この記事は2022年9月16日にSBI証券で公開された《「日本株投資戦略」特選》20万円未満で買える「9月株主優待銘柄」を一部編集し、転載したものです。
「日本株投資戦略」特選 ―― 20万円未満で買える「9月株主優待銘柄」
東京株式市場は波乱含みの展開となっています。2022年9月13日(火)に発表された米消費者物価指数(8月)が予想を上回ったことを背景に、同日のNYダウが本年最大の下げを記録。それを受けて、2022年9月14日(水)の東京株式市場も大幅安となりました。
世界的にインフレ・金利上昇に対する懸念はくすぶり続けており、株式市場の先行きを慎重にみている投資家が増えているようです。
もっとも、日本では新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトの様相を強めていることに加え、政府は訪日外国人を増やすべく、規制緩和の動きを強めています。金融庁は政府にNISAの拡充を要望しており、株式市場への投資資金流入拡大の可能性も膨らんでいます。
さらに、9月末は配当や株主優待の権利が確定する銘柄が多く、安値でこれらの権利をつかむチャンスが広がるため、波乱相場は投資チャンスと言えるかもしれません。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、9月株主優待銘柄についての再度チェックを行ってみました。9月末に株主優待の権利が確定する会社数は402社あり、3月末に確定する会社数(786社)に次ぎ、2番目に多くなっています。
株主優待に強く関心をもつ投資家であれば、9月は重要な月と考えられます。2022年9月2日(金)付の「日本株投資戦略」でも1度ご紹介しましたが、今回は20万円未満で株主優待の権利を確保できる銘柄に絞ってみました。
なお、「9月に権利が確定する株主優待銘柄」のほとんどが2022年9月28日(水)を権利付最終日としています。この場合、2022年9月29日(木)の権利落ち日以降に買い付けができても、配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。
また、権利付最終日に株主優待実施銘柄を買い、権利落ち日に売ることで、効率良く株主優待の権利獲得を考える投資家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで注意すべき点は、買い付ける時の株価が予想外に高くなったり、売る時の株価が予想外に安くなったりなど、相当額の売却損がでてしまうケースです。
配当取りも同様で、権利落ち日には配当実施分だけ株価が下がることが多くなっています。ノーコスト・ノーリスクで株主優待や配当を享受することは難しいでしょう。
それでも、コストやリスクを軽減して、株主優待の権利を確保する方法はあります。
ひとつは、複数銘柄に投資をし、リスク分散を図る方法です。今回は20万円未満で株主優待の権利を確保できる銘柄に絞ってみましたので、分散投資が比較的容易となっています。
もうひとつは「つなぎ売り」を活用した取引です。「つなぎ売り」で株主優待をお得に活用する方法については、SBI証券のWebページでご紹介していますので、ご参考ください。
ただ、「つなぎ売り」をした場合、信用取引の「売り」により、配当調整金を支払う必要が出て、実質的に配当を受け取れなくなるなど、重要な注意点(*下記脚注の詳細参照)もあります。メリットとデメリットを十分理解した上でのご利用をお願い申し上げます。
今回、「9月株主優待銘柄」として、ご紹介したい銘柄は、以下の条件により抽出された銘柄です。
(1)東証プライム市場上場銘柄。
(2)9月に株主優待の権利確定を予定する銘柄で、権利付最終日が2022年9月28日(水)。
(3)SBI証券の株主優待検索機能で、「一般信用」の対象銘柄であること。
(4)2022年9月15日(木)までの10営業日で、もっとも出来高が少ない日でも1万株以上。
(5)株主優待の権利確保に必要な最短保有期間の条件がない。
(6)3月決算企業の場合、第1四半期の純損益が黒字。9月決算の場合、第3四半期の純損益が黒字。
(7)株主優待の権利確定に必要な売買代金(諸コストを除く)が20万円未満。
(8)信用取引規制が実施されていない(2022年9月15日時点)
(9)SBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い上位50銘柄以内(2022年9月14日時点)
下の図表は、すべての条件を満たす銘柄をSBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い順に20銘柄を並べたものです。
