本記事は、大西みつる氏の著書『はじめて部下を持った人のための 超リーダー力』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
×リーダーが会議を仕切る ○メンバー全員が会議を仕切る
「仕切る」という言葉の意味を調べてみると、「ある範囲の物事を掌握し処理する。取り仕切る」と記されています。
はじめて部下を持ったリーダーは、組織を、また、会議を、自分が取り仕切らないといけないと思い込んでいることがあります。
本当にそうでしょうか。
リーダーだから会議を仕切る、仕切るのがリーダーシップだと思い込んでいる方は多くいます。思い込みは、直接的に自分の行動を規定していきます。
このことをリミッティングビリーフと言います。
あなたのチームの会議は、部下から活発に意見が出てきますか。リーダーが会議を仕切りすぎてしまうと、部下から活発に意見を引き出すことは難しいのではないでしょうか。
私は、「会議で部下が自分の意見を言わない」と嘆くリーダーをたくさん見てきました。その多くは、リーダーが仕切りすぎています。
リモートワークのオンライン会議においては、この傾向は対面での会議以上に顕著に出てきます。画面をオフにしている参加者もいたりして、参加者の方も、ただ聞いているということが習慣化されている様子が窺えます。
「リーダーが会議を仕切る」という思い込みを手放し、「メンバー全員で会議を仕切る」にその意味を変えてみてください。
これをリフレーミングと言います。
「リフレーミング」とは、理想的な状態に向かうために、物事を認知する枠組みを別の枠組みで捉え直すことを言います。枠組みは英語で「Frame(フレーム)」、そのフレームを改めることから「Reframing(リフレーミング)」と呼ばれます。
会議を仕切ることを手放して、まずは、部下が自分の考えや意見を言えるような雰囲気を作り出し、積極的に部下に質問し、意見を出してもらえるようにリーダーシップ(影響力)を発揮してください。
リーダーから質問しても部下がなかなか答えられない場合には、メンバー同士(2、3人程度)でテーマについて話し合ってもらい、場を温めてから意見を聴くと、部下が発言しやすい状態を作り出すことができます。
ZOOMなどのオンライン会議においても、ブレイクアウトセッション(小集団に分かれる)を有効活用しましょう。全体議論へ繋げるために、まずは少人数で話し合う場を作ることは有効です。「全員参加」の意識を形成するため、メンバー全員が他人事ではなく自分事として会議に参加している様を作り出していくことが、リーダーに求められます。
リーダーに求められているのは「場」を上手く作ることであって、会議を自分で仕切ることではないのです。一番よくないのは、「何かないのか」と部下に詰問することです。
詰問から部下がどんな感情を抱くかを考えてください。
それは、「恐れ」です。恐れの心理状態からは積極性を引き出すことはできません。積極性を引き出すためには、「何を言っても大丈夫」という心理的な安心感が必要です。
詰問を繰り返すリーダーの会議は、部下ははやく終わってほしいと願っています。
人はたくさんの思い込みを抱えています。自分の中で上手くいった体験、上手くいかなかった体験から、様々な思い込みが形成されてきています。
思い込みは能力ではなく、観念みたいなものです。それを手放し、物事に新たな意味と解釈を行うリフレーミングの技術を使うことで、行動が変化します。
リーダーの行動が変化すれば、それが影響力となって部下に届いていきますので、部下にも変化が生まれます。
リフレーミングの技術を活用し、自分自身に「本当は何か。何が大切か」などの本質的な問いをしてみることから始めてください。
POINT
リーダーシップを高めるためにリフレーミングの技術を活用しよう。
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