本記事は、町田健登氏の著書『社畜会社員から資産1億つくった僕がフィリピンの株を推すこれだけの理由』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

決算書を読める投資家、読めない投資家

目次

  1. 決算書を読める投資家、読めない投資家
  2. 「損得勘定投資」から「愛の投資」にシフトする
決算書
(画像=崇正 魚谷/stock.adobe.com)

投資の手法には大きく分けると、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の2つがあります。

ファンダメンタル分析とは、会社の決算書や市場における情報をもとにして投資する手法です。株式投資の神様と言われているウォーレン・バフェットが得意なことで知られています。

決算書とは、ひとことで言うと会社の成績表。主に貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)から構成されています。

BSを見ると、会社が保有する資産と負債がわかります。PLでは、会社の収入と支出を表しています。もちろん、どちらも知識として知っておくのに越したことはありません。しっかりとこの2つの指標を読み取れば、その会社の経営状態がわかります。

フィリピンの上場企業の中には、納税をしていても事業を一切行っていない赤字企業が存在します。そのような企業の株を買うことは非常にリスクが高くなります。また、どんなに有望な銘柄でも、コロナウィルスやウクライナ危機といった外政状況、新技術の台頭で売上や営業利益が大きく減少する企業もあります。フィリピン証券取引所のウェブサイト等で決算を調べるのはものすごい根気が必要ですが、ファンダメンタル分析は非常に大切であり、押さえておきたい分析法です。

一方、テクニカル分析は、株価のチャートを見ながら、買い時・売り時を判断して取引する手法です。フィリピン株は、カラ売り(株価が下がったときに売買する仕組み)と信用取引がないため、プロのトレーダーがほとんど参入していません。そのため、基礎的なローソク足の読み方やボリンジャーバンド等のテクニカル分析を行うだけで、日本株やFX、暗号通貨と比較すると、非常に通用しやすい傾向にあります。

当然、ファンダメンタル分析をした上で、黒字企業に特化し、テクニカル分析をした方が負けるリスクは抑えられます。しかし、時間がない方は、まずは最低限のテクニカル分析を覚えて、株価の買い時、売り時を研究していきましょう。弊社の勉強会では、私が毎日読んでいるフィリピン企業の決算書の情報や、1日5分で企業の財務を判断できる手法などを伝えています。面倒な手続きを飛ばしたい方にはとても好評です。

しかし、投資家としてもっと大切なのは、株価が変動したときの心の在り方です。株を始めたばかりだと、株価が下がったときに呆然として売り時を逃してしまったり、自分が株を買った直後に株価が下がるとショックを受けたりします。心の中がジェットコースターのような大変動を起こすのです。株価が下がったらパニックになるのは自然なことです。常に冷静にいられるはずはありません。

だからこそ、損切・利確の明確なルールを事前に作り、パニックになった時こそ、コントロールできることに集中することが大切です。株価チャートを見て、売るのか、放置するのか、買い増すのかの冷静な判断ができるようにしておきましょう。

「損得勘定投資」から「愛の投資」にシフトする

株式投資をする主な目的は、もちろん儲けるためです。しかし、あまりに損得ばかりにこだわり過ぎると逆に負けてしまい、損することもあります。

株価は下がったときほど、バーゲンセールであり、利益を出すチャンスです。しかし、いざ株価が下がると、「これ以上落ちたらどうしよう」「もう株価が上がらないのではないか?」という様々な迷いや葛藤が生じ、言葉でいうほど簡単に株を買えないのが人間の性です。この感覚は、実際に投資を始めた人なら分かって頂けると思います。そして、株価が元に戻ったタイミングで、「あのとき買っておけばよかった」「あのとき手放さなければよかった」と後悔する個人投資家さんに何人も会ってきました。

では、どうしたら、株価が下がったときに株を買い増すことができるのでしょうか? 私は、株式投資では、投資先の企業や国を愛せるかどうかがとても大切だと考えています。どれだけ理性的に考えても、損得勘定で動く限り、「もっと損したらどうしよう」という恐怖心が、株の追加購入の意識にブレーキをかけます。この恐れを越えるには、損得といった勝ち負けの意識ではなく、「どれだけその企業を愛することができるか」が大切だと思います。

その企業の理念を知り、サービスを知り、今後の将来性を十分理解していればこそ、株価が下がっているときに、「自分だけは応援してあげたい」という意識が芽生えます。その企業を応援したいという感情が、逆境の中でも株を買い増すことになり、結果的には大きな利益を長期的に得ることにつながります。

株式投資をマネーゲームのように捉える方もいますが、そこには確かに企業が存在し、働く従業員の方、サービスや商品を享受する現地の方がいます。顧客や社会のためを思って活動する企業に、株を通して資金が集まれば、フィリピンの人々や社会を豊かにすることにも繋がります。その意味では、フィリピン株式投資とは、「フィリピンの人と国を応援すること」と言い換えることもできるのではないでしょうか? 私たちの応援が届き、企業の業績が上がり、国が経済成長するのです。そのお礼として、投資家に対して株価の上昇や配当としてリターンが返ってくることになります。

自分が気に入った銘柄に「愛の投資」をすること。それが遠回りのようで堅実に資産を増やす行動だと私は思います。なぜなら、損得で動かないからこそ、銘柄を長期的に保有できるからです。愛している企業なら、一時的な株価の変動に動揺することはありません。その結果としてリターンも大きくなり、稼ぐことに繋がるのです。

社畜会社員から資産1億つくった僕がフィリピンの株を推すこれだけの理由
町田健登(まちだ・けんと)
ライフシフト合同会社代表。1988年生まれ、栃木県出身。筑波大学卒業後、外資企業の営業職を経て人材派遣会社のフィリピン駐在員として渡比。職場で上司からの激しいパワハラを受けたことに限界を感じ、社畜生活から抜け出すために投資の勉強を開始。1,600万円の詐欺被害に遭うなどの失敗を繰り返しながらも着実に資産を増やし、現地日系フィリピン金融ホールディングスの役員に3年就任。その後、31歳で無借金、純資産1億円を達成。2020年、ライフシフト合同会社を立ち上げ独立を果たす。フィリピン在住7年目である自身の経験を活かし、月間20~30件の資産運用・節税の相談に乗り、多くの投資家から厚い信頼を集めている。勉強会(有料)の会員は現在1,000人。セミナー累計5,000人参加。また、2018年にアイアンマンレース完走、2020年にアフリカ最高峰キリマンジャロ山登頂など、冒険家としても活躍している。ファイナンシャル・プランナー2級、TOEIC915点。著書に、『副業時代に手堅く儲けるフィリピン投資入門』(幻冬舎メディアコンサルティング刊)がある。

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