本記事は、大西みつる氏の著書『はじめて部下を持った人のための 超リーダー力』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

×リーダーが会議を仕切る ○メンバー全員が会議を仕切る

会議
(画像=PIXTA)

「仕切る」という言葉の意味を調べてみると、「ある範囲の物事を掌握し処理する。取り仕切る」と記されています。

はじめて部下を持ったリーダーは、組織を、また、会議を、自分が取り仕切らないといけないと思い込んでいることがあります。

本当にそうでしょうか。

リーダーだから会議を仕切る、仕切るのがリーダーシップだと思い込んでいる方は多くいます。思い込みは、直接的に自分の行動を規定していきます

このことをリミッティングビリーフと言います。

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(画像=『はじめて部下を持った人のための 超リーダー力』より)

あなたのチームの会議は、部下から活発に意見が出てきますか。リーダーが会議を仕切りすぎてしまうと、部下から活発に意見を引き出すことは難しいのではないでしょうか。

私は、「会議で部下が自分の意見を言わない」と嘆くリーダーをたくさん見てきました。その多くは、リーダーが仕切りすぎています。

リモートワークのオンライン会議においては、この傾向は対面での会議以上に顕著に出てきます。画面をオフにしている参加者もいたりして、参加者の方も、ただ聞いているということが習慣化されている様子が窺えます。

「リーダーが会議を仕切る」という思い込みを手放し、「メンバー全員で会議を仕切る」にその意味を変えてみてください

これをリフレーミングと言います

「リフレーミング」とは、理想的な状態に向かうために、物事を認知する枠組みを別の枠組みで捉え直すことを言います。枠組みは英語で「Frame(フレーム)」、そのフレームを改めることから「Reframing(リフレーミング)」と呼ばれます。

会議を仕切ることを手放して、まずは、部下が自分の考えや意見を言えるような雰囲気を作り出し、積極的に部下に質問し、意見を出してもらえるようにリーダーシップ(影響力)を発揮してください。

リーダーから質問しても部下がなかなか答えられない場合には、メンバー同士(2、3人程度)でテーマについて話し合ってもらい、場を温めてから意見を聴くと、部下が発言しやすい状態を作り出すことができます。

ZOOMなどのオンライン会議においても、ブレイクアウトセッション(小集団に分かれる)を有効活用しましょう。全体議論へ繋げるために、まずは少人数で話し合う場を作ることは有効です。「全員参加」の意識を形成するため、メンバー全員が他人事ではなく自分事として会議に参加している様を作り出していくことが、リーダーに求められます。

リーダーに求められているのは「場」を上手く作ることであって、会議を自分で仕切ることではないのです。一番よくないのは、「何かないのか」と部下に詰問することです。

詰問から部下がどんな感情を抱くかを考えてください。

それは、「恐れ」です。恐れの心理状態からは積極性を引き出すことはできません。積極性を引き出すためには、「何を言っても大丈夫」という心理的な安心感が必要です。

詰問を繰り返すリーダーの会議は、部下ははやく終わってほしいと願っています。

人はたくさんの思い込みを抱えています。自分の中で上手くいった体験、上手くいかなかった体験から、様々な思い込みが形成されてきています。

思い込みは能力ではなく、観念みたいなものです。それを手放し、物事に新たな意味と解釈を行うリフレーミングの技術を使うことで、行動が変化します

リーダーの行動が変化すれば、それが影響力となって部下に届いていきますので、部下にも変化が生まれます。

リフレーミングの技術を活用し、自分自身に「本当は何か。何が大切か」などの本質的な問いをしてみることから始めてください。

POINT
リーダーシップを高めるためにリフレーミングの技術を活用しよう。

はじめて部下を持った人のための 超リーダー力
大西みつる(おおにし・みつる)
株式会社デザインリーダーシップ代表取締役CEO、立命館大学経営学部客員教授。1961年大阪府生まれ。立命館大学経済学部に入学し、硬式野球部に所属。卒業後、本田技研工業(株)に入社。ホンダ鈴鹿硬式野球部でプレーした後、戦略マネージャーとして都市対抗野球大会優勝に導く。その後監督を経験しチーム作りに大苦戦。社業に専念してからは、日米双方で人材開発や管理職のリーダーシップ開発に取り組む。自らの体験からリーダーシップ開発の重要性を強く感じ、働きながら筑波大学大学院ビジネス科学研究科で経営とリーダーシップを学ぶ(経営学修士)。2009年、企業のリーダー育成トレーニングと企業変革を支援する株式会社ヒューマンクエストを設立。大手民間企業を中心に年間延べ4,500人以上のリーダーと向き合う日々を送っている。2022年、副業メンバーと共に自分価値の拡充を図るサードプレイスラーニングを行う株式会社デザインリーダーシップを立ち上げ、「自分にリーダーシップを!」のビジョンに向けて活動中。著書に『ビジネス×アスリート・トレーニング式 最高の自分のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『結果を出す人は「修正力」がすごい!』(三笠書房)等。

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