本記事は、松橋良紀氏の著書『聞き方の一流、二流、三流』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています

三流は、先に意見を言い、二流は、同時に言い、一流は、いつ言う?

聞き方の一流、二流、三流
(画像=NDABCREATIVITY/stock.adobe.com)

ジャンケンでかならず勝つ方法があります。なんだと思いますか?

相手が力むように誘導してグーを出させる?

はい、それもよく言われることですが、答えは簡単です。


たとえば、相手がグーを出したら、遅れてパーを出せばいいだけです。

つまり後出しです。

え? ずるい?

はい、確かに勝ち負けを決めるためのジャンケンでは、後出しはルール違反です。

ですが、日常生活では後出しすればするほど有利です。それなのに、多くの人は先に手を出して失敗しています。


人を動かすのが下手な人、交渉が下手な人は、ほとんどが先出しをして失敗しています。相手の要望やニーズもおかまいなしに、先に意見を伝えてしまうのでうまくいきません。

営業なら自分の商品を先に売り込んでしまう。上司相手の交渉なら、自分の意見やアイディアを先にアピールしてしまう。婚活なら自己アピールを先にしてしまう。その結果、成果が得られません。


一流は、徹底して相手のニーズを聞きます。

相手が何を望んでいるのか?

さらにその言葉の奥には、どんな欲求や悩みがベースになっているのか?

そういった情報を充分に集めてから、要望に合わせた提案を口にします。

ですから最初のステップでは、潜在的なニーズが明確になるまでひたすら聞き続けることです。こちらが口を挟まずに聞き続けるうちに、相手の悩みが表面化していきます。

「なるほど……そういったことがお悩みだったのですね」

2つ目のステップでは、「そのニーズを叶えるためにどうしたらいいか?」を考えてもらうことです。

一流は、それらのステップを踏んだ上で、ようやく自分の意見や提案を口にします。

「あなたのニーズを叶えるために、こんな提案があります。いかがですか?」

ここでようやく、あなたの言いたいことを伝える番です。


自分の提案や意見を言う。

お願いや指示をする。

商品の説明をする。


これらはすべて、後出しが基本です。じっくりと話を聞いて、相手の悩みを掘り出し、一緒に解決していくことが、一流のスタイルです。

Road to Executive
一流は、常に後出しをする

相手のことを知る前に提案しても撃沈するのはあたりまえ
聞き方の一流、二流、三流
松橋良紀(まつはし・よしのり)
一般社団法人日本聴き方協会 代表理事
本作が30冊目のコミュニケーション心理著者。


青森からギタリストを目指して上京するが、夢破れて営業の世界へ。
営業の世界でもコミュ障のため、3年以上、クビギリギリの生活となる。
しかし、心理学で聞き方の技術を学ぶと、1ヶ月後に全国NO.1セールスに大躍進。
それ以来、30年以上にわたり、聞き方のスキルを探求し続けてきた聞き方の専門家。

『あたりまえだけどなかなかできない 聞き方のルール (アスカビジネス)』
『「聞き上手」はなぜ給料が高いのか』
『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術――気まずい沈黙も味方につける6つのレッスン』
など、聞き方スキルを紹介する書籍を多数執筆。

聞き方スキル、雑談スキル、心理スキルをテーマとした研修やセミナーで活躍中。
・一般社団法人日本聴き方協会サイト
 https://kikikata.jp/
・コミュニケーション総合研究所
 https://nlp-oneness.com

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