foggy-bottom-95011_1280

2015年からの相続税改正に備え相続税対策として、また副業としてアパート経営を検討している方がいるかと思います。今回は、アパート経営に必要なキャッシュマネジメントの計算方法を書いていきます。


アパート経営で利益を得る方法

アパート経営で利益を得られるメリットは、取得した物件からの家賃収入が毎月不労所得として見込めることです。ここで、当然ながら、それを得るための必要経費の存在や、借入れをした場合は借入金の返済や利子の負担も考える必要があります。

特に、アパート経営を行うと発生する不動産所得のために確定申告が必要になるので、この計算の仕組みを知る必要があります。

不動産所得とは、総収入金額から必要経費を差し引いて求めます。総収入金額には、通常の地代、家賃その他不動産貸付に伴う収入が含まれます。必要経費とは、火災保険料、固定資産税、維持管理費、修繕費、減価償却費です。


「表面」利回りと「実質」利回り

アパート経営における収益性の指標として、利回りの指標があります。利回りには、表面利回りと実質利回りの2つがあります。

表面利回りは、(家賃収入)÷(物件価格)×100で求めます。これに対して、実質利回りは、(実質の家賃収入)÷(実質の物件価格)×100で求めます。実質の家賃収入は、(毎月の家賃-管理費等)×12か月-(固定資産税)-(都市計画税)になります。実質の物件価格は、(購入価額)+(不動産業者への仲介手数料)+(司法書士などへの手数料)+(不動産取得税)+(登録免許税)+(リフォーム費用などその他必要経費)です。

ここで、2800万円で購入した物件を月20万円の家賃で貸した場合の、「表面」利回りと「実質」利回りをそれぞれ求めて比較してみましょう。

年間の名目家賃収入は20万円×12か月=240万円となります。したがって、表面利回りは、240万円÷2,800万円=8.57%となります。

次に、月20万円の家賃で5千円の管理費、固定資産税が15万円かかるとした場合、実質の家賃収入は、(20万円-5千円)×12か月=234万円-15万円=219万円になります。また、物件を2,800万円で購入した場合、実質の物件価格は2,800万円+93万円5千円(不動産業者への仲介手数料)+5万円(司法書士などへの手数料)+28万円(不動産取得税)+14万円(登録免許税)=2,940万5千円になります。したがって、219万円÷2,940万5千円万円=7.45%となります。

表面利回りが8.57%、実質利回りが7.45%という結果の差は、冒頭に述べました必要経費の存在です。


減価償却費

建築物の新築時は価値が高いですが、使用して年数が経過するにつれて劣化していきます。この建物の価値の減少分について、建物部分の取得価額と法定耐用年数、残存価額を用いて、減価償却費という計算をします。

例えば、鉄筋コンクリ―ト造のアパートの取得金額が6,800万円(土地部分800万円、建物部分6,000万円)の場合、耐用年数は70年、償却率は0.015、残存価額は取得金額の10%を適用します。よって、減価償却費の額は、1年間で、6,000万円×(1-0.1)×0.015=81万円になります。

この減価償却費は、費用になり、税金の計算の上で、節税につながりますが、現金の支出を伴わない非現金支出費用になります。