本記事は、たぱぞう氏の著書『僕が子どもに教えている1億円のつくり方』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集していま
億万長者を目指すなら、やめておきたい投資先
投資の対象はさまざまあります。
そして次々にさまざまなものが誕生し、中には意識しなくても見聞きするほど「話題」になるものがあります。
しかしながら、特に億万長者を目指す過程では敢えて手を出すべきではないと考えるものがあります。ぜひ、知っておいていただきたいです。
1)「レバレッジ」を使った商品
「レバナス」という言葉を耳にしたことがないでしょうか?
「レバナス」は「レバレッジをかけたNASDAQ100」の略語です。
「レバレッジ」は「てこ」を表す英語です。てこの原理自体は小学校の理科などで学習したと思いますが、意味としては、小さな力で大きなものを動かすことができる〝仕組み〞を指します。
資産運用の世界における「レバレッジ」は、借り入れを利用することで、自己資金のリターン(収益)を高める効果が期待できることを指します。FXと呼ばれる為替証拠金取引はレバレッジを使って取引する方が多いものです。
レバレッジを効かせるということは、大きなリターンが狙える半面、大損するリスクも増大するので、十分な資産管理が求められます。
その値動きの象徴が「レバナス」です。
上のチャートは、大和アセットマネジメントが運用している「iFreeレバレッジNASDAQ100」という投資信託の値動きです。いわゆる「レバナス」と呼ばれるものの一つです。NASDAQ100に関しては前項でご紹介した米国株式市場の株価指数の一つです。
この株価指数は、2021年末まで米国のハイテク企業の株価が大きく上昇したことが寄与し、驚異的な上昇をしました。その株価指数の2倍の動きになるよう設計された「レバナス」が原指数であるNASDAQ100より大きく上昇したことは言うまでもありません。
この値動きが話題を呼び、「レバナス」を購入する人が相次いだのです。
NASDAQ100の2倍の値動きになるよう設計された「レバナス」はNASDAQ100が下落すると、2倍の動きで下落します。それが2022年に入ってからの動きです。高値のピークの半分ぐらいになったということですね。これがレバレッジを使った商品の光と影両方の側面です。
私は決してレバレッジを否定はしません。
上手に使っている人はたくさんいます。
しかしながら、コツコツ資産を作る段階には向いていないと考えています。
億を築いてから、資産のごく一部を使ってチャレンジしても遅くないですよ。
2)暗号資産
仮想通貨やバーチャル・マネーとも呼ばれます。
日本銀行によれば、暗号資産はインターネット上でやりとりできる財産的価値を持つものです。
「資金決済に関する法律」において、次の性質を持つものと定義されています。
・不特定の者に対して、代金の支払い等に使用できる。 ・日本円や米国ドルなどの法定通貨と相互に交換できる。 ・電子的に記録され、移転できる。 ・法定通貨またはプリペイドカードなどの法定通貨建ての資産ではない。
暗号資産は、銀行等の第三者を介することなく、財産的価値をやり取りすることが可能な仕組みとして、高い注目を集めました。
代表的な暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどがあります。ビットコインのチャートを見てみましょう。
過去1年を振り返ると最高値は6万9,000ドル近く、安値は1万8,000ドルを下回っています。
「レバナス」以上に値動きが激しい資産だということがわかりますね。
暗号資産には米ドルや円、ユーロなどの通貨とは大きな違いがあります。国家やその中央銀行によって発行された、法定通貨ではありません。持っているだけでは金利はつきません。また、裏付け資産がありません。値動きに合わせたうねり取りが得意な人には向いていますが、コツコツ積み立てて資産形成する人は距離を置いた方が安全でしょう。そのボラタイルな(値動きの激しい)性格は、投資する人を選ぶと言えます。万人向けではありません。
参入した時期がよく、なおかつ大きめに勝負ができた人は、それだけでFIRE(早期リタイア)を実現しています。同時に、つかんだ時期が悪い人は人生の計画が大きく狂う可能性があります。
