収入の中から「何%」お金を貯めるか?金額ではなく、「割合」を意識されたことはありますか?「手取り収入から○%は貯蓄する」と貯蓄率を決めておくと、収入や支出の変化があっても、収入の中から一定割合のお金を残すことができ、収支に見合った家計のやりくりができるようになります。総務省の調査によると、コロナ禍で家計における貯蓄率は伸びているようです。貯蓄率に関する統計を分析しながら、今後の貯蓄目安や貯蓄率の設定方法について考えていきましょう。

貯蓄率の目安は?

貯蓄率の目安は?みんなの貯金事情を知ろう
(画像=PIXTA)

貯蓄率は、「貯蓄額÷可処分所得(手取り収入)×100」で計算することができます。貯蓄率を何%にすべきか、は家族構成や支出の状況(子どもの教育費がかかる時期、実家暮らしで家賃が不要、など)によっても異なるため、一概には言えませんが、目安として、まずは統計を見ながら考えていきたいと思います。

総務省「家計調査報告~家計収支編~(2020年)」によると勤労世帯の貯蓄率は、二人以上世帯は38.7%、単身世帯は41.6%となっており、著者は相談業務において様々な家計を見させていただいていますが、この統計の貯蓄率は少し高めに感じました。

子どものいない共働き世帯、ご実家暮らしの単身世帯の方は、統計の貯蓄率を目指してみると良いと考えます。

それ以外の子どもが中学生くらいまでのご家庭では20%、子どもの教育費がかかる時期、または子どもが小さいために就業を制限されているご家庭では10%~15%程度が無理のない貯蓄率ではないかと思います。

貯蓄の中には、生命保険や投資信託などの金融商品で資産形成をしているものも含んで考えましょう。

なぜ、貯蓄率が上がった?

冒頭でもお伝えしましたが、貯蓄率はコロナ禍で変化しました。前述の総務省「家計調査報告~家計収支編~」の貯蓄率を2019年と2020年で比較すると、二人以上世帯は38.7%(2020年)、32.1%(2019年)、単身世帯は41.6%(2020年)、35.4%(2019年)と増えていることが分かります。貯蓄率が上がった理由は、特別収入が+346.7%、消費支出は−8.3%(前年同月比)となっていることから10万円の特別定額給付金によって収入が上がり、消費支出が下がったことが大きな要因と思われます(総務省「家計調査~家計収支編~二人以上世帯のうち勤労者世帯(2020年7月~9月期)」)。

ご自身の家計でも、貯蓄率がどのように変化したのか、確認してみると良いですね。収入や貯蓄額は通帳などから1年間の合計額を計算することができるので、家計簿をつけていない方でも簡単に算出できます。

テレワークやオンライン授業などの導入をはじめ、今後も社会が変化していくことが予想されます。家計も社会の変化に対応できるような準備をしておきたいものです。

ライフプランから逆算して貯蓄計画、貯蓄率を考える

今後の社会変化に対応できる家計づくりのために、まずしておきたいのは貯蓄計画です。ただ、闇雲に節約などをして貯蓄率を上げてしまうと、現在の生活にしわ寄せがくることも考えられます。ご自身の家計の適正貯蓄率を導き出すには、まずは将来のライフイベントの必要資金を書き出してみることから始めましょう。ライフイベントは、車の購入、住宅取得、子どもの進学、住宅のリフォーム、老後費、介護費などが挙げられます。その上で、今のペースの貯蓄で必要資金が準備できるかチェックしましょう。

目標達成が難しいようであれば、現在の家計の支出を書き出しながら「必ず必要な支出」「なくても困らない支出」「削れる支出」に分けてみて、将来のために、どれくらいの割合を残せるのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

コロナ禍を契機に、「新たな趣味が見つかった」「外出が減った」「出社日数が少なくなった」など、支出やお金の使いみちに変化があった方も多いでしょう。また、収入に変化がある方や今後収入の変化が見込まれる方もいらっしゃると思います。貯蓄率の目安を参考に、「お金を残す」意識を高め、変化に強い家計づくりをしていきましょう。

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

(提供=auじぶん銀行)

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