本記事は、西崎努氏の著書『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

シニア,見直し
(画像=show999/stock.adobe.com)

まずは不要な資産運用・サービスの見直し、そして出口戦略

どのような投資でも最後は売却して一区切りをつけるものです。売却のことを「出口」といったりします。

高齢になるほど、いかに資産状況をシンプルに整理しておくかが重要になります。ほとんどの人は管理が面倒になるからです。「現状維持バイアス」という行動心理学の理論をご存知でしょうか。人間は心理的になるべく変化を避けようとする、という理論です。高齢になり、それまで何十年も続けてきた行動や習慣を変えようとすると、それだけで多大なストレスになりかねません。

ところで、最近は運用において「ゴールベース・アプローチ」という言葉が使われるようになってきました。これは「個人やその家族の将来の夢を実現するために、そのゴールを具体化・明確化して、そこから逆算して必要な資金の確保や投資、支出コントロールなどを行う資産運用・管理の考え方」といわれています。

目標金額を貯めるための考え方と誤解されがちですが、そうではありません。「ゴールベース・アプローチ」は、最終的に商品を売却するなど資産運用をやめて、管理を単純化して相続に備えるところまでを予定する考え方です。

当初の予定どおりに運用できればいいですが、人生何があるかわからないもの。予定より早く売却しなければならないこともあります。いざ何かが起きてから対応するのでは遅いことが大半です。健康で判断力があるうちに備えておくことがもっとも大切です。

金融商品にも、比較的簡単に途中で現金化できるものと、現金化が難しいものがあります。

途中での現金化が難しいものには、途中解約(契約解除)がそもそもできないケースと、途中解約すると大幅にリターンが下がるケースがあります。金融商品でいえば保険が代表的です。満期前に解約すると元金を大幅に割り込むケースもあります。

シニア世代になると出口戦略を考えたうえでの資産運用、つまり資産管理が必須であり、出口戦略をまったく想定せずに資産運用をすることはおすすめできません。

=60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用
西崎努
リーファス株式会社 代表取締役社長。
2007年にSMBC日興証券に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。帰国後はIPOや公募増資等の引受業務に従事する。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。「貯蓄だけだと老後が不安」「退職金の使い方に悩んでいる」「金融機関で勧められた商品で失敗した」という人たちの駆け込み寺として、定年前後の世代を中心に相談が殺到。仕組みがわかりにくい金融商品、コストが割高な商品が売れすぎる日本の現状を問題視し、本当に安心して老後資金を増やすための情報発信を続けている。
日本最大級の投資情報サイトである楽天証券メディア「トウシル」では、「やってはいけない資産形成」「1万円で買える米国株式」のテーマで毎月連載、トウシルYouTubeにもレギュラー出演をしている。

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