本記事は、高橋誠一氏の著書『マンガでわかる「お金持ち大家さん」の成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

年金生活という幻想

国民年金, 公的年金
(画像=takasu/stock.adobe.com)

サラリーマンだったら定年まで働けば……、自営業だったら働けるまで働いて、後は年金でのんびり生活しよう、なんて考えている方はさすがにいないと思いますが、でもどこかで何とかなる、日本のことだから国が何とかしてくれる、と思っている方もいるかもしれません。でもその答えは完全にノーです。あり得ません。最近も年金支給額の減額がニュースになっていました。ましてここ数年のコロナ禍で、国の支出はどんどん増えています。

特に年金については、支給者を支える働き盛りの人口がどんどん減っています。これを少子高齢化といいますが、もらう人が増えていて払う人が減っている、普通に考えれば年金の原資が減っていくのだから、支給額がどんどん減っていって当たり前です。一部には年金破綻なんて物騒なことも言われています。年金の仕組み上さすがに破綻はあり得ないと思いますが、減額や支給開始年齢の引き上げは必至で、私たちの生活は事実上破綻してしまいます。年金制度は破綻しなくても生活は破綻してしまうということです。

ご存じのように、ざっくり分けて年金には2種類あります。1つは国民年金、そしてもう1つが厚生年金です。日本の年金制度はよく二階建て構造といわれます。こういうと非常にわかりやすいですね。“自分年金”あるいはそれに代わる年金+アルファの老後資金を用意しましょうというテーマに基づいて書いていますので、型にはまった話になりますが、日本の年金制度のことについても簡単に解説しておきたいと思います。「そんなのもうわかっているよ」という方は、読み飛ばしていただいても構いません。

公的年金の二階建て構造とは

では、簡単に二階建て構造の年金制度をお話しましょう。一階部分は、日本国民全員が加入しなければならない国民年金。二階部分は職業に応じて上乗せ給付される厚生年金です。この一階と二階をあわせた部分を国は社会保障の一環として、公的年金と言っています。そして、さらに三階には企業や団体が運営して給付する企業年金があります。ですから正確には三階建て構造と呼ぶべきなのかもしれませんが、国が社会保障としているのは二階建て構造ということになります。

サラリーマンや公務員が加入する厚生年金は、二階部分にあたる年金で一階の国民年金(基礎年金)に上乗せされるかたちで支給されます。これに対して自営業者が加入する国民年金は一階部分の国民年金のみとなりますから、サラリーマンや公務員に比べてもらえる年金額がぐっと減ります。平均して厚生年金の半分~3分の1程度です。ちなみに2022年3月時点でのひと月の平均支給額は(厚生労働省年金局の「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」より)、厚生年金が14万4,268円、国民年金は5万5,946円です。年収によって個人差はありますが、だいたいこのとおりだと思います。正直言ってこれで夫婦二人、明るく楽しい老後が暮らせると思いますか?

年金、いくらもらえるかわかっていますか

「いやこれだけじゃないよ、退職金もあるしね」と言われる方も多いのですが、ちょっと待ってください、公務員や大企業で、それも定年まで勤め上げた方ならそれなりの額の退職金も期待できるかもしれませんが、それでも数千万円程度、中小企業などでは一千万円程度です。また転職を繰り返しているようなら、最後の会社からもらえる退職金もたかがしれているでしょう。失礼を顧みず言わせていただけば現実はこの通りです。

それでもサラリーマンは途切れなく年金を納めていれば、月額15万~20万円前後はもらえますが、自営業者に至っては月額6万円、多くて10万円弱しかもらえません。これではとても生活できません。マンガで紹介した石川様の事例はまさにこの自営業者です。“働けるうちは働いて、何とかなる”、と思いがちですが、将来のことはわかりません。病気になったり怪我をしたりと、不安材料は数えたらきりがありませんね。今できること、やるべきことへの準備が必要です。

年金、もう一つのワナ

年金の支給開始年齢は65歳です。現在、企業や官公庁では定年を65歳に引き上げる動きもありますし、65歳までの再雇用期間を設けている企業もあります。しかし、再雇用期間に入ると仕事量はさほど変わらないのに、給与だけは減額されることが多いようです。自営業ですと、この再雇用制度は関係ありません。身体も元気で仕事もあれば収入は減ることはありませんが、それはゆとりある老後を暮らせるかどうかとは別の問題です。

それに加え住宅ローンの残債があったら、月々の年金全部をその返済にもっていかれてしまいます。これではとても豊かな老後なんて考えられません。不可能です。中には、うちは借家だからその心配はないという方もいますが、家賃はどうするのですか? 結局は同じことですね。

逆に支給額が少ない国民年金だけの自営業の方は、元々サラリーマンのような年金に関する過度な期待はないと思いますが、いつまでも今の仕事をしていられるか、健康面でも仕事面でも何の保障もありません。もう一度、このことを考えてみましょう。

老後資金にはいくら必要か

「毎月の年金以外にいくら不足して、夫婦二人の老後年数を何年として……」というような、平均的な家計調査を基にした試算がいろいろと出されていますが、何年生きるかとかどんな老後を送るかとか、それは個人差があるものなので一概にこの額とはいえないと考えています。それよりもむしろ、安心して暮らせる老後にするためにはいくら必要か、これをしっかり決めて、そのうえで何をするべきかを考えましょう。

私は、老後資金として、夫婦二人で年金+1億円は必要といつも言っています。講演会などでお話すると驚かれる方もいらっしゃいますが、私的には、この1億円というのは驚くほどのお金だとは思っていません。

