「専門知識がないと難しい」「保管コストがかかる」といった理由から、一般投資家には敷居が高いとされているワイン投資。ところが、ワイン投資が富裕層向けのオルタナ投資として定着している欧米においては、より幅広い層にワイン投資の魅力をアピールする画期的な投資プラットフォームが続々と生まれている。
富裕層の定番「ワイン投資」 10年間で価値が137%上昇
「金融市場の影響を受けにくく、資産価値がゼロにならない」「収集する楽しみを味わいながら投資できる現物資産」として、富裕層間で人気の高いワイン投資。分散投資にも向いており、投資対象としても手堅い実績を誇る。
英不動産コンサルティング企業「ナイト・フランク」が高級品コレクター資産の動向を調査したレポート『ラグジュアリー投資指数(Luxury Investment Index)』によると、経済活動が正常化に向かい始めた2021年第4四半期にはワインの価値が過去1年間で16%、過去10年間で137%増加した。同指数の平均を大きく上回る快挙である。
このようなメリットのみに注目するなら確かにワインは非常に魅力的な投資対象に見えるが、冒頭で述べたように、大衆化されていないのには複数の理由がある。
そもそもワインは、生産してから年数を置いて熟成させることでその価値を高めるという性質がある。温度や湿度、光に注意を要するなど、保管にかなりコストがかかる点や、為替変動リスクが生じる点(投資対象となるワインは海外生産のものが多い)も考慮する必要がある。その上、流動性が低く、株式や債券のようにすぐには売却できない(現金化しにくい)。
このような理由から、「経済的に余裕がある投資家向きの投資」とされてきた。
もう1つよく耳にするのは、「ワインの知識がないので、どの銘柄に投資して良いか分からない」という声だ。飲むことが目的で購入するならまだしも、将来的に価値が上がるワインを見極めるためにはそれなりの知識が必要となる。
投資マネージャーが複数の投資家からお金を募り、優良銘柄を選んで取引する「ワイン投資ファンド」を利用するという手段もあるが、詐欺まがいのファンドが存在したり、ファンド会社が破綻(はたん)するケースもある。日本においても、2016年にワイン投資ファンドの「VIN-NET(ヴァンネット)」が破綻した。
ワイン投資の民主化を狙う! 欧米発画期的プラットフォーム
このような中、ワイン投資市場のさらなる拡大を狙い、さまざまな層の投資家が気軽にワイン投資を楽しめる環境作りに取り組む企業が注目されている。以下、欧米2社の画期的なプラットフォームを見てみよう。