企業がシェアリングエコノミーを成功させるポイント

シェアリングエコノミーはこれまでにない新しいサービスなので、従来のビジネスとは違った視点で事業計画を立てる必要がある。ここからは経営者や起業家に向けて、シェアリングエコノミー事業を成功させるポイントを解説する。

地域課題や環境課題の解決を目指す

近年では、世界中の企業にSDGs(※)への貢献が求められている。「ESG」という用語が生まれたことをきっかけに、環境・社会・ガバナンスの観点から商品やサービス、投資先を選ぶ層も増えてきた。

(※)2015年の国連サミットで採択された、持続可能な開発目標のこと。

そんな中、シェアリングエコノミーはSDGsとも深い関わりがある。例えば、カーシェアリングによって自家用車の数が減れば、交通渋滞や排気ガスの抑制によって環境面に貢献できるだろう。

そのため、シェアリングエコノミー事業では地域課題や環境課題の解決を意識したい。本当の意味で社会に役立つサービスを提供できれば、自然と企業やサービスの評価も高まると考えられる。

助け合いの精神を重視する

国内のシェアリングエコノミーは、「助け合いの精神」を前提として成り立っているものが多い。

民泊サービスや家事代行サービスは、その代表例と言えるだろう。困っている人に解決策を提示できるサービスだからこそ、これらのシェアリングエコノミーは多くの需要につながっている。

また、地域や社会の課題を解決する意味でも、助け合いの精神をもつことは重要だ。日常的な不安や悩みはもちろん、地震や台風など日本特有の課題にも目を向けながら、社会の役に立つビジネスモデルを考えていきたい。

ひとつの業態や形にこだわらない

シェアリングエコノミーを取り巻く環境は、日々大きく変わっている。新たなサービスが次々と誕生しており、各サービスが世の中のニーズに合わせて変化しているためだ。

このような状況下でひとつの業態や形にこだわると、時代の変化についていけなくなる。そもそも、シェアリングエコノミーには多くの選択肢があるため、ビジネスの幅を狭めるようなプランは望ましくない。

場合によっては地域や業界、組織などの垣根を超えることも求められる。すでに成功したサービスも、社会のニーズに合わせて料金やプラン、規約、ルールなどを調整しているため、常に柔軟に変化させることを意識しよう。

個人に目を向けてサポートする

基本的にシェアリングエコノミーは、個人と個人をつなぐサービスである。シェアをする人・される人によって抱えている悩みは異なるため、消費者全体ではなく「個人」に目を向けなければならない。

また、利用者へのサポートは企業として行うものだが、状況によっては個人レベルのサポートも必要になる。例えば、ユーザー間で複雑なトラブルが起きた場合は、マニュアルではなく現場の判断が求められるはずだ。

従来のビジネスとはサービス形態が異なるため、ユーザーとの関わり方についても独自のプランが求められる。

専門家に相談をする

プラットフォームを利用せずにシェアリングエコノミー事業を立ち上げる場合は、ITやデジタルに関する高度な知識が求められる。また、斬新なアイデアや視点も必要になるため、なかなか方向性を見出せない経営者も多いだろう。

このようなケースに該当する場合は、専門家への相談を検討したい。主な相談先としてはコンサルタント会社のほか、政府相談窓口の「シェアリングエコノミー促進室」が挙げられる。

また、ビジネスを始める前には、「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」の公式サイトも確認しておきたい。市場整備に取り組む同協会は、公式サイト上で関連ニュースやイベント情報などを公開している。