本記事は、松橋良紀氏の著書『聞き方の一流、二流、三流』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています

三流は、自分が7割話し、二流は、相手と半分ぐらいの割合で話し、一流は、どれくらい話す?

聞き方の一流、二流、三流
(画像=Drobot Dean/stock.adobe.com)

他人と会話するとき、相手と自分が話す割合は次の3つのうち、どれくらいが適切だと思いますか?

①相手:自分 = 3:7
②相手:自分 = 5:5
③相手:自分 = 7:3

いかがでしょう? 3つのうち、①を選んだ方は、残念ながらかなり話しすぎです。

これを選ぶ人は自分が話している時間が長く、他人の話をあまり聞けません。人前で話すことが好きで、プレゼンが得意な人は、それはそれで素晴らしい特技ですが、1対1の関係になると話は別です。相手にしてみれば、「この人、自分のことばかりで、私にはまったく興味がないんだな」となり、深い人間関係を築くまでにはいたりません。

しゃべりすぎることの弊害はたくさんあります。営業であれば、話しすぎる人は契約が取れません。もし勢いで契約が取れてもキャンセルが多いです。

管理職なら、部下との意思疎通が取れず、突然退職を言い出されます。話を聞けない人には情報が集まらなくなり、自分の知らないことが増えていき、前触れもなくいきなり大きな問題が勃発したりします。

問題なくうまくやっていたつもりの恋人やパートナーに突然フラれる人も、この傾向が強いです。家庭では、いつの間にか妻や子どもと心の距離ができて、厄介者扱いされるようになったり、突然に離婚を言い出されたりします。

いずれも聞けない人に起こりがちなことです。

では②の5:5なら、対等な関係だからいいのでしょうか?

これだと二流です。「え? フィフティー・フィフティーでちょうど良い感じなんじゃないの?」と思う方も多いかもしれません。

しかし、「人の話を聞く時間」と「自分が話す時間」では、時間の感覚がずいぶんと変わるものです。交流会やパーティなどで、自己紹介タイムなどの体験はありませんか? 自分が話をしているときは、2分くらいだととても短く感じるのに、他人の2分はとても長く感じると思います。

研究によると、相手5割・自分5割でも、「この人はよくしゃべる人だな」と感じる人が多いという結果が出ています。

一流は、自分が話す時間より、相手が話す時間を大切にします。相手の話す時間が7割で、自分の話す時間が3割。これがもっともいいバランスだという研究結果があります。たとえば相手が9割で自分が1割だと、相手にしてみれば、自分ばかり話しすぎていて、不安に感じる割合も多くなるというのです。

相手に7割の時間をしゃべってもらえるだけの「聞く技術」を身につけている人が、本当の一流です。

Road to Executive
一流は、相手:自分 = 7:3で会話する

聞いている時間は長く感じ自分が話している時間は短く感じる
聞き方の一流、二流、三流
松橋良紀(まつはし・よしのり)
一般社団法人日本聴き方協会 代表理事
本作が30冊目のコミュニケーション心理著者。


青森からギタリストを目指して上京するが、夢破れて営業の世界へ。
営業の世界でもコミュ障のため、3年以上、クビギリギリの生活となる。
しかし、心理学で聞き方の技術を学ぶと、1ヶ月後に全国NO.1セールスに大躍進。
それ以来、30年以上にわたり、聞き方のスキルを探求し続けてきた聞き方の専門家。

『あたりまえだけどなかなかできない 聞き方のルール (アスカビジネス)』
『「聞き上手」はなぜ給料が高いのか』
『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術――気まずい沈黙も味方につける6つのレッスン』
など、聞き方スキルを紹介する書籍を多数執筆。

聞き方スキル、雑談スキル、心理スキルをテーマとした研修やセミナーで活躍中。
・一般社団法人日本聴き方協会サイト
 https://kikikata.jp/
・コミュニケーション総合研究所
 https://nlp-oneness.com

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