本記事は、堤一隆氏の著書『ULTIMATE SALES アルティメットセールス』(イースト・プレス)の中から一部を抜粋・編集しています。
小さな嘘は命取り。矛盾は自滅する
営業マンは、1日に何人もの顧客対応をします。特に住宅営業マンは、住宅展示場で土日祝に開催される住宅フェアなどで集中的に接客することがあります。
そんな中で、話が弾んだ時につい調子のいいことを言ってしまうことがあります。
例えば「このキッチンいいね!」「ありがとうございます」「標準で付くの?」「……あ! 付きますよ!」というような会話です。モデルハウスにあるキッチンなどは、顧客の夢を膨らませるよう通常はグレードアップした商品が付いていつためオプションが多いのです。
ただ、営業マンとしてみれば、イベントで初めて来店した顧客だし、商談になるかも分からないから……くらいの軽い気持ちで言ってしまったのかもしれません。
実は、この顧客はキッチンにこだわりがあり、建築予定のある顧客だったのです。後日、顧客が具体的に話を聞きたいと再来場した際に、営業マンは「標準で付きます!」と言ったことを「ハッ」と思い出すのです。
再来場の際の建築計画が具体的なこともあり、話はトントン拍子に進んでいきます。
そんな時に顧客が唐突に「そう言えば! あの素敵なキッチンは標準で付くと言っていたよね?」と言われ、営業マンは凍りつきます。
商談にブレーキがかかることを恐れ、「ああ、そうですね……」と、話を誤魔化して話題を変えることで次回見積もり提示のアポを取りつけて接客が終わりました。
顧客が帰った後、営業マンは事務所で「なんで初回接客(営業)で、本当のことを言わなかったのだろう」「なんで2回目の商談でも、本当のことを言わずに話をそらしてしまったのか……」と後悔するでしょう。次回は大切な見積書の提出です。もう言い逃れはできません。
最終的にはオプション分をサービスとして提出したのですが、顧客からは「あら? キッチンはサービスになっているけど標準で付くんじゃないの?」と言われてしまいます。この時にはもうどんな言いわけをしてもムダなのです。
顧客からは、「キッチンは標準と言ったのだから、今回のサービスは他のサービスにして」と容赦ない言葉が飛んできます。
今回は決して小さな嘘ではないですが、営業マンの言葉は、重いのです。高額商品であればあるほど、それは顕著にあらわれます。
「今回は初回接客(営業)だから」と軽い気持ちで言った一言で、商談をパーにする事はザラです。初回だからいいだろうではなく、初回だからこそ細心の注意を払い言葉を吐き出すことの大切さを是非とも再認識しましょう。
初回接客では小さな嘘も命取り。その嘘を繕うためにさらに嘘を重ねて、最終的に自滅していくのです。
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