シェアリングエコノミーのデメリット

一方で、シェアリングエコノミーにはデメリットも潜んでいる。ここからは、ビジネスを始める前に意識したい3つのデメリットを紹介しよう。

マナー関連のトラブルが生じやすい

シェアリングエコノミーの専用プラットフォームでは、サービス利用時のマナーやルールが設定されている。しかし、利用者によってサービスの使い方には違いがあるため、シェアリングエコノミーはトラブルが発生しやすい傾向にある。

仮にシェアをしたモノが故障すると、貸した側には修理費や購入費などのコストが生じてしまう。また、同じモノを使って長年ビジネスをする場合は、劣化によるクレームも受けやすくなる。

利用中の監視が難しい

トラブルのリスクを考えると、サービスの提供者としてはユーザーの使い方を監視したいところだろう。しかし、空間やモノ、移動に関するシェアリングエコノミーは、サービス利用中の監視が難しい。

例えば、貸し出した自家用車を監視する場合は、シェアをした側が同乗する必要がある。このようなサービス形態はコストがかかり過ぎる上に、ユーザーからの需要も減ってしまうため、現実的なビジネスモデルとは言えないだろう。

利用時のトラブルを完全に防ぐことは難しいが、専用のプラットフォームでは相互評価制度などを導入することで、提供者側のリスクを抑えている。

保険や補償制度、法律が整備されていない

ほかのビジネスに比べると、シェアリングエコノミー事業は企業向けの保険や補償が少ない傾向にある。専用の保険商品は増えているものの、従来の保険ではトラブルの際に補償を受けられないケースも存在する。

また、日本国内では法整備が進んでいない点も、事業者が注意しておきたいポイントだ。例えば、トラブルによっては適用される法律や罰則が不明瞭であり、グレーゾーンにあたるビジネスも多く存在している。

シェアリングエコノミーとは? 市場規模やメリット・デメリットを事例つきで解説

上記のように比較すると、シェアリングエコノミーは提供者・消費者のいずれにもメリットがある。従来のサービスとは異なる魅力があるため、今後さらに普及していく可能性は高い。

ただし、現時点では深刻なリスクや課題もあり、ルールや法整備による解決が期待されている。

代表的なシェアリングエコノミーとは?有名事例を紹介

ここからは、すでに多く利用されている代表的なシェアリングエコノミーを紹介する。ビジネスのヒントをつかむために、どのような有名事例があるかチェックしていこう。

【事例1】AirBnB(エアビーアンドビー)

Airbnbは世界220ヵ国以上で利用されている、空き家を貸し出す民泊サービスである。ログハウスや洞窟、ホームステイ型などユニークな宿も登録されており、特に観光地で多くのユーザーから利用されている。

Airbnbはシェアリングエコノミーの先駆けであり、2000代後半にはすでにアメリカで誕生していた。規約やポリシーが細かく定められているため、提供者・消費者のいずれも安心できるサービスになりつつある。

シェアリングエコノミーとは? 市場規模やメリット・デメリットを事例つきで解説

【事例2】notteco(のってこ)

nottecoは「どこから乗るか」「どこまで乗るか」から募集案件を検索できる、日本最大の相乗りサービスである。案件ごとに1人あたりの募集金額や日時、同乗人数などが掲載されており、利用者は条件に合う提供者(個人)と契約をする。

2007年に開始されたサービスであり、すでに会員数は40,000人を突破している。同乗者同士で移動費を割り勘できるため、提供者にもメリットがある仕組みになっている。

シェアリングエコノミーとは? 市場規模やメリット・デメリットを事例つきで解説

【事例3】aini(アイニー)

ainiは、体験型のイベントが掲載されたガイアックスのサービスである。親子教室や自然体験のほか、オンラインで参加できる街歩きツアーなども開催されており、手軽に非日常を体験できるサービスとして人気だ。

2022年9月現在では、15,000人以上のホストがイベントを掲載している。地域に関するイベントも多いので、人脈やコミュニティを形成する場としても活用できるだろう。

シェアリングエコノミーとは? 市場規模やメリット・デメリットを事例つきで解説

【事例4】akippa(あきっぱ)

akippaは、空いている土地を所有している人と、駐車スペースを探している人をマッチングするサービスだ。最大30日前から予約可能であり、ユーザーは相場よりも安い料金で駐車スペースを確保できる。

akippaには日本全国のスペースが登録されているため、旅行中や出張先で利用するサービスとしても人気だ。看板や車止めなどの装置が不要なので、スペースを貸す側もコストなしで駐車場オーナーになれる。

シェアリングエコノミーとは? 市場規模やメリット・デメリットを事例つきで解説

【事例5】タスカジ

タスカジは、家事の代行業者を探しているユーザーとハウスキーパーをつなぐマッチングサービスである。複数の料金プランが用意されており、スポット依頼では1回あたり1,750円から利用できる。

各ハウスキーパーの情報はプロフィールで公開されており、利用者側はその内容から募集をかけることが可能だ。ハウスキーパーのデビュー時には、3段階の登録確認を行うことでサービスの質を高めている。

シェアリングエコノミーとは? 市場規模やメリット・デメリットを事例つきで解説