本記事は、松橋良紀氏の著書『聞き方の一流、二流、三流』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています

三流は、相手の名前を呼ばず、二流は、名前を覚えられず、一流は、どうする?

聞き方の一流、二流、三流
(画像=Sam Edwards/KOTO/stock.adobe.com)

人の名前を覚えるのが苦手という人は、少なくないようです。パーティや交流会などでたくさんの人と会うと、確かに一人一人の名前を覚えるのって、大変ですよね。

一流は、パーティや交流会など、初対面のときには、特に相手の名前を何度も呼びかけることで、名前を覚えます。

「自己啓発書でまず何を読めばいい?」と聞かれることがあります。そんなときには松橋良紀の30冊と(笑)、デール・カーネギーの『人を動かす』という名著をおすすめしています。その本で、「人に好かれる六原則」という章があり、「名前を覚える」という項目で、次のようなことが書かれています。

〝人間は他人の名前などいっこうに気にとめないが、自分の名前になると大いに関心を持つものだ(中略)。自分の名前を覚えていて、それを呼んでくれるということは、まことに気分のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果がある。逆に、相手の名を忘れたり、間違えて書いたりすると、厄介なことが起こる〟

〝名前は、当人にとって、もっともこころよい、もっとも大切な響きを持つ言葉であることを忘れない〟

相手の名前を呼び間違えたりする人は、自分の名前にはどれほどの特別な想いがあるのかを知らないのです。私は、「松崎さん」「高橋さん」と間違えられた経験は数え切れません(涙)。間違えられると、「この人はあまり自分には興味がないんだな」と感じてしまいます。といいながら、私も今まで間違えたことはたくさんありますので、この場を借りて懺悔します(笑)。

人たらしの天才と言われた元総理大臣の田中角栄は、息子の田中京によると「料亭に行くと下足番のおじさんの名前まで覚えていた」というくらい、人の名前を大事にしていたそうです。地元に帰ると、一度しか会ったことがないおばあさんでも名前を覚えていて声がけをしました。そうして「角栄はすごい」とうわさになり、熱烈に応援されたそうです。

その田中角栄でも名前を忘れることがあります。そんなときにはこんな技を使っていたそうです。

「え~、君の名前はなんて言ったかな?」

「はい、松橋です」

「それはわかってる、下の名前だよ」

そうして、「おお、あの角栄さんが、自分の名字は覚えてくれている!」とまたまた評判が上がったとか。

私が以前勤務していた会社の社長は、全国の長者番付の10位になったことがある億万長者です。社長から「アポイントが取れたお客様に手紙を送りなさい。その手紙には最低でも3回、相手の名前を入れなさい」という教えがありました。億万長者の社長もやはり、名前を呼ぶ重要性を知っていたということです。

一流は、相手の名前を何度も呼ぶことで、自分の記憶に刻みつつ、相手を重要な存在だというメッセージも伝えるのです。

Road to Executive
一流は、相手の名前を何度も呼んで心をつかむ

名前は当人にとってもっともこころよい、大切な響きを持つ言葉
聞き方の一流、二流、三流
松橋良紀(まつはし・よしのり)
一般社団法人日本聴き方協会 代表理事
本作が30冊目のコミュニケーション心理著者。


青森からギタリストを目指して上京するが、夢破れて営業の世界へ。
営業の世界でもコミュ障のため、3年以上、クビギリギリの生活となる。
しかし、心理学で聞き方の技術を学ぶと、1ヶ月後に全国NO.1セールスに大躍進。
それ以来、30年以上にわたり、聞き方のスキルを探求し続けてきた聞き方の専門家。

『あたりまえだけどなかなかできない 聞き方のルール (アスカビジネス)』
『「聞き上手」はなぜ給料が高いのか』
『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術――気まずい沈黙も味方につける6つのレッスン』
など、聞き方スキルを紹介する書籍を多数執筆。

聞き方スキル、雑談スキル、心理スキルをテーマとした研修やセミナーで活躍中。
・一般社団法人日本聴き方協会サイト
 https://kikikata.jp/
・コミュニケーション総合研究所
 https://nlp-oneness.com

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