本記事は、御手洗昭治氏の著書『ビジネスエリートが身につけたい 教養としてのダンディズム』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

人脈を広め人を大切にすれば、貴重な情報が集まる

成功する経営者の人脈形成術。コミュニティやメソッドを紹介
(画像=Monet/stock.adobe.com)

大人になってからの友人関係は、ほど良い距離感を保ち、押し付けないというような関係が大切となる。つかず離れず相手に踏み込み過ぎない。それなのに、本音で話せる大人の関係を形成できる男性に有能さを感じるという女性も多い。

加えて、同性の友人が多い男性は、それだけ人生経験や、感性がインプットされていると感じられるということである。また、お互い尊敬できる友人関係を持っている男性にも魅力を感じるようだ。

人生を共に楽しめる友を持つことも必要だが、たまには慰め励ましてくれ、欠点も指摘する友を持つと良い。男性に必要なのは交友関係である。利害に関係がなく、ありのままの素の自分を出しながら助け合い、ざっくばらんに互いに語り合ったり、時には一緒に夢が語れる深い人間関係を持っていることが大切である。

お金で稼ぐ方法に詳しいが、良き交友関係を築いていない男性も存在する。また、人脈の広さは、その人自身の考え方の柔軟さ、感情の成熟度と深い関係がある。友人を増やしても直接ビジネスには直結しない。

だが、友人と人脈と情報は財産である。論語の「朋有り遠方より来る、また愉しからずや」ではないが、良き友を持っていることは、あなたの人生、加えて人間としての魅力をアップさせる。大人になってからも本音で話せ、大人の関係を築ける男性に人は有能さを感じるものである。

気の張らない場所で本音が出る

ふだん職場で、自分が外車に乗っていることを自慢したり、また、アメリカ式経営理論や経済理論を説くタイプの男性が、懇親会の会費などをケチったりすることがある。

また、それとは反対に、普段はどう見ても目立たない平凡なタイプの男性・紳士が、女性同士の懇親会にマッチし、センスも良く、しかも値段も張らないフランス・レストランをさりげなく教えたりしてくれる。

かみしもを脱いだ普段のプライベートな時間に、その人のセンス、教養、感性が密かに表れるものだ。つまり、気の張らない場所で本音が出るというものだ。

外見で人を判断するのは難しい。しかし、お金の使い方を見れば、その人物の人となりが分かる。われわれは、お金をいかほど持っているかで、人間を判断しがちである。しかし、どんな使い方をするかで、その人がどういう人物かが分かる。

ポイントは、その人が「身銭を切れる人物かどうか?」である。

個人的な付き合いの場で支払いを所属部署や会社の経費で落として、仲間にいい顔をしている人がいるとしよう。こういうタイプの人は、人望がない人と判断される。ビジネスパーソンの中でも身銭を切れるタイプは、相手の組織や取引先からも信用され、部下の受けも良い人である。

組織や所属の経費を使える人でも、人望を集めたい人は、いざという時や、ここぞと思った時には身銭を切った方が相手からも受けが良い。

仕事とは関係しない別の肩書を持つ

私の知り合いの中に、本職は宮大工の名人と言われているが、仕事以外の肩書は、何と「釣り師」として認知されている人がいる。

建築会社の広告パンフレットには、大物の魚を釣り上げた見事な姿の写真とともに建築士として紹介されている。仕事が入っていない週末には、「釣り師のAさん」として海や川に仲間と出かけ、第二の人生を楽しんでおられる。誠に羨ましいかぎりである。

仕事をする時には、集中して取り組み、オフタイムの時には気持ちを切り替えて自分の趣味を楽しむことだ。趣味の時間にストレスを解消すれば、仕事にも精力的に取り組める。

今、男性の間で料理教室に通う人が増えている。自分の仕事意外の別人の肩書や顔を持っていれば、意外な素顔を垣間見せることでき周囲を感心させられる。

人生に潤いをもたらす趣味で自分を磨く

総務省の社会生活基本調査によれば、日本人の50代男性が1年間に映画、音楽、演劇、美術などの鑑賞活動に出向いた割合は、10%であった。ほとんどの中年男性が人生に潤いをもたしてくれる鑑賞活動を楽しむ心を眠らせている。人生に潤いをもたらす原点は、相田みつおの説く「一生感動、一生青春」の心持ではなかろうか。

オフタイムの充実している男は、仕事にも人生にも一生懸命に向き合っていることを多くの人は知っているものだ。「六十の手習い」という喩えがあるように、趣味は年齢に関係なく何歳からでも始めることができる。70歳でジャズドラムを習いはじめ、プロのジャズ演奏家も認める名ジャズドラマーになった人もいる。

人生は一度きりである。やれるところまでやってみよう。

一般の人びとが不要なリスクとしてみなしていることでも、挑戦とみなし人生の残された能力開発のための時間として活用してみる。能力開発とは、自分の中に眠っている潜在能力を引き出すことである。

人はみな人生を切り開くための能力を持っている。

絵画なら、ただ作品をながめるだけでなく、画廊や展示会に足を運んで本物を観てみよう。音楽の場合、プレーヤーやCDで歌や曲を愉しんだりするだけではなく、本物の演奏家のライブや演奏会に実際に行ってみよう。趣味や遊びの経験があなたの感性を磨くのだ。

ビジネスエリートが身につけたい 教養としてのダンディズム
御手洗昭治(みたらい・しょうじ)
兵庫県生まれ。札幌大学英語学科・米国ポートランド州立大学卒業。オレゴン州立大学院博士課程修了(Ph.D.)。ハーバード大学・文部省研究プロジェクト客員研究員(1992~1993年)。ハーバード・ロースクールにて交渉学上級講座&ミディエーション講座修了。エドウィン・O・ライシャワー博士(元駐日米国大使・ハーバード大学名誉教授)が、ハル夫人と来道の際、講演の公式通訳として各地を随行(1989年9月)。日本交渉学会元会長、札幌大学名誉教授、北海道日米協会副会長・専務理事兼任。主な著書・編著に『サムライ異文化交渉史』(ゆまに書房)、『ハーバード流交渉術 世界基準の考え方・伝え方』(総合法令出版)、『ケネディの言葉 名言に学ぶ指導者の条件』(東洋経済新報社)などがある。

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ビジネスエリートが身につけたい 教養としてのダンディズム
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