本記事は、長期株式投資氏の著書『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資 ど素人サラリーマンが元手5万円スタートでできた!』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています
リスク回避率を10倍上げる「3つの投資指標」
ここでは、最初に覚えるべき投資指標について説明していきます。
「投資指標って何のことだろう? 面倒くさそうだな」
このように思われる方もいらっしゃると思います。
ですが、どの企業に投資するか決定する際に、定量的な判断材料を持たずに感覚で投資をしていては、安定的な運用は期待できないでしょう。
実際に私も投資を始めた頃、感覚で投資をおこなったことによって高い授業料を払わされました。
読者のみなさんには、そのようなことが起こらないよう、しっかりと理解を深めていただければと思います。
客観的なデータに基づいて投資することで、資産運用の練度は上がり、その精度や再現性も向上していきます。
とは言え、難しく考える必要はありません。
株式投資の世界には様々な投資指標が存在していますが、ここでは必要最小限に絞って、基本的で簡単な指標ではあるものの学習効果は抜群というものを厳選して紹介していきます。
たとえ1%でも勝率を上げることができるならば、その努力を惜しむべきではないと思いますが、投資初心者がここで紹介する投資指標を学んで株式投資に臨むならば、相場で生き残る確率は1%どころではなく、数十%は上がるでしょう。
それ程までに原則的な指標であり、今後の投資人生で活用していかなくてはならないものとなります。
最初に覚えておきたい投資指標は3つだけ。逆に言えばこの3つの指標さえ覚えれば、あとはその解釈を深めていくだけで、投資技術は飛躍的に向上します。
ぜひこれを機に覚えてしまってください。
1 配当利回り:1年間の配当によるリターンが、投資額の何%となるのか表したもの。
2 1株利益(EPS):1年間にその会社がいくら稼いでいるのか、1株当たりで表したもの。
3 株価収益率(PER):株価が1年間の利益の何倍になっているか表したもの。
この3つです。私も投資を検討するために、ざっくりと投資指標を見る時は、これらをチェックすることから始めます。
株式投資を始めてから18年が経過した今も使い続けている指標です。
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
「配当利回りが高い=良い」というわけではない
配当利回りとは、「投資した金額に対して受け取ることのできる配当金が、投資額の何%になるのか」という投資指標です。高いほどリターンが大きくなります。
投資をする時には、「どの程度のリターンが期待できるか」ということを念頭に置いて投資をおこなうと思いますが、その際に最も分かりやすいリターンの指標が、この配当利回りなのです。
たとえば、銀行にお金を預けると利子がつきます。
仮に年1%の金利で100円を銀行に預けるとするならば、1年後には1円の利子がつくことになります。これが年1%の利回りです。
では、株式投資の場合はどうなるでしょう。
株は、利回りが決まっているということではなく、1株当たりいくらの配当を出すかは、会社が決めます。
たとえば、1円の配当を出すと会社が決めた場合には、株価にかかわらず1株当たり1円の配当が支払われることになります。
1年の配当が支払われる時に株価が100円であれば、100円に対して1円の配当ですから、配当利回りは1%。
株価が50円だとしたら、50円に対して1円ですので、2%の配当利回りとなります。
また、株価が200円であれば、200円に対して1円の配当金ですので0.5%の配当利回りです。
つまり、配当利回りは一定ではなく、株価が下がれば配当利回りは上昇し、株価が上がれば配当利回りは下落するということ。
会社の過去の配当金支払いの実績や業績を見て、今後、この程度の配当金が支払われるだろうから、この程度の株価ならリターンがこのくらいになるという判断をおこない、投資を実行していくことになります。
配当利回りは、以下の計算式で求めることができます。
配当利回り(%)=1株当たりの配当金÷株価×100
EPSで「稼ぐ銘柄」を見抜く
1株利益(EPS)とは、端的に言うならば、「1株当たりいくら儲けているのか」ということです。
新聞や投資雑誌等では、EPSという文言をよく目にします。
EPSとは、Earnings Per Shareの略です。
Earningsというのは利益のことで、earn=稼ぐ、からきています。Perは「~ごと」という意味で、Shareは「株式」のことですので、EPSとは、「株式当たりの利益」とイメージしていただければ分かりやすいかと思います。
EPSは、自分が買おうとしている銘柄が割安か割高かを読み解く上で重要な指標となります。
たとえば、1株100円の会社があるとしましょう。
1株当たり10円稼いでいるのであれば、株式が生み出すリターンは年10%となります。年間5円の利益であれば、リターンは年5%となります。
株価は毎日変動するため、株式の期待リターンも毎日変動します。その一方で、会社が公表しているEPSの予想も変動しますが、業績予想が公表されるのは3カ月に1回ということがほとんど。
EPSがどのくらいなのかを念頭に置いて、投資判断をおこなうことが現実的です。
また、EPSが毎年どのように変化しているかをチェックすることで、現在の株価が適正であるのかどうかを判断することができるようになります。
このことは、次に説明するPERとも密接に関係しています。
1株利益(EPS)とは、1株当たり何円の利益があるか
PERで「割安/割高」を見抜く
株価収益率(PER)は「株価が1株利益(EPS)の何倍か」という指標で、株価水準を考える上で重視され、低いほどに株価が割安とされています。
一般的には15倍程度が適正といわれていますので、慣れるまではシンプルに、10倍以下であれば割安、15倍を下回れば比較的適正な水準、逆に20倍以上になっている銘柄は割高、というようなイメージで事足りるでしょう。
なお、PERとはPrice(株価)Earnings(収益)Ratio(率)の略です。
PERは、株価と先ほど覚えたEPSで簡単に計算ができます。株価をEPSで割れば、それがPERとなります。
たとえば、株価が1,000円のA社という銘柄があるとしましょう。その銘柄のEPSが100円とすれば、1,000円(株価)÷100円(EPS)=10倍。
つまりPERは10倍です。
また、株価が2,000円のB社という銘柄があって、EPSが100円だとしたら、PERは2,000円(株価)÷100円(EPS)=20倍となります。
A社のPERは10倍、B社のPERは20倍となりますので、株価はA社の方が割安と考えられます。
PER=株価÷1株利益(EPS)
意識して使うと、いつのまにか慣れるもの
以上、株式投資をするにあたって最低限必要な3つの指標を学びました。
世の中には様々な投資指標が存在していますが、プロでもない限り網羅的に学習する必要はありません。
知っていることと理解していることとの間には大きな差があり、理解していることと活用できていることとの間にも、雲泥の差があります。
この記事で紹介した3つの投資指標をしっかりと理解して、活用できることを目指しましょう。
とはいえ恐れる必要はありません。最初は誰もが初心者です。コツコツと継続して学習と実践を繰り返すことで、腑に落ちる日が必ずやってきます。
意識して投資をおこなっていきましょう。
株式投資を始めるにあたり、最初に知っておくべき投資指標は以下の3つで十分。
1.配当利回り(%)=1株当たりの配当金÷株価×100 2.1株利益(EPS)とは、1株当たり何円の利益があるか 3.PER=株価÷1株利益(EPS)
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