本記事は、町田健登氏の著書『社畜会社員から資産1億つくった僕がフィリピンの株を推すこれだけの理由』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
まずは3大リスクを知ろう
為替、政治、情報
投資でリターンを得るためには、事前にその投資におけるリスクを把握することが大切です。
投資に「絶対儲かる」というものはありません。「利益を上げようと期待していたのに、リスクを顧みずに投資をした結果、大切な資産を減らしてしまった!」そのような事態にならないようにリスクをしっかり把握いたしましょう。始めに最悪のケースを想定しておくことで、想定外のトラブルが起こったときの動揺を防ぐことにもつながります。心が落ち着いていない状態だと、普段やらないようなミスをしてしまいます。
フィリピン株式投資には3つのリスクがあります。
為替リスク、政治リスク、情報リスクです。
これからそれぞれのリスクを具体的に説明したいと思います。
まず、為替リスクについて説明しましょう。
為替とは、簡単に言うと2つの通貨の交換レートのことです。為替の動きには、様々な要因が関係しますが、基本的には為替の値段は2国間の相対的な力関係によって決まります。フィリピンの通貨単位は、フィリピン・ペソ(PHP)であり、1ペソ=2.41円(2022年4月7日現在)の交換レートで取引されています。日本円のおよそ2倍だと覚えたらイメージしやすいと思います。ここ10年間の間で見てみると、1ペソは、2.05円~2.81円の間で推移することが多いです。
わかりやすく、現在の為替が1ペソ=2.5円だと仮定しましょう。今、100万円をペソに両替したら、1ペソ=2.5円ですので、100万円=40万ペソになります。その後フィリピン株式投資を頑張って5年間で、40万ペソ→45万ペソへ増加させ、5万ペソ(約12万5,000円)利益が出たとします。ところが5年後に為替が動いて1ペソ=2円に下がったとします。すると、フィリピンペソで見れば、5万ペソの利益が出たはずですが、日本円にすると大変なことが起こります。円の価値が1ペソ=2.5円→2円に下がった結果、45万ペソは日本円にして90万円に。ペソは確かに増えましたが、日本円では価値が下がった形になります。これが為替リスクです。
しかし、実は為替リスクは、大きな利益上昇にも繋がります。逆に為替が1ペソ=2.5円ではなく、1ペソ=3円になった場合、45万ペソは135万円へと増えます。つまり為替を味方にすれば、為替はリスクどころか、資産を増やすブースターになるのです。
ただでさえ、株式投資が難しそうなのに、為替も変動したら難しいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご安心ください。日本人からすると意外かもしれませんが、実はペソはとても強い通貨で、ドル/円よりもペソ/円の方が価格変動は少なく、為替が安定しています。
途上国というと為替が弱く価値が下がると思いがちですが、フィリピン・ペソは非常に底堅い通貨なのです。ペソの価格が安定する理由は、英語が話せる多くのフィリピン人が海外に出稼ぎに出ているから。フィリピンは出稼ぎ大国といわれており、得意な英語を活かして、アメリカ・カナダ・シンガポール・香港・中東・欧州等世界のあちこちで労働し、外貨を獲得しています。
出稼ぎ労働で稼いだ資金は、フィリピンに住む家族の生活資金のため、仕送りしていますが、当然アメリカドルやシンガポールドルはフィリピンでは使用できません。つまり、海外から送られた大量な外貨が毎月大量にペソに両替されており、ペソの買い支えを行っているのです。その金額がフィリピンのGDP10%に相当しており、この大量の買い圧がフィリピンペソの価格の安定に繋がっています。また今後の日本の衰退とフィリピンの盛隆を考えますと、円とペソの通貨の強さが逆転する可能性も十分あるのではと個人的には考えています。以上の理由から、私はフィリピンの為替リスクはとても低いと考えています。
次に、政治リスクを考えたいと思います。
政治リスクとは、戦争や内紛などによって国が混乱に陥り、株価が大きく下がることを指します。最近ですとウクライナ・ロシア危機などがイメージが付きやすいかもしれません。もちろん、フィリピンで戦争や内紛が起こる可能性はゼロではありません。フィリピンのドゥテルテ大統領は、過激な発言が多いため、メディアでの印象はあまり良くないかもしれません。しかし、住んでいる私から見ると、ドゥテルテ大統領は真っ当な政治をしていると感じます。
