気持ちが高まり、「よーし! やるぞ!」くらいのやる気やモチベーションが高まっていれば、当然、行動に移すスピードも速くなりますし、行動量も増えることでしょう。ですから、自らのやる気やモチベーションを高めることによって行動を促そうとすることは、間違いではありません。

しかし、行動するためにはやる気やモチベーションが必要だ、と思い込んでいることほど、危険なことはありません

なぜならば、その思い込みによって、やる気やモチベーションが高まらなければ、「今日は何となくやる気が起きないからやらない」ということになってしまうからです。

では、あなたに伺います。

「よーし! やるぞ!」といった高いやる気やモチベーションは、一体どのくらいの間、保っていられるでしょうか?

ちなみに私の場合ですが、正直なところ、1日24時間さえ保てません。

1日24時間さえ保てないわけですから、やる気やモチベーションに頼っていたら、やりたいことを実現するための行動が起こらなくなってしまいます。行動が起こらないのですから、やりたいことが実現するはずもありません。

しかも、やる気やモチベーションは、自らの健康状態や精神状態の影響を受けやすく、その時々の感情にも左右されやすいものです。また、外部からの影響も受けやすいため、簡単には防ぐことができません。

ですから、「やる気やモチベーションを上げて、それを維持しろ!」という方が難しいはずです。私は絶対におすすめしません。

まして、「やる気やモチベーションには波がある」と言われるとおり、一定に保つことも難しいのですから、このやる気やモチベーションを半ば強引に引き上げようとすることもおすすめしません。

なぜなら、私たちの感情はまるで振り子のように、半ば強引に「よーし! やるぞ!」とプラスに振れば振るほど、その分の反動が必ず返ってくるからです。

ですから私は、ちょっと懐かしいジブリ映画になりますが、『千と千尋の神隠し』の海原電鉄の列車の行先表示板に書かれていた「中道」をおすすめします。

「中道」とは、極端を避けて、なるべく揺らさないという意味です。

そもそも、やる気やモチベーションという目に見えない感情がやりたいことを実現させるわけではありません。やりたいことを実現させるためには、具体的行動によって実現していくわけですから、引き出すべきは行動であって感情ではありません。

さらに言えば、人間には、環境が変化しても体の内部環境を一定に保とうとするホメオスタシスと呼ばれる生体的な働きが備わっています。

何かをやろうとして意気込んで始めたものの、3日坊主でもとに戻ってしまったという要因は、まさにホメオスタシスが機能しているということです。

やる気やモチベーションを高めて、極端な変化を起こそうとすればするほど、尚更このホメオスタシスがもとの状態に引き戻そうとする機能を発動させてしまうことになります。私たちが行おうとしている変化に警鐘を鳴らし、「いつもの状態」に引き戻そうとするわけです。

ですから、私は、はじめからやる気やモチベーションを手放しているのです。

やるべきことは、ホメオスタシスに急激な変化と悟られないよう「このくらいならできそうだ」と思える程度の行動をコツコツ、淡々と繰り返していくことです。

そうやって、ひとまずホメオスタシスの監視の目をすり抜け、新しい行動をコツコツ、淡々と行っていることが「いつもの状態」として定着してしまえば良いのです。

つまり、「習慣になる」ということは、変化した状態をホメオスタシスが「そうそう、これがいつもの状態だよね」という具合に最強の味方として監視役となり、その行動を止めようとしたときには、「もとに戻さなくちゃ」と機能を発動させてくれることなのです。

未来の自分に対する最高のプレゼント

やりたいことを何でも叶えてしまう人は、一瞬にして叶えてしまうような魔法の力を持っているわけではありません。

新たな価値を創造するため、0から1を生み出そうとするときには、それ相応の生みの苦しみを味わうことになりますし、その生み出した1を100に拡大しようとするときも、それはそれで大変な思いをするわけです。

