本記事は、長期株式投資氏の著書『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資 ど素人サラリーマンが元手5万円スタートでできた!』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています

なぜ「自社株買い」している企業は狙い目なのか?

有望な投資先を見つける7つの指標
(画像=kamiphotos/stock.adobe.com)

最近では、日本企業も株主還元に積極的になってきています。

株主還元の方法は様々ですが、株主還元の柱として配当を重視している企業が多いといえます。企業の自社ホームページに株主還元方針が記載されていますので、確認してみてください。

連続増配を実施する方針なのか、減配しない安定配当を目指しているのか、あるいは利益水準に応じた配当を実施する方針なのか、何らかの記載があるはずです。

ちなみに、「利益水準に応じた配当を実施」と記載があるものについては、業績が悪化した場合に減配される可能性もあるため、過去の配当の推移をよく確認しておきましょう。

また、利益水準に応じてとしながら、業績悪化時でも配当の下限を設けている企業もあります。

株主還元では、配当の他に自社株買い(自己株式の取得)という手段が取られることがあります。企業がすでに市場に流通している自社の株式を買い戻すことで、1株利益の向上による株価上昇が期待できるというわけです。

また、株主還元に積極的な企業は、自社株買いで取得した株式をしっかりと消却(保有する自己株式を消滅させること)しています。このあたりもあわせてチェックしておきましょう。

株主還元は、まずは配当を第一に考え、余力があれば自社株買いというパターンがほとんど。そのため自社株買いは、業績が堅調で安定した利益がなければ、実施は困難です。毎年自社株買いを実施している企業は極めて稀ですが、NTTのように断続的に実施している企業も存在します。

どの程度の頻度で自社株買いが実施されているか、また、自社株買い後にしっかりと消却されているかを確認して、投資の判断材料とするのもいいでしょう。

「儲かるセクター」の代表格は?

世の中には、利益率の高いセクターと低いセクターが存在します。

たとえば、医薬は開発に莫大なコストと膨大な時間を要しますが、新薬として承認されれば、製造原価自体は低いため、売れば売るほど利益が積み上がっていくのです。

このような商品を取り扱っている会社の利益は、当然大きくなります。

ジェレミー・シーゲル教授の研究では、儲かる業種は、ヘルスケア(武田薬品工業やアステラス製薬等の医薬品、HOYAやテルモ等の医療機器メーカー等)、トイレタリー(花王、ユニ・チャーム等)、エネルギー(INPEX等)とされています。

いずれも売上に対しての営業利益率が高く、そのような会社へ適正な株価で投資ができているならば、将来のリターンも期待できるでしょう。

「ナンバーワン」「オンリーワン」の会社の見抜き方

長期保有を前提に投資するのであれば、業界ナンバーワンと呼ばれている企業へ投資しましょう。

業界内の序列というものは、なかなか変わるものではなく、10年前のナンバーワン企業が、現在もナンバーワン企業であることは珍しくありません。

何をもってナンバーワンとするかは様々な見解があるかと思いますが、基本的には純利益の絶対額を判断基準とするのが妥当でしょう。

端的に表現するならば、いくら儲けているかが大切です。売上が大きくても儲かっていなければ、株主への還元もままなりません。

また、業界内での純利益がトップでなかったとしても、特定の分野で高いシェアを確保して、実質オンリーワンになっている企業もあります。

この場合、純利益の絶対額は大きくなかったとしても、売上に対しての営業利益率は高くなっているケースが多く、投資対象として十分検討に値します。

もちろん私自身も、こういった視点を持って投資先企業の候補をリストアップしています。

現在は株価水準の高さから保有できていませんが、株価が安くなれば保有したいと考えている銘柄があるわけです。

せっかくなので、いくつか紹介しましょう。

心臓血管分野で強みのある医療機器メーカーの「テルモ」、血球計数検査・血液凝固検査・尿検査の各分野で世界首位の医療機器メーカーである「シスメックス」、スポーツ自転車部品で世界首位の「シマノ」、熱はく離シートやディスプレー用偏光フィルム等の特定のニッチ市場で世界シェアトップの「日東電工」。

ほかにいくつもありますが、このように日本には世界で活躍する魅力的な企業が数多く存在しているのです。

暴落時に役立つ「安全域」を確保する

伝説の投資家であるウォーレン・バフェット。彼の師匠として有名なベンジャミン・グレアムは、名著『賢明なる投資家』の中で「安全域」について以下のように記載しています。

【安全域の考え方は、割安銘柄に適用することでさらに明白なものとなる。割安銘柄は本質的に、株価がその株式の評価価値よりも安い状態にあるわけで、その差がすなわち安全域である。安全域は、計算ミスや運の悪さを十分に吸収する効果がある。】

株式投資では、想定外の事態に直面することが多々あります。順調だった業績が急に悪化したり、安定的だった配当が減額したり、毎年楽しみにしていた株主優待が突然廃止になったり等、これらは決して珍しい話ではありません。

このような悪い材料が出ると、株価は下落することが多いのですが、もともと株価が安い時に投資できていればダメージは少なくなります。

これが「安全域」を確保した投資なのです。

端的に言えば、「もともと株を安く買っていれば、仮に暴落が起きても自分の投資元本に対しての下落率は限定されるから、株を安く買っておくことは大切ですよ」ということになります。

ちなみにグレアムは、定量分析に活用できるよう「ミックス係数」という考え方を紹介しています。

ミックス係数とは、

「PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)」

のことで、その数値が「22.5」を下回った時に割安と判断されます。

これは、PERが15倍、PBRが1.5倍程度を目安にしていると捉えてもいいでしょう。

なお、PBRとは、株価を1株当たり純資産で割ったもので、1倍が企業の解散価値と等しくなると言われています。

ここで伝えたいこと

 ⃝配当が安定している銘柄を選択しよう
 ⃝連続増配している銘柄は安定配当の代表格と知っておこう
 ⃝EPSの安定している銘柄を選択しよう
 ⃝PERは過去5年平均の利益で算出するという視点を持とう
 ⃝バリュートラップを意識しつつPERを確認しよう
 ⃝業績が安定していれば、投資判断の難易度を下げてくれることを知っておこう
 ⃝自社株買いをおこなう企業は株主還元に積極的であることを知っておこう
 ⃝儲かるセクター(ヘルスケア、トイレタリー、エネルギー)が存在していることを知っておこう
 ⃝業界トップ企業、あるいはオンリーワン企業への投資を検討しよう
 ⃝案全域を確保して投資しよう

オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資 ど素人サラリーマンが元手5万円スタートでできた!
長期株式投資(ちょうきかぶしきとうし)
「日本の配当株」専門の現役サラリーマン投資家。1977年、熊本県生まれ。2004年から株式投資を始める。「ハイリターン」「一攫千金」を求めて、新興市場にて個別銘柄の投資をするも、2006年、ライブドアショックで痛すぎる損失を経験。以降、大型株へ投資対象をシフトするが、2008年、リーマンショックで含み損が600万円まで膨らみ「退場寸前」、殴られ放題の“サンドバッグ状態”となる。しかし2009年、ポートフォリオを大型配当株メインにスイッチ。以降は、安定的に資産を増やし、2021年の税引き後の手取り配当額は、223万3,199円と過去最高を更新。「どのような相場でも安定的に配当を受け取るには?」を日々模索し、2022年以降も記録更新を目指す。近年は、計18年の投資生活で磨いた技術やノウハウをTwitterやブログにて配信、個人投資家のサポートにも尽力する。趣味は空手。好きな食べものは、妻の作ったオムライス。

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