*重要な注意点 ~つなぎ売りを利用した場合の「配当金(現物と信用)受け払いの差額」~
・権利付き最終日の大引け時点でつなぎ売りをしている場合、現物については税金が差し引かれた配当金(配当金の約80%)を受取り、一般信用売り建玉については配当落ち調整(配当金の100%)金をお支払いいただきます。したがいまして、配当金の約20%の差額をお客さまにご負担いただくことになります。
・現物株式の配当金は、源泉税(20.315%)が差し引かれた金額で支払われます。
・一般信用売り取引の場合は、配当落ち調整金として配当金の100%をお支払いいただきます。
・権利付き最終売買日と権利落ち日をまたいで信用売建玉がある場合、権利落ち日に予想配当金相当額(予定配当調整金)をあらかじめ委託保証金現金から拘束させていただき、配当金が確定後に拘束金から支払いを行います。信用売建玉に対する支払予定配当金相当額合計(予定配当調整金合計)は、「口座管理」>「信用建余力」>「建余力・追加保証金」の「増担保・配当調整金」に表示させていただいております。
・TOKAIホールディングス(3167)は上記の条件を満たしていましたが、2022年9月15日(木)に代表取締役解職を伴う「不適切な経費の使用」の発表があったため、ご紹介対象から外しました。
以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。
株主優待の一部をご紹介
新日本製薬(4931)
当社は、化粧品およびヘルスケア商品を、個人客に対し、通信販売で提供しています。テレビ、新聞、雑誌などに出稿している広告をみてコールセンターに問い合わせてきた顧客に対し、コールセンターが注文を受け付ける形になっています。通信販売においては、顧客に商品を長く使用してもらうべく、「定期購入サービス」などを提案しています。
強みとしては、以下の3点があげられます。
(1)通信販売チャネルの「販売力」・・・ヒットの兆しが見えた所で広告を集中投下し、一気に市場シェアを獲得。
(2)ストック収益型のビジネスモデル・・・商品の定期購入による。
(3)顧客データを活用したマーケティング・・・顧客データベースは550万人を有する。
業績は順調なようです。2022年9月期は売上高370億円(前期比9.1%増)、営業利益30.95億円(同9.6%減)が会社計画(会計方針の変更があり、変化率は単純計算)ですが、第3四半期累計の営業利益は27.69億円(前年同期比15.4%増)で、通期会社予想に対する進捗率は89%に達しています。1株配当は、中間期末無配(実績)に対し、期末は30円を計画しています。
2022年9月28日(水)時点で株式を保有する株主へ贈呈される予定の優待内容は以下の通りです。
〇100株以上300株未満を保有する株主
・保有期間6カ月未満・・・4,000円相当の自社商品(化粧品)
・保有期間6ヵ月以上・・・8,500円相当の自社商品(化粧品、青汁)
〇300株以上保有する株主
・保有期間6カ月未満・・・10,000円相当の商品(化粧品、青汁、トリートメントシャンプー)+自社商品買物優待券(5,000円)
・保有期間6カ月以上・・・25,000円相当の商品(化粧品、青汁、ナイトクリーム)+自社商品買物優待券(5,000円)
上新電機(8173)
当社は関西地盤の家電量販店大手企業です。中期計画によると店舗数は、大阪府54店、兵庫県38店はじめ関西地区が中心で、東海地区32店、埼玉県7店、千葉県5店等の関東地区、北信越地区にも進出し、全国で直営店208店舗、FC店5店舗の他、「BOOK OFF」または「TSUTAYA」にFC加盟店が10店舗もあります。
近年はインターネット販売にも注力しており、その売上構成比は2019年3月期13.5%から2022年3月期は18.5%に上昇しており、業績拡大の下支え役になっています。
1株配当ついては、中間期末(2022年9月)に0円、期末(2023年3月)に75.0円、年間で75.0円が会社予想です。2022年9月15日終値(1,892円)で計算された予想配当利回りは3.96%となっています。年間で高めの予想配当利回りとなっていますが、中間期末は無配予定ですので、注意が必要です。
2022年9月8日(水)時点の「全株主」に対し、5,000円相当の買物優待券(200円券×25枚)が贈呈される予定です。この優待券の使用は、2,000円以上の買物につき、2,000円ごとに1枚(200円)となっていますので、注意が必要です。なお、3月末株主に対しても買物優待券の贈呈が予定されていますが、保有株数・期間等で枚数が異なりますので、別途ご注意ください。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。