かねてよりフィリピンは中国に次ぐ不正大国と言われており、脱税や賄賂の嵐。国がインフラ整備や公共事業を行う予算を獲得しない等々、様々な不祥事が起こっておりました。これを大きく変えたのが2016年から2022年に就任したドゥテルテ大統領です。彼は、税制改革を行い、しっかりした財政基盤を整え、その費用をインフラ整備や、教育機関等へ投資をすることに邁進いたしました。麻薬戦争ばかり取り上げられていますが、その反面、自首した者には社会復帰のトレーニングをしましたし、警察官の給料を大幅に上げたため、とても治安がよくなりました。2025年には首都圏マニラでフィリピン初の地下鉄が開通する予定であり、目覚ましい成長を遂げています。
2022年6月に誕生したマルコス政権も、ドゥテルテ大統領の掲げた「ビルド・ビルド・ビルド」という大規模インフラ開発は継続姿勢であり、ドゥテルテ大統領の娘サラ氏は新政権の副大統領に就任しています。マルコス大統領の父は1980年代に独裁政治を行ったフェルディナンド・マルコス大統領の息子ですが、親は親、子供は子供の別人格です。フィリピンは司法や立法、行政等が3権分立しており、独裁国家ではありません。大統領の再任は憲法違反ですが、副大統領にはドゥテルテの娘サラ氏が就任しました。これらを鑑みても、両者の支持率は50%を越えており、伸び行く人口と経済成長に支えられ、基本的には安定した成長が見込まれると考えられます。
最後の情報リスクに触れたいと思います。
情報リスクとは、適切な情報が得られない結果、損益を被ってしまうことを指します。フィリピン株となると、どんな会社があるのか、どんな財務諸表なのか、見当もつかないという方もいらっしゃるかもしれません。まだまだ、フィリピンは注目度が低く、まして株となるとほとんど情報が落ちていません。日刊まにら新聞やNNAといった日本語活字媒体のメディアもありますが、有料でお金もかかってしまいます。
首都圏マニラでは、日系の会社が発刊するフィリピンプライマーやプレコムといったフリー雑誌もありますが、やはり情報は限定的です。フィルスターやマニラブリテンといった英語のメディアであればより有益な情報を得やすいですが、株に的を絞ると話が広すぎるようにも感じます。少しでもこのリスクを減らすためにも、本誌が皆様のフィリピン株の理解につながればとの思いです。
情報の入手には少し困難があるかもしれませんが、それは他の海外もあまり変わりません。むしろ、為替や政治を鑑みると、フィリピン株式投資のリスクは、日本株や他の国と比べても小さいと言えるのではないでしょうか。むしろ、経済成長が止まった日本株に投資する方が、大きなリスクを抱えていると考えています。
フィリピン市場に投資したときのリターンの大きさは、本記事読んで確認してもらえたらと思います。
余剰資金の2割からスタートする
私は、投資は余剰資金でスタートするべきだと考えています。投資という漢字は、《資産を投げる》と書きます。「投げた資金」「放り投げた」コインは手元に戻ってくるでしょうか? 戻ってきませんよね。文字通り「自分が投げた資産=投資は戻ってこない可能性もあります。十分リスクを説明しないで危険な商品を販売している業者、購入している個人投資家があまりに多いように感じます。「元金100%保証!」を声高にPRしている投資案件で、本当にお金が返ってきた話を私はあまり耳にしたことがありません。どうか甘い言葉に騙されないでください。
フィリピン株に関していうと、世間的には海外株。「ハイリスク・ハイリターン」の投資になります。長期目線で取り組めば、リスクは極限まで減らせるかと思いますが、短い期間では資産を減らす可能性も十分あります。そのため、投資は余剰資金の1~2割で始めるのがベストだと考えています。ここでの注意点は、余剰資金=貯蓄額ではないということです。
例えば、生活費が月20万円かかるとしたら、半年分の生活費である120万円は確保しておきたいところです。急な冠婚葬祭、病気等々でお金が必要になったとき、すべてのお金が株式になってしまったら、生活が立ちいかなくなってしまうからです。仮に毎月の生活資金が20万円で、500万円の貯金がある場合、余剰資金は380万円になります。この場合、余剰資金の380万円の2割である76万円が投資に使える資金ということです。
この金額はあくまでも目安ですので、ご自身の状況に応じて自己判断で投資してください。
そうは言っても、あまり貯金がない方もいると思います。貯金が少ない方でも、フィリピン株なら少額からスタートできます。月5,000円で長期投資することも可能です。数千円なら、月に外食や飲み会を1、2回我慢すれば捻出できる金額でしょう。
日本株なら1株を買うのに50万円かかる場合もあります。フィリピン株なら財閥企業の株ですら数千円で買えるのが魅力です。掘り出し物の小型株やIPOは、大きく跳ね上がる可能性も秘めていますが、「投資で生活資金が足りなくなった……」というのは本末転倒です。
まずは、ご自身の経済状況に応じて、無理のない金額からスタートしてみてくださいね。
ドルコスト平均法を知っていますか?