それでも、やりたいことを何でも叶えてしまう人たちは、「習慣」によって何事も実現まで押し上げていく力を持っています。

もっと突っ込んだ言い方をすれば、やりたいことが何でも叶ってしまう「体質」になっていると言っても過言ではありません。

実は、この本の読者の皆さんにお届けしたいことは、手帳の使い方を通して、やりたいことを何でも叶える「体質」を手に入れることなのです。

「体質」という話が出てきたので、少しだけ私たちの身体について見ておきましょう。

私たちの身体は、およそ60兆個の細胞が集まってつくられていて、この細胞がほんの少しずつ毎日入れ替わっているそうです。

つまり、細胞をキレイで質のよいものにすれば、体質も変わっていくわけです。

どのくらいで臓器の細胞が入れ替わるかというと、部位によって差があるそうですが、最も短いもので腸管の上皮細胞が3〜4日でつくられて吸収などの機能を担い、1〜2日で役目を終えて便として排出されるそうです。そのほか、胃は約30日、肌もおよそ1か月(28日)のサイクルで入れ替わると言われています。

そして、良質な細胞をつくるために最も大切なものがあります。それは、良質な血液だそうです。この血液がすべて入れ替わるには約120日かかると言われています。

とはいえ、私はこの分野の専門家ではありませんから、専門の病院の先生に尋ねてみました。

「先生。体質を改善するにはどうすればよいのでしょうか?」

すると、先生はこう答えてくださいました。

「樋口さん。体質改善も、実は樋口さんがおっしゃっている目標達成の話と同じで、何か1つのことをしたからといって劇的に改善することなんてないんです。簡単なことから言いますが、まずは水分をしっかり取ること。それから、身体を冷やさないこと。とくに太ももや腕まわりの、血液が多く流れる部分を温めることで効果が得られます。そして、早めにお布団に入ってよく寝てください」。

私は、つい口をはさんでしまいました。

「え、子どもでもできそうなことですよね?」

先生も続けて話してくださいました。

「はい。体質改善は、ちょっと意識さえすれば誰にでもできます。もう少しだけ補足しますが、美味しい食事を楽しんでバランスよく栄養を取ってください。簡単な方法は、旬の食材を食べるようにしてください。旬の食材は、美味しくて栄養もあります。最後に、適度な運動をしましょう。と言っても、これは樋口さんが良く言っている通勤時早歩きから始めることで十分です。難しいことなんて1つもありません。ただ、大事なことは、これらのことを繰り返すこと。それだけです」。

こうして先生のお話を伺って私が感じたことは、身体的な体質改善も、やりたいことを何でも叶える「体質」改善も全く同じことで、コツコツ、淡々の繰り返しなんだということです。

この「体質」改善こそ、未来の自分に対する最高のプレゼントになるはずです。

帰り際、先生がちょっとニヤリとしながらおっしゃいました。

「樋口さん。PRESENTって日本語に訳すと、【贈り物】という意味だけではなく、【今、現在】という意味も持っていますね。言っちゃっていいですか? 未来の自分に対する最高のPRESENTは今、今からコツコツ、淡々と繰り返すことですよね」。

このとき、先生は自信たっぷりに、決まった! という表情をされて私を見送ってくださいました。すかさず私は先生に尋ねました。

「先生! 今のPRESENT話、ネタにいただいてもいいですか?」

先生は、満面の笑みで大きく頷いてくださいました。

やりたいことを何でも叶える 目標達成のための手帳術
樋口圭哉
Dream Company株式会社代表取締役社長。
1974年茨城県鹿嶋市生まれ。成城大学経営学部卒。2001年株式会社西武に入社し、人材育成やチームビルディングによって業績を向上させ、7年間統括マネージャーを務める。2008年には独立起業し、研修・コンサルティング事業を開始。新入社員から管理職までを対象とした、人材育成と組織マネジメントを軸にした研修講師となる。2011年Dream Company株式会社設立。2012年には社会保険労務士試験に合格し、社会保険労務士事務所を開設。2017年には美容室「Hair Salon AMI」を開業。2018年には学習塾「松陰塾 綱島校」を開業。2020年一般社団法人ドリームマネージャーⓇ協会の顧問に就任。やりたいと願ったことは9割以上実現してきた体現者である。
著書に『やる気のないチームを劇的に変える3分の習慣』(秀和システム)、『リピート率9割を超える! 繁盛店スタッフの育て方』(アニモ出版)がある。

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