資金調達方法2:借り入れ

「資金調達」と聞くとすぐに借り入れを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。借り入れは、審査および利息を含めた毎月の返済が必要となるが、出資や補助金などに比べると比較的利用しやすい。その理由の一つに借入先の選択肢が多いことが挙げられる。借入先は、大別すると「公的機関」「民間金融機関」「親戚・知人・友人」などに分けられ、それぞれに特徴が異なる。

・公的機関
公的機関からの借り入れとしては、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関や地方自治体が窓口となる制度融資がある。民間金融機関の場合に比べて低金利で資金調達できる場合が多いため、借り入れを検討する際は、まず利用を検討したい。特に創業資金や小規模・中小企業に特化した小口融資など、民間金融機関では借りにくい融資も多く取り扱っているのが特徴だ。

・民間金融機関
メガバンクや地方銀行、信用金庫、信用組合など、民間金融機関の種類や数は豊富だ。冒頭で「実績のない会社への融資は厳しい」と述べた。しかし中小企業庁が2022年6月に公表している「激変する世界・日本における 今後の中小企業政策の方向性」によると中小企業が成長資金の調達先として利用したのは「銀行など民間金融機関からの借り入れ(社債含む)」が58.9%と最も多い。

日々の決済で利用する金融機関は、身近な資金の相談役として日ごろからコミュニケーションを深めておくといいだろう。一方で、民間金融機関からの借り入れを利用した企業の39.4%は「返済のために早期に利益を生み出す必要があり、大きなチャレンジができなかった」というデータもある。また借り入れをした企業の71.5%は、経営者保証を提供していることもあわせて知っておきたい。

・親戚・知人・友人
身近な人からの借り入れであるため、金融機関などからの借り入れに比べて経営者自身の信用がカギを握る。それだけに事業計画や将来性が資金を出すに値すると思ってもらえるよう、丁寧な説明・説得を心がけたい。また親しい仲だからこそ、返済や事業運営を巡ってトラブルが発生しやすいリスクもある。書面で借用書や返済計画書などを作成し、双方で確認、署名をしておくなどの配慮をしておこう。

資金調達方法3:出資

出資には、将来性が有望なベンチャー企業に投資する「ベンチャーキャピタル」や、創業間もない企業に個人投資家が出資する「エンジェル投資」などがある。ただベンチャーキャピタルは、上場を前提にしているなど、小規模事業では現実的な調達方法ではないケースも多い。

近年利用価値が高まっている資金調達方法が「クラウドファンディング」だ。クラウドファンディングは、主にインターネットを介して広く不特定多数の一般投資家から資金を集める方法である。多くの場合、取り組みたい事業や拡大させたい事業の内容を具体的に説明し、それに対する資金の提供を募っていく。投資家が事業計画に賛同してくれれば、不特定多数の出資者が資金を提供してくれる。

調達可能額は、賛同者がどれだけいるかに左右されるが、金融機関では取り扱いできない内容の案件でも資金調達できる可能性があるだろう。ただし資金を出してもいいと思ってもらうためには、しっかりとした事業プランが必要である。また出資者にとっては、あくまで投資であるため、魅力的な見返りを考えることも大切だ。