株価が下がっても安心な理由
株式投資の手法で一番堅実なのが、ドルコスト平均法です。分散投資という言葉がありますが、このドルコスト平均法は、買うタイミングを分散する投資手法です。ひとことでまとめると「株価の高値での購入を防ぐ投資方法「です。
初心者にとっては少し難しいかもしれませんので、できるだけわかりやすく説明します。先述したように、株式投資で一番大切なことは「安く仕入れて、高く売る」ことです。どんなに優良な株でも、高値で買ってしまっては株価の上昇益は期待しにくくなります。しかし、初心者にとっては、現在の株価が高いかどうかは、正直分かりにくいかと思います。
そこで、高い株価で買うリスクを減らすため、買うタイミングを何回かに分けることを考えます。これによって、株を『高づかみ』するリスクを分散することができます。この考え方を応用した手法がドルコスト平均法です。ひとことで言うと、「定期的に同じ金額を投資することで、平均購入単価の引き下げを期待する手法」です。
例えば、株価が高かろうが安かろうが気にせず、毎月1万円と決めたら1万円で買える分だけ株を購入し続けます。このようにすると、1株100円の時は、1万円で100株買えますが、1株200円になると50株しか株を購入できません。逆に1株50円になると倍の200株を購入できます。このように、株価が安い時にはたくさん株を買い増し、株価が高い時には少なく株を買えるよう、素人の方でも簡単に自動調整することが可能です。
また、このドルコスト平均法のメリットは、購入時期の分散に加えて、毎月定額を購入するため、投資をルーチン化できることです。そして、手間も難しい知識も必要がないので、会社員や自営業などの忙しい人にも向いている手法だと言えるでしょう。
具体的に、A、B、Cの3つのパターンを図で説明します。
今、株を買って10年間放置するとしたら、どの株が最も利益が出るでしょうか? 当然、Bの株になります。しかし、問題は、どの株が将来、Bのようになるかはわからないということです。Bの株を持っていても、4年目の急落時に手放してしまうかもしれませんよね? そこでポイントになるのがドルコスト平均法です。
このA、B、Cの株を「買って放置」ではなく、「ドルコスト平均法」で購入した場合、一番儲かるのはどのパターンだと思いますか?
答えは、Cの時です。
意外かもしれませんが、その理由は、株価が落ちたときに購入しているから。低い株価で買ったときほど、ドルコスト平均法では、大量の株を購入することができるので、株価が元の価格に戻った際に何倍もの利益を出すことができるのです。
そう考えると、最終的に上昇していく可能性が高いフィリピン株では、株価が落ちたときに買った方が儲かる確率が上がります。むしろ、株価が落ちたときはバーゲンセール期間中だと考えてください。もちろん、株価が下がり、株価が戻らない場合は損失が出ます。
しかし、長期的には経済成長する可能性がとても高いフィリピン株の場合、一時的な株価の下落は気にする必要はありません。なぜなら、株価が戻ったときには、大きく利益を上げることができるからです。
以上の理由から、フィリピン株のドルコスト平均法は、とても安心できる投資だと考えています。
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