私は、「お金がなければ長生きしてもつまらない」と思っています。ですので一人でも多くの方に充実した老後を過ごしていただくために「お金持ち大家さん」という商品をつくりましたし、私の会社でも役員や社員に推奨しています。また私たちの「お金持ち大家さん」は一般的にいわれているような単に年金不足分を補うものではありません。年金では維持できない今のギリギリの生活を保障する商品であっては意味がないのです。ちまたの何々研究所やファイナンシャル・プランナーが試算する数字は老後生活を30年として年金+3,000万円前後が必要、というのがほとんどです。もちろん個人差はありますが、これではギリギリの生活です。この生活からゆとりや豊かさを得るのは難しいかもしれません。

年間500万円は用意したい

日本は世界に類を見ないほどの長寿社会です。これは良いことばかりではありません。それも多子高齢化なら良いのですが少子高齢化です。年金を払う人が減り今後年金支給額も減額されていきますから、何々研究所やファイナンシャル・プランナーの試算もこの通りにはいきません。老後生活の不足額は増える一方です。ギリギリの生活すらも保障されないことになります。

では、どのくらい用意できればいいのでしょうか? これについても個人差はありますが、おおよその数字になりますがズバリ言いますと年間500万円くらいは必要ということになります。

「えっ、500万円って今と変わらないじゃない」と思う方もいますよね、給与所得者の平均額とほぼ同じですから。でもこの500万円という数字はギリギリ生活していくための金額ではなく、今まで平均よりやや上の生活をしてきた方がガマンすることもなく生活していける最低ラインを保障した額です。このくらいないと心豊かな生活をしていくのは難しいでしょう。

心豊かな生活とは

「高橋さんの言われる心豊かな生活とはどういうものですか」と聞かれることがあります。これも個人差があって一概には「これです」とは言えませんが、「週に1度のリッチな外食と年に1度の海外旅行でしょうか」とお答えしています。それは年に2度でも3度でもいいのです。回数を増やすためにはこれからお話する「お金持ち大家さん」のやり方次第なのですが、私が言いたいのは「さあ食事に行こうか」「海外旅行に行こうか」と思い立ったとき、すぐ行動に移せるか、ということ。

そもそも、これをするには公的年金や今までの貯蓄の切り崩しでは不可能ですし、将来の不安を考えれば貯蓄を切り崩してまで旅行に行こうなどという判断はできません。まして自営業の方であれば、60歳以上でも働いている場合もありますから、仕事を休んで収入減を覚悟してまで旅行に出かけるなんてことはとてもできないでしょう。つまりそれを実行できるだけの経済力を持っていますか、ということです。「お金持ち大家さん」でぜひ持ちましょうと、私はここでも言いたいのです。

「お金持ち大家さん」で経済力を持てば、お金や生活のことを気にせずに旅行に出かけることもリッチな外食をすることも夢ではなくなります。また、お孫さんができれば、十分なお小遣いをあげたい、と誰しも思うはずです。子育てや住宅ローンなどで余裕のないお子さんたちの生活費を援助することも可能です。自然とお子さんやお孫さんたちもおじいちゃん、おばあちゃんのところに集まるようになります。お金で家族の歓心を買うのか、という意見もあるとは思いますが、これはこれでいいことだと思います。これも「お金持ち大家さん」であるからこそ、できるわけですから。

この方法ならお金持ちになれる

さてその前に、「お金持ちになるには」といったらみなさん何を思い浮かべるでしょうか? 不動産などをお持ちでない方がまず考えるのが株式投資ですね。ただ、結論から言うと、一般の方や個人投資家といわれる方で株式投資をして儲かった、財を成したという話はあまり聞いたことがありません。株式投資は日々価格が変動するものに投資するわけで不安定です。また銀行や証券会社が勧めるものの中に投資信託もありますが、日本には長期保有という考え方が売る方にも買う方にもありませんから、投資信託で儲かった、財を成したという話もほとんど聞いたことがありません。

では、「お金持ち」になるには何がいいのでしょうか? と聞かれれば、私は「不動産です」とお答えします。日本には古くから“不動産神話”というように不動産に対する絶対的な信頼感があります。お金を借りる時に金融機関が担保として求めてくるのも不動産が圧倒的に多いですね。このことからもおわかりだと思います。

「お金持ち大家さん」は、大家さんというくらいですから不動産に投資する、それもアパート経営の大家さんになるというものです。ここから収入が得られるようにつくられたものが私たちの提供する「お金持ち大家さん」です。

マンガでわかる「お金持ち大家さん」の成功法則
高橋誠一(たかはし・せいいち)
三光ソフランホールディングス株式会社 代表取締役社長/三光ソフラン株式会社 代表取締役会長/全国賃貸管理ビジネス協会 会長/全国賃貸住宅経営者政治連盟 会長/公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会 副会長/ APAMAN株式会社 相談役/株式会社アップル 代表取締役会長/株式会社KACHIAL 代表取締役会長/株式会社アミックス 代表取締役会長。1945(昭和20)年5月28日生まれ。1969(昭和44)年、東京電機大学卒業。家業の米穀業を1店舗から43店舗にし、埼玉一の米屋になる。1975(昭和50)年、三光不動産株式会社(現・三光ソフラン株式会社)の運営を開始し、以来、代表取締役を務める。一貫して、資産(土地・建物)の有効活用に関するコンサルティング業務・不動産の賃貸および管理業務・個人年金づくりのコンサルティングなどを手がける。2004(平成16)年、不動産事業の振興に多大な貢献をし、関係団体の役員として業界の発展に寄与したため、「国土交通大臣表彰」受賞。2006(平成18)年、建設・不動産・賃貸管理・介護事業の功績により、「黄綬褒章」受章。2016(平成28)年、第一線で業務に精励し、他の模範となるような技術や実績を有する功績者として、「旭日双光章」受章。著書に『一生安心「お金持ち大家さん」』『「お金持ち大家さん」への道』などがある。

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