それが裏付け資産のないアセットの特徴です。上場したての小型株などにも同じボラタイルさはありますが、要は、そのようなアセットだということです。
不動産を持つ選択もある
これまでにご紹介してきた資産は「金融資産」です。
ペーパーアセットとも言われます。近年は株券も債券も電子化されているので、ペーパーすらお目にかかることはなくなりました。
私は金融資産が1億円になったところで、資産分散を図ったのです。
現金や株式や債券などの有価証券であるペーパーアセットに対して、それ自体が価値を持つハードアセットと呼ばれるものへ資金を投入しました。
その理由は、資産価値の変動を抑えるためです。1,000万円程度の資産であれば、10%の価格が下がっても100万円です。しかし、1億円の10%は1,000万円です。株式だけで運用すると大きな価格変動リスクも覚悟しなければなりません。精神的にも負担が大きくなります。
ある程度資産が大きくなったら、一部をハードアセットに移し、安定的な運用を目指すべきと考えます。
さて、ハードアセットの代表が太陽光発電や不動産です。
特に不動産投資は、不労所得が得られるだけではなく、税金対策や将来の年金代わりになる場合もあります。そのため、相続対策の資産家はもちろん、給与所得者にとっても魅力のある投資として人気があります。主な理由は次の通りです。
1)老後の経済的な不安を軽減できる
多くの人は退職した後に年金や貯蓄で生活することになるため、経済的な不安を感じている人も多いかと思います。その点、不動産投資をしていれば老後も安定した家賃収入が見込めるので、老後の経済的な不安を解消する一つの要素になる可能性があります。一方で、不動産投資などハードアセットへの投資は事業です。管理の手間や売買の手間は外注によって簡素化できますが、人脈がある程度必要になるのも事実です。このあたりの手間と収入の分散をどう考えるかということですね。向いている人はとことん向いている、そうでない人は全く向いていない、株との違いは人を選ぶというところです。
2)経費を計上して節税対策をする
不動産投資において年間20万円以上の所得がある場合は、確定申告が必要になります。その際、不動産投資をするうえで必要となった費用は、経費として計上することができます。
また、個人事業主での不動産投資による所得は、給与所得と合算して所得税や住民税が計算されます。もし不動産投資が赤字になったとしても節税としてある程度ヘッジできます。減価償却費は経費計上も可能ですので、その分も節税になるでしょう。
ただし、最初から節税を謳う投資にろくなものはなく、やはりきちんとキャッシュフローなりキャピタルなりが発生しないとあまり投資の意味はありません。本業の収入が高く、減価償却を大きめにとれるようなケースは、むしろキャッシュフローが出ない方が得になるケースもあります。しかし、いずれにせよ売却時に税金がかかりますから、税金の先送りのような性格であることも知っておいてよいでしょう。もちろん、それを知ったうえで利益コントロールをして回していく、それが事業の醍醐味でもあります。
同時に、不動産投資を行う際にはある程度の資金が必要になります。皆さんが給与所得者であれば、安定した収入があると判断されるので銀行の融資を受けやすい立場だと言えるでしょう。
当然、融資を受ける際に一定の基準をクリアする必要はありますが、銀行も与信のつきやすい給与所得者に融資していきたい姿勢があります。ただし、昨今は投資用アパートやマンションに対する融資は厳しくなっており、給与所得者が最初に不動産融資を受けるには、融資してくれる銀行や、どこにある物件なのかエリアが限られてくるのも事実です。株とは違って、その時々に応じて変容する基本情報を、どのようにキャッチアップしていくのかということも大切になります。
とはいえ、資産形成期の人には資産形成の武器にもなるし、富裕層の人には安定した利益をもたらし、節税効果も発揮できるなど、ステージによって適宜アレンジが効くのも事実です。資産の引き出しを増やしておくのは価値あることです。特に相続税が意識されるような、ある程度の金融資産を形成できた段階では、将来を視野に入れて考慮に入れておきたい資産の一つです。
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