中小企業がコスト削減を成功させる3ステップ
それでは、中小企業がコスト削減を成功させるための手順を3つのステップに分けて解説していく。
1.現状を把握する
まず、決算書の損益計算書をみて、現状把握をすることから始めよう。コストの中で大きな割合を占めるものや、削減の余地がありそうなもの、そもそも内容がわからないものなどをピックアップし、どこにアプローチするかを決める。
2.コスト削減の方法を検討する
次に、どこに無駄が生じているか分析しながら、具体的なコスト削減の方法を考える。複数の選択肢を洗い出し、取り組みやすさや自社との相性も考慮して決めることが大切だ。
たとえば、「残業代を削減する」という目標に対しても、「ノー残業デーを導入する」「残業を承認制にする」「ITツールで業務を効率化する」など複数のアプローチ方法がある。
3.実行に移し効果を検証する
アプローチ方法が決まり実行に移したら、必ず効果を検証することが大切だ。1ヵ月など期間を定めて、取り組みの結果どのくらいコスト削減できたかを確認しよう。効果があれば継続し、効果がなければほかの方法を試す。このような取り組みを継続することで、無駄を減らせるだろう。
中小企業がコスト削減を成功させるポイント
中小企業のコスト削減では、経営者の独りよがりにならないよう注意が必要だ。続いて、コスト削減を成功させるポイントを2つ紹介する。
従業員を巻き込む
経営者がいくらコスト削減を促しても、従業員の協力が得られなければ、効果を出すことは難しい。うまく従業員を巻き込みながらコスト削減に取り組むことが大切だ。
たとえば、コスト削減のプロジェクトを立ち上げ、適性のある従業員をリーダーに抜擢するといった方法がある。また、管理職にコスト削減の重要性を伝え、人事評価で考慮すると伝えるのも1つだ。コスト削減に成功した事業所や部署を表彰するのもいいだろう。
具体的な仕組みやルールを作る
コスト削減に取り組むよう促しても、具体的な仕組みやルールを作らないと、うやむやになってしまうことが多い。
たとえば、部署ごとの消耗品費を計算して社内メールで共有するよう経理部門に指示する、1ヵ月に一度管理職を集めてコスト削減の目標と成果を発表する場をつくる、といった具体的な取り組みに落とし込むことが大切だ。
中小企業がコスト削減に取り組む注意点
コスト削減で利益を最大化できれば、会社にも経営者にも従業員にもメリットがある。しかし、誤った方法でコスト削減を実施すると、経営に悪影響が与えることがある。
たとえば、現場の声に耳を傾けずにITツールを導入した結果、かえって業務の負担が増え、残業代が増加することも考えられる。また、急激にコスト削減を推し進めようとした結果、従業員がミスをして商品やサービスの品質が下がってしまうリスクもある。
従業員の意見も取り入れつつ、自社に合った方法でコスト削減に取り組むことが大切だ。