本記事は、千田 琢哉氏の著書『一流の人だけが知っている、他人には絶対に教えない この世界のルール。 選ばれる人を決める「秘密の評価基準」40』(清談社Publico)の中から一部を抜粋・編集しています。

外国語より、日本語。

外国語より、日本語。英会話より、英文解釈と英作文。
(画像=aijiro/stock.adobe.com)

なぜ英語の勉強が流行はやっているのか、あなたは真剣に考えたことがあるだろうか。

それは英語の勉強を流行らせたほうが儲かる人々がいるからである。

莫大ばくだいな広告費を注ぎ込み、大衆の不安をあおり続け、英語の勉強をさせることで自分たちが暴利を貪っているだけだ。

ごくまれに英語を話せるようになる人もいるが、ほとんどの人が何も上達せずに終わる。

だからこそ英語関連のビジネスは儲かり続けるのである。

だがハッキリ言ってしまうと、凡人が英語を話せたところで何も意味はない。

単に地球上に英語を話せる凡人が一人増えただけであり、プライドの高い落ちこぼれが地球上を跋扈ばっこするだけだ。

ネイティブから見れば下手くそな英語を話してくるだけの凡人であり、凡人の周囲にはやはり凡人が集まってくるだけである。

実は英語を話せたほうがいいのはエリートだけだ。

自分から何かのコンテンツを発信できるエリートであれば、自分が直接英語を話せるようになることでビジネスも人生も拡大しやすいからだ。

別にそんなことをしなくても日本市場だけで十分リッチな生活ができてしまうから、日本のエリートには英会話に無関心な人が多いのだ。

外資系企業の採用担当者が私にポロリと漏らした本音がそれを如実に物語っているが、彼は私の書斎で「日本人は英語を話せるバカと英語を話せないエリートしかいなくて本当に不思議な国だ」と言っていた。

そのため彼の会社では渋々上智大学とICUからも毎年採用せざるを得ず、それらを下回ると明らかに早慶旧帝大以上の学歴の人材とレベルが違うから、英語を話せないエリートたちを採用して2年くらいかけて自社で英会話の教育もしているとのことだ。

ちなみに早慶旧帝大以上の学歴の持ち主に英語ができない人はいない。

特に一般入試で入学したサラブレッドたちはペーパーバックを読める程度の語彙力文法力、読解力を一度は習得しており、それを回復させるだけだからである。

人は10代までに真剣に脳を鍛え抜いておくと、それがスタンダードになってすぐに頭の良さや思考の深さを取り戻せるのである。

では10代で真剣に脳を鍛えなかった人はどうすればいいのか。

外国語より日本語を徹底的に鍛えることだ。

もともと人間というのは一人一言語しか習得しないように脳が作られている。

例外的に複数の外国語を流暢に話せる人もいるが、それは特殊であって一般ではない。

凡人はそういった特殊な例にすぐに憧れるが、だからいつまで経っても凡人なのである。

凡人は目の前の日本語の使い方を正しくすることが先決であり、外国語に逃げてはいけない。

母語の語彙力を増やし、歴史と文化を知り、それを日本語で語れるのが国際人なのだ。

一流の人だけが知っている、他人には絶対に教えないこの世界のルール。
目の前の日本語の使い方を正しくすることが先決。

英会話より、英文解釈と英作文。

これまで複数の同時通訳や英会話教室の経営者、現場の講師たちと対話をしてきたが、彼ら彼女らが異口同音に教えてくれた事実を帰納(複数の個別的事例から一般的法則を導き出すこと)すると次のようになる。

「頭の悪い人ほど英会話に走り、頭の良い人ほど英文解釈と英作文に注力する」

これは頭の良い人に対する批判ではなく、頭の悪い人に対する批判である。

彼ら彼女らが漏らしていたのは、語彙や文法が間違ったまま海外でペチャクチャしゃべられると、日本全体が舐められるからやめてもらいたいということだった。

頭の悪い人の特徴は自分の頭が悪いと気づいていないことである。

だから語彙や文法がメチャクチャでも発音がそれらしいと(あくまでも自己評価で)思えば、まるで同時通訳にでもなったかのようにつけ上がって話すのだ。

よくインド人や中国人で発音がメチャクチャなのに堂々と英語を話すという話を聞くだろうが、あれは語彙や文法がちゃんとしているから傾聴してもらえるのである。

反対に母語が日本語ではない人が発音はそれ風なのに語彙と文法がメチャクチャだと、あなたはその人を丁重に扱わなくてもいいと(本音では)判断するのに対し、発音が多少下手くそでも語彙と文法がきちんとした相手なら「この人は祖国ではエリートだろう」と判断して丁重に扱うはずだ。

新しく何かを学ぼうと思ったら、頭の良い人の話を聞き、頭の良い人の文章を読むことである。

英語学習に関してもそれは例外ではない。

今から極めて危険な発言をするが、英語の勉強をするからこそ英語しかできない人ではなく、英語もできる人の意見を参考にすべきである。

英語しかできない人は単に幼少の頃から海外生活が長かった帰国子女だったり、本当に英語を習得するだけの才能に恵まれた人だったりして参考にならないことが多い。

それよりはちゃんと王道で他の勉強も学び、しかるべき結果を残し、ついでに英語もマスターした人の意見が参考になるに決まっているではないか。

高校受験や大学受験の英語が素晴らしいのは、会話より英文解釈と英作文に比重が置かれていることである。

勘違いしてもらいたくないが、英語を話すなとか英語を話してはいけないと述べているのではない。

英語の勉強で一番価値があって大変なのは英文解釈と英作文であり、それを克服すれば他が一気に習得しやすくなると述べているのだ。

頭の悪い人がなぜ最初から英会話に逃げるのかと言えば、そのほうが周囲の頭の悪い友人にお手軽に猫騙しのマウンティングをかませるからである。

反対に頭の良い人は時間がかかることが得意であり、先に英文解釈や英作文にじっくり腰を据えて取り組むのである。

早慶旧帝大以上のエリートたちが直前半年や1年の準備でMBA留学できるまで成長するのは、10代の頃に愚直な努力から逃げなかったからだ。

一流の人だけが知っている、他人には絶対に教えないこの世界のルール。
英会話しか勉強しないのは、お手軽な猫騙しのマウンティングに過ぎない。
一流の人だけが知っている、他人には絶対に教えない この世界のルール。 選ばれる人を決める「秘密の評価基準」40
千田琢哉(せんだ・たくや)
次代創造館代表。文筆家。
愛知県生まれ。岐阜県各務原市育ち。東北大学教育学部教育学科卒。
日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。コンサルティング会社では、多くの業種業界におけるプロジェクトリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。
のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって得た事実とそこで培った知恵を活かし、~タブーへの挑戦で、次代を創る~を自らのミッションとして執筆活動を行っている。
「朝日新聞」「週刊ダイヤモンド」「週刊プレイボーイ」等にインタビュー・取材記事が掲載.著書多数。
現在,南青山在住。
2016年7月よりリスナーから寄せられた質問に答える音声ダウンロードサービス「真夜中の雑談」を開始。
2018年12月よりPDFダウンロードサービス「千田琢哉レポート」を